第49話

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2018/08/06 07:42

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「……寒っ」




ホテルから出るなり




ジョングクはそう言って背中を丸める。




「あなた、なに離れてんの?こっち来いって」




チェックアウトするジョングクを
ロビーで見守ってから




なんとなく距離を取って歩いてた私。




だってもう、“高校生”っていうのが
頭から離れない。




ジョングクじゃないけど




聞かなきゃよかった……。




「あなた、」


「……あ、うん」




呼ばれちゃ仕方ないと思って




ジョングクの隣に並ぶ。




……途端に繋がれた手。




「もう冷たい。笑」




そう言って笑うと




ジョングクは私の手をまたポケットに入れた。




外に出ると




何を話したらいいのかわからなくて




ジョングクにされるがまま、黙って歩く。




私が何も言わないからか




ジョングクも黙ったまま。




だけど、気まずい訳でも




心地悪い訳でもない。




なんだろう……。




高校生ってわかってから
年下感半端ないのは確かなんだけど




“ああいう事”してるからか、
子どもだとは思えなくて。




何するにも堂々としてるから
頼りになるって言うか




ジョングクが言った通り




高校生っていうのは忘れた方がいいのかも……。




「え……ちょ、ジョングク、」


「なに?」




駅に着くと




当たり前のように
私の路線方向に進むジョングクを
呼び止めた。




「今日はまだ時間早いから一人で帰れるよ、」


「心配だから無理」


「っ」




……なにそれ。




無駄にきゅんとさせないでよ……。




「黙って送られな?笑」




……やっぱりなんか悔しい。




嬉しいけど。




「……わかった」




どうして心配してくれるのか




どうして会いたいと思ってくれるのか。




前に、私の事知りたいって言ってたけど




それだけじゃないと思うのは




私の自惚れかな……?




電車を待つ間




ポケットの中でジョングクの手を握ったら




倍以上の力で握ってくれる。




勘違いでもいいやって思ったけど




欲が出ちゃうのが人間で。




女の子は一回寝たら終わり、
って言ってたジョングクが




私の事は何度も抱く。




……その理由が知りたい。




どんなんでもいいから、答えが知りたい。




私が望む答えじゃなければ




また元の生活に戻ればいいだけ。




「あなた、」


「ん…?」


「離れんなよ?笑」








だから、それはどういう意味なの……?





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