和也 Side
走っても走っても足が前に進んでない気がする
呼吸の仕方がわからなくなるほど、
僕らは駐車場から病室まで走った
「 あなたっ!! 」
勢いよくあいた扉の向こうには、
ハンカチで目を抑えて涙を流すマネージャー、
必死に治療を続けてくれる先生達がいた
「 あなた!みんな来たで! 」
佐島先生がそういうと、
ゆっくりと視線がこっちへ向く。
「 あなたちゃん! 」
1番に駆け寄ったみっちーが、
あなたちゃん、とその肩に顔を埋めて泣く。
後から他のメンバーが続く。
「 あなたちゃん、わかります? 」
「 来ましたよ、 」
わかってるのかわかってないのか、
あなたは曖昧な表情をする。
『 お、か、え、り 』
ゆっくりと確実に。
あなたはそう言った。
「 ただいま、ただいま、! 」
もう何もわからなくなるほどに
泣くしかなかった。
涙が溢れて止まらなかった。
「 頑張ったな、頑張ったよあなた、 」
大ちゃんがあなたの手を握りながら
嗚咽の隙間に言葉を紡ぐ。
「 俺、あなたちゃんのシンメで、よかったんすかね、 」
泣かないように、必死でこらえて、
恭平がそう問う。
その問いに
にこって、口角を上げて。
それにもう耐えきれず
恭平は俺の背中に顔をうずめて泣いた。
みっちー達はもう何も言えずに、
ただ名前を呼んで泣いて、
いやだ、だめ、って
ただそれだけ。
「 あなた、?
疲れたやろ、俺らが来るまで待っててくれて
ほんまにありがとう、 」
丈くんがゆっくりゆっくり
あなたの頭を撫でる。
「 なにわ男子に、関ジュにいてくれて
ほんまに…ほんまにありがとう…っ 」
いやだ、やめて、丈くん、いやです、って
謙杜がもう声にならない声で。
「 あなた、俺らはお前のこと大好きやから
あなたのこと絶対、一生忘れへんから
ずっと、なにわ男子は8人やから、 」
全員の目からこぼれ落ちる涙は、
止まる事など知らずにただ溢れてくる
「 あなた、大好きやで。
俺達はずっとあなたの事大好きや 」
やから…っ
そこで丈くんは言葉を詰まらせて、
嗚咽を飲み込んで。
「 もうゆっくり休んで…っ? 」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!