その声を聞いて、
私たちは関わりたくなくて
すぐに靴箱を出ようと階段の方に歩き出した
すると
靴箱をちょうど出たあたりで
向こうと隣に並んだ
私の頭の上に
磯村先輩の手が乗っていた
いや、え!?
なに、どういうこと...!?
私と予定がある?そんなのないけど...!?
私が驚きすぎて何も言えないでいると
磯村先輩は
私の腕を掴んで
階段に向かった
私はついて行くことしか出来なくて
黙ったままついて行った
そのまま適当な空き教室に入る
果耶は...置いてきちゃったかも、どうしよう、
っていうか...
そう言って出ていこうとすると
磯村先輩が話しかけてきた
そう言い残して
先輩は出ていってしまった
昼休みになった
私と果耶は屋上に向かう
まっけんとは...顔を合わせたくないって思ってたけど
やっぱり、ちゃんと向き合わなきゃダメだって
思い直した
果耶が...私のことを考えて言ってくれたみたいに
逃げてちゃダメだ
大志くんに話しかけられた果耶は
すぐに私のところに戻ってきた
そう言って泣き出した果耶の背中をさする
果耶も...辛いことかかえてるんだ
健太郎くんが言ってた...
辛いのは私だけじゃないって...
もっと周りのことも見てあげなきゃ、
すると紫耀が話しかけに隣に座ってきた
まっけんの方を見る
工藤先輩たちと楽しそうに話している
そう言葉にすると
涙が1粒私の頬を伝った
私、ずっと誰かに言いたかったんだ
本当は...好きでいるのが辛いんだってこと
分かりやすく嫉妬したり悲しくなったりするわけじゃない
まっけんのことを好きでいると...
不安になったり嫌になったりする
それなら...好きでいない方が
まっけんの隣にいても楽しいんじゃないかって...
そう言い残して紫耀は行ってしまった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。