第86話

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2020/04/23 23:57
和也 Side



走っても走っても足が前に進んでない気がする



呼吸の仕方がわからなくなるほど、

僕らは駐車場から病室まで走った






「 あなたっ!! 」






勢いよくあいた扉の向こうには、

ハンカチで目を抑えて涙を流すマネージャー、

必死に治療を続けてくれる先生達がいた






「 あなた!みんな来たで! 」




佐島先生がそういうと、

ゆっくりと視線がこっちへ向く。





「 あなたちゃん! 」



1番に駆け寄ったみっちーが、

あなたちゃん、とその肩に顔を埋めて泣く。





後から他のメンバーが続く。







「 あなたちゃん、わかります? 」





「 来ましたよ、 」















わかってるのかわかってないのか、

あなたは曖昧な表情をする。
















『 お、か、え、り 』

















ゆっくりと確実に。





あなたはそう言った。














「 ただいま、ただいま、! 」







もう何もわからなくなるほどに

泣くしかなかった。





涙が溢れて止まらなかった。


















「 頑張ったな、頑張ったよあなた、 」







大ちゃんがあなたの手を握りながら

嗚咽の隙間に言葉を紡ぐ。







「 俺、あなたちゃんのシンメで、よかったんすかね、 」





泣かないように、必死でこらえて、

恭平がそう問う。






その問いに

にこって、口角を上げて。


それにもう耐えきれず

恭平は俺の背中に顔をうずめて泣いた。






みっちー達はもう何も言えずに、

ただ名前を呼んで泣いて、

いやだ、だめ、って


ただそれだけ。







「 あなた、?

疲れたやろ、俺らが来るまで待っててくれて

ほんまにありがとう、 」





丈くんがゆっくりゆっくり

あなたの頭を撫でる。






「 なにわ男子に、関ジュにいてくれて

ほんまに…ほんまにありがとう…っ 」





いやだ、やめて、丈くん、いやです、って

謙杜がもう声にならない声で。






「 あなた、俺らはお前のこと大好きやから

あなたのこと絶対、一生忘れへんから


ずっと、なにわ男子は8人やから、 」





全員の目からこぼれ落ちる涙は、

止まる事など知らずにただ溢れてくる






「 あなた、大好きやで。

俺達はずっとあなたの事大好きや 」







やから…っ




そこで丈くんは言葉を詰まらせて、

嗚咽を飲み込んで。













































「 もうゆっくり休んで…っ? 」

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