海沿いを15分ほど自転車を走って
国道に出たところにスーパーはあった。
必要なものを購入して、急いで自転車に戻る。
しばらくすると
自転車の異変に気づいた。
降りて確かめると、
タイヤがぺしゃんこに潰れている。
もうだいぶ戻ってきてしまった。
もっと早く気づいていれば
タクシーを拾えたかも知れないのに。
急いで出てきたせいで、スマホも忘れていた。
これでは與那城さんたちに連絡も取れない。
あんなに『大丈夫です!』って言ってきたのに
心配をさせてしまうかもしれない。
陽はすっかり落ちて、
夜の静けさが広がっている。
街灯の間隔がやけに遠くて、暗闇を歩くたびに
さっきまでの高揚が、少しずつ剥がれていく。
こんなことさえ出来ない自分が嫌になる。
忘れかけていた何も出来ない自分の感覚が戻ってくる。
変わった気でいたけど、何も変われていなかった。
與那城さんに甘えて、助けられて
それを自分の成長だと勘違いしていただけだった…
胸が締めつけられるように苦しくなる。
静まり返った道に、自分の呼吸だけが大きく響いた。
愛奈さんスポットライトありがとうございます!














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!