第36話

向日葵のような人 毛利side story
1,339
2024/10/27 02:01 更新

あなたside












私のストーカーが捕まった翌日

西武蔵野署にて事情聴取を受けていた

相手は生活安全の女性警官で安心しながら自分がされたことを一から話した




書類に必要事項を書きながら今日は毛利さんが居ないのかと落ち込む
刑事課って忙しいって言うもんね

メッセージで【明日もよろしくお願いします】と送ってから返事は来ていない











「では書類を書き終えたらしばらくここでお待ちください。刑事課の毛利がお尋ねしたいことがあると申していたので」



『えっ、あ、はい!分かりました!
丁寧に聴取して頂きありがとうございました』



「あ、いえいえ!こちらこそ長々と御付き合いしてくださりありがとうございます」









女性警察官に頭を下げお礼を言うと、一瞬目を開かれた

少し照れながらもお礼を言い返してくださるこの人はめちゃくちゃ良い人だ


身近に仲のいい刑事が2人も居るからか、いつも西武蔵野のの安全を守ってくれる警察官の方々は頭が上がらないほど尊敬をしている




私が書いた書類をファイルにまとめ、女性警察官は去っていった






生活安全課に設置されているソファに座り毛利さんの到着を待っていると

前方から若めの警察官の方が歩いてきていた



あ、あの人
UDIの近くの交番勤務をしている人だ

話したことは無いけれど何度か通勤中に顔を合わせたことがあるから一応会釈をしといた










「こんにちは」



『あ、こんにちは』



「あーっと、何か用事ですか?」



『あ、はい。生活安全課に少し用がありまして』



「そうですか。もしよろしければお家までお送りしましょうか?」



『いえ大丈夫です!そんなに離れて居ないので歩いて帰れます』



「いや俺もちょうど交番に戻る途中なんです。」











んー、ほんとに大丈夫なんだけどなぁ

親切心で言って頂いてるのは分かってるから嫌な態度はとりたくない

言葉を選んで丁重に断ろうと頭を悩ませていると奥から走ってくる毛利さんを見つけた










『あ、毛利さん』



毛利「あなたの名字さん!
……あーっと、君は確か交番勤務の田中くんでしたか」



「あ、はい。そうです。自分の管轄内に住んでる方なので声をお掛けしました」



毛利「この人は俺の知り合いだから俺が送ります。帰っていいですよ」



「…分かりました。失礼します」











頭上で広げられる会話に入ることも出来なく、ただただ聞いていた

田中さん?が来た道を戻っていくのを毛利さんがずっと目で追っている










『毛利さん顔』



毛利「ん?」



『顔が怖い』



毛利「元々こういう顔です。
ったく、あんたもあんたですよ?目を離した隙に、」



『え?』



毛利「まぁいいです。家まで送ります」



『いや!いやいや悪いですよ!毛利さんまだ仕事ありますよね?』



毛利「いえ終わりました。ここ最近ずっと働き詰めだったので上司に休めと帰されました」



『ふふっUDIもここも大して変わりませんね笑』



毛利「変わってもらわないと困るんすけどね」











毛利さんも帰る途中なら一緒に。

と一緒に警察署を出た


毛利さんと2人という心が浮き立いてるのが分かる



それば刑事の毛利さんにバレないようにいつも通りに会話を続けた










『毛利さん昨日はほんとにありがとうございました』



毛利「俺は何もしてませんよ」



『いや電話をかけたのが毛利さんで良かったです。ほんとに。毛利さんの声ってね安心するんですよ
殺されるかもって無我夢中で走ってる時に毛利さんの声を聞いたらほんとに安心したんです』



毛利「…そう、っすか」














照れてるのか頭をポリポリとかく毛利さん

この人はなんだか不思議な人だ



警察官は威圧的な人が多い。自我が強くてUDIの意見をねじ曲げることも多少ある

だからUDIにかかわらず大学院の時もそうだけど解剖結果を聞きにくる刑事さん達は苦手だった



だけどこの人は優しい目を私に向けてくれる
安心感を与えてくれる。


毛利さんがUDIに来るようになってから、私は多分警察官の人を苦手から尊敬に移すことが出来た















毛利「あなたの名字さん明日も仕事ですか?」



『あ、いや神倉さんが少し休んだ方がいいと3日ほどお休みを頂きました!でも休みすぎて1人で居るのも嫌なので明日休んだらUDIに行こうと思います』



毛利「へぇ?まぁ確かに三澄さんや東海林さんと一緒に居た方が元気になりそうですもんね。うるさいくらいに」



『うるさいくらいに』



毛利「うるさいくらいに、ね」



『2回も言われた、2回も言ったよこの人』



毛利「褒めてるんですよ」









毛利さんとの会話は楽しく、常に口角が上がってしまう

あれ毛利さんってこんな話しやすかったっけ?









毛利「ちなみに私も明日休みなんですよ」



『おぉーやっとの休みですか』



毛利「久しぶりにゆっくり出来ます。だから、その、」



『ん、ん?』



毛利「……飯、行きません、?」



『えっ!行きます!行きたい!』



毛利「ほ、ほんとすか?え、嫌じゃない?断りずらいとか」



『思ってないです!全く!てか私も誘おうとしてました』



毛利「わ、わー、っしゃ、奇跡だ」









毛利さんはボソッと小さな声で
「今日は邪魔者いねぇな」

とボソッと、ボソーッと言ってました




毛利さんと2人でご飯だなんて、思った以上に楽しみかも。











毛利「どこ行きます?」



『んーどうしましょうね、あんまり知ってる人が居なさそうな所がいいですよね?』



毛利「そりゃもちろん。あなたの名字さん好きなものは?」



『お肉!焼肉食べたいです!』



毛利「いいっすね〜んじゃ俺の行きつけでいいですか」



『毛利さんの行きつけ!そこがいいです!』



毛利「軟骨がねめちゃくちゃ美味いのよそこ」



『やばい!超楽しみです!』







毛利さんの行きつけの焼肉屋さんは思ったより近くにあって

こじんまりとしたお店だった

店員さんは夫婦で営業をしていて、毛利さんが入った瞬間暖かい笑顔で出迎えてくれた










「お!毛利さんいらっしゃい〜」



「え、えぇ!?あんた彼女いたのかい!?」



毛利「ちょっ余計なこと言わないでください」



「だってあんたいつも1人で来てたじゃない!」



毛利「い、いつもじゃないでしょ!?いつもじゃ!」



「いやいつもだよ」



毛利「いつもか、いつもか」








ブツブツ言いながら座席の上に上がった
毛利さんはどんだけ常連さんなんだ

名前まで覚えられてるじゃないか



ていうか、彼女っていうの否定しないんですね毛利さん

私も否定しませんでしたけども、、






さっきまで隣に居た毛利さんが対面にいる

それが少し不思議な感じがして自然と頬が緩んだ










毛利さんが「適当に頼んでいい?」

と言うので頷くと「いつものやつ2人前で!」と頼んでくれた

















『お酒、飲んでいいですか』



毛利「飲みすぎないでくださいよ。送るの俺なんですから」



『送ってくれるんですか』



毛利「もちろん送りますよ」



『家まで?』



毛利「あなたの名字さんが嫌じゃなかったらそのつもりですけど」



『んじゃいっぱい飲んじゃおー』



毛利「ちょっとぉ?お姉さん?」



『毛利さんは?ビール?』



毛利「えぇ、まぁ」



『んじゃ私もビールで!』









呆れたような顔をしていた毛利さんも

キンキンに冷えたビールが届くといい飲みっぷりだ


ここ最近色んなことがありすぎてアルコールを呑めていなかったから久しぶりのビールは美味しすぎる



お皿に真っ赤なお肉達が次々に届くと私と毛利さんでトングを使い次々に焼いていく










『ひゃー、美味しそう、』



毛利「ここのねタレが美味いんすよ」



『わっ、わっ、これ絶対やばいやつだ。もう美味しそう』



毛利「ほいこれいい感じに焼けれた」



『いただきます!!んっ、んまい!え、おいしい!
毛利さんこれ美味しいですよ!めちゃくちゃ美味しい』



毛利「良い顔しますねほんとに」



『毛利さんも食べてください!』






お肉もお酒も美味しすぎて胃の中が幸せと叫んでる

多分それは隣にいる毛利さんのおかげもある気がする



会話のテンポ、毛利さんの声、毛利さんの性格

全てが安心して、心地がいい

さっきから毛利さんの良いところしか見えないなぁ、

これ、もしかしてはもしかしてじゃないけど、
毛利さん、良いのでは?





いやいや馬鹿か私!
毛利さんは親切に優しくしてくれてるだけ!

ごめんなさい毛利さん

変に妄想して、良いかもとか上からの目線を送ってしまいました





恋愛脳な頭を振り切るように目の前のビールを一気に飲み干した















毛利 side










目の前で美味しそうに焼肉を頬張って美味しそうにお酒を飲むあなたの名字さん

今日まで必死に仕事頑張って良かったな俺!!!


断られると思いつつ、密かな願いを込めて食事にお誘いするとあっさりとOKを貰えた

しかもめちゃくちゃ嬉しそうにしてた

いやいや勘違いとか自意識過剰とかじゃなくて、ほんとに嬉しそうにしてたんだって



でもあの顔は俺にだけじゃなくて、きっと周りの人にも同じような顔を見せてるに違いない

目の前にいるあなたの名字あなたという人物はそういう人だ










佐藤「毛利さんはぁ、一緒に来るお相手居ないんですか?」



『酔ってます?』



佐藤「まだいけます。質問にこたえてください」



『残念ながら居ませんよ。来るとしたら向島くらいですよ。まぁまだ来てませんけど』



佐藤「えへ、やった!私が1番最初だぁ〜」



『…酔っぱらいめ』



佐藤「酔ってないですよ!?だって、まだ飲めますもん!眠くない!」



『酔っ払いは大抵酔ってないって言うんですよ。ほら水』



佐藤「酔ってないのになぁ、」









お酒で少し赤くなっている頬と首

いつもはその首を白衣から晒し出していたけれど、今日は私服で。

グレーのVネックのニットに黒のスキニーパンツ
長い髪は下ろしていて、緩くうねうねしてる

うねうねじゃないな、あれでしょ?アイロン


いつもと違う雰囲気に年甲斐ながらドギマギしてるのも事実

涼しい顔で話してるけど、この後の展開に妄想を広げている

そんな妄想は叶うはずもないのも、ちゃんと知っている



こんな優しくて可愛くて愛らしい人と想いを通じ合わせたいだなんて身の程知らずにも程がある









腹がいい感じに溜まったので、そろそろ帰りますか。
と声をかけてお店を出た

最後まであなたの名字さんは折半でと言っていたけれど、こんなおじさんと2人でご飯に行ってくれたんだ。

代金くらいは払わせてもらわないと割に合わないでしょう





あなたの名字さんの自宅は把握してる

ここからも大して遠くないしタクシーを呼ぶか聞いたところ、もう少し歩きたいと言われたので

薄暗い通りをあなたの名字さんと歩く

お酒が入っているからか上機嫌のあなたの名字さんは先程よりも距離が近いから心臓にわるい







『大丈夫?吐きそうとかない?』



あなたの名字「ないです!久しぶりにこんなに気持ちよく酔えてます」



『そりゃ良かった』



あなたの名字「へへ、」













急に立ち止まるあなたの名字さんの顔を覗き込めば

眉毛を八の字に曲げて、頬がゆるっゆるで、目尻が下がってて、

なに、なんでそんな可愛い顔するの。
おじさん困っちゃうよ?いっぱい欲が出ちゃうよ?



いかんいかん。俺は刑事。
あなたの名字さんの嫌がることは死んでもしないとさっきのお店の中で誓っただろ!!

万が一としても手を出すなよ俺!!!









『んんっ、なぁんすかそのお顔』



佐藤「毛利さんって優しいなぁって改めて思いました」



『別に俺は優しくないっすよ』



佐藤「優しいですよ!だって、いつも気にかけてくれるし、親身になってくれるし、家まで送ってくれるし、さっきも歩道側を譲ってくれるし!」



『それは、まぁ、いつもお世話になってるんで』



佐藤「…お世話になってるから、っていう理由だけですか?」



『へっ?』



佐藤「私じゃなくてミコトとか夕子にも同じことしますか?2人でご飯に行きます?」



『え、あ、いやー、どうでしょう』









どうしてそんな事を聞くんですか。質問を質問で返すのはタチが悪いか。

なんて言えばいいのだろうか

貴方は特別です。と言ってしまえばスッキリする?
でも多分俺がそれを言ってしまったらあなたの名字さんは困ったように笑うから

そんな顔をさせたい訳じゃない

貴方にはずっと楽しそうな笑顔をしていて欲しい
見るだけて疲れが飛んで、こっちまで笑顔になってしまうようなそんな笑顔を。








俺が数歩足を進めても中々隣に並んでくれないあなたの名字さん

振り返るとあなたの名字さんは顔を俯かせて、両手で顔を覆っている









『うぇっ!?あ、えー?す、すんません、俺なんか変な事言っちゃた?』



佐藤「ど、どうしましょう、、嫌だと、思ってしまいました」



『えっ?』



佐藤「も、毛利さんが、他の女の人と2人でご飯に行くのが……いや、です」



『………へっ』



佐藤「他の人に優しくして欲しくない、その優しい笑顔も私にしか見せて欲しくない、、、
わがままな私が生まれてしまいました、お、お酒のせいでしょうか」



『…ちょ、ちょっとタンマタンマ!』



佐藤「ごっ、ごめんなさい!いや、あの、困らせてるっていうのは、わかってるんですけど。
…えっと聞かなかった事にしてください、忘れてください」










脳が、追いつかない

この人は何を言っているんだ?

小さな範囲から覗かせる真っ赤に染まった頬はお酒のせい?それとも俺のせいなのか?

そんなこと、有り得る!?

誰かと勘違いをしているのでは無いか、?


そんな事、俺の事を好きだと言っているようなものじゃないか。








『わっ、忘れれるわけないでしょーが!』



あなたの名字「なっ、忘れてください!」



『いやいや、無理ですって、そんな可愛いことを言われて勝手に舞い上がってる俺の気持ちも考えてくださいよ』



あなたの名字「え、かわっ、えぇ?キモイ事しか言ってませんよ」



『…え、えっとぉ、俺の事好きってことで、合ってる、?』



あなたの名字「………好き、なのかもしれません」



『俺の事、?』



あなたの名字「毛利さんのこと」











うわ、うわ、うわっ!!!!←

え、えぇぇ、こんなことあっていいのか!?

これ最終的に夢落ちだなんて事有り得るんじゃないのか!?


こんなに誰からも必要とされてる貴方が俺の事を好きだなんて、非現実的過ぎる







そんな事をウダウダと考えていると俯いていたあなたの名字さんは急に走り出す

急な展開に頭が追いつかず口が空きっぱなしになってしまっていた

数秒駆け抜けるあなたの名字さんの後ろ姿を眺めた後我に返り急いで追いかけた







思った以上に足の遅いあなたの名字さんには5秒もしないうちに追いついてしまった

名前を呼んで腕を掴めば諦めたように足を止める










『ちょっあなたの名字さん!待って!』



あなたの名字「んなっ!?毛利さん足速っ!!」



『刑事舐めないでください!なぁんで急に走り出すんですか』



あなたの名字「毛利さんが困った顔してたから、」



『え!?あっ、いや、してません!してないしてない!』



あなたの名字「だって毛利さん何も言わないし」










掴んでいた腕をグイッと自分の元に引き寄せて距離を一気に縮める

身長差的にちょうど自分の心臓あたりに顔を寄せる

多分今の俺は何をカッコつけても、心臓の音で全部バレんだろうなぁ、










『あなたの名字さんの事が好きです。結構、割と、大分前から』



あなたの名字「えっ?」



『えってなんですかえって。』



あなたの名字「えぇ!?好き?誰が?毛利さんが?私を?」



『えぇ。私があんたを』



あなたの名字「え、えぇ?嘘じゃないですよね?」



『この心臓の音聞いて嘘つくわけないじゃないですか。私はそんなに器用じゃない』



あなたの名字「いや、この音は私ので、、、、いや。毛利さんのだ」



『でしょう?って!聞き耳をたてないでくださいお恥ずかしい!!』



あなたの名字「えぇ、嬉しい、めちゃくちゃ嬉しいんですけど」



『逆にこんなおじさんでいいわけ?』



あなたの名字「毛利さんが!良いんです」



『へぇ、』



あなたの名字「照れてる!毛利さんが照れてる!!かわいー!」









可愛いのはあんたですよ。

未だにこんな素敵な人が俺のことを好きだなんて実感が湧かない。なんならドッキリなんじゃ、?とも思ってる










『俺の恋人になってくれますか』



あなたの名字「ふふっ久しぶりにちゃんと告白された」



『返事は?』



あなたの名字「よろしくお願いします!
ってことで、毛利さん家来ます?」



『……明日酔いが覚めても後悔しないで下さいね』



あなたの名字「後悔させないように毛利さんが頑張ってください」



『まじでほんとに歯止めが効かなくなるんで、煽んないでください』












あなたの名字さんが俺の事を見てくれてる限り全力で愛させてもらう。


1度握った手は離したくないし、奪われたくない。

この人は俺の恋人だと牽制しないとな。








プリ小説オーディオドラマ