帰ってからも部屋で練習した。
部屋にいつ入ってきたのか、じょんよんおんにがこっちを見ていた。
真剣な面持ち。
もうレコーディングなのにダンスを未だに悩んでるのはどうなの。
ソロデビュー。
失敗なんてしたくないんだ。
私はJYPでソロとしてデビューするはずだった。
もう少しでデビューできる、そんなときに、SIXTEENの話が入った。
私は望まなかったのに、PDニムが入れたんだ。
だからTWICEとしてのデビューは確定していた。
あの時の感情を思い出して。
デビュー寸前、私は周りのソロの方に負けたくないと思ってた。
今はメンバーがいるからってなめてかかってる。
それはどうなのかな。
ソロでデビューするこの機会に、グループとしての心構えも変えよう。
そんなことを考えながら踊っていたら一瞬いい動きが出た。
もうこれで行くしかない。
明日はレコーディングだし、歌詞の確認もしなきゃいけない。
じょんよんおんにまだいたんだった。
一瞬何か言いかけて部屋を出ていった。
歌詞が書いてあるノートを開き、読み上げていく。
今回の歌詞はかなり気に入っていて、バラードの分類に入ると思う。
このソロデビューで学ぶことは多い。
でも、失うことも何かしらあるはず。
メンバーだけは失わないようにしなくちゃ。
歌詞を読みながら寝転がっていると、いつの間にか眠りに落ちた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!