純喜さんが、誰かを探すように
列の向こうに目を移す。
純喜さんのお友達かな。
この間、心配な人がいるって言ってたけど
その人かもしれない。
とてもかわいらしくて、キレイな人。
でも、どこか淋しそうな顔をしていて
純喜さんも、心配そうにしていた。
その女性が、男の人と遠ざかっていく姿を
少し切なそうな目で見ている。
純喜さんはきっと、あの人を…
キッチンカーの周辺のケースを全て確認しても
見当たらない。
どうしよう…
あの数だと1時間くらいしかもたなそう。
與那城さんは
私じゃない誰かに頼みたそうだったけど
今のお店の状況を考えると
私が行ったほうがいい。
與那城さんも、それは分かっているはずだ。
声を遮るように、自転車を漕ぎ出した。
ちょうど夕陽が眩しい時間で
海が真っ赤に染まっている。
少し前の私は、
こんなきれいな景色を見る余裕さえなかった。
働く楽しさも、笑って過ごす日常も
誰かのことでいっぱいになることも。
與那城さんに出会ったあの日から、
目を逸らしていた景色に
少しずつ目を向けられるようになった。
本の中だけだった景色を、今は自分の足で歩いている。
ひーさんさんスポットライトありがとうございます!



















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。