バタバタ
たくさんの機器に囲まれてる棗
その言葉の先は言わなかった
素早く病室から出る
工藤先生、棗の事大切なんだな。
全部わかってるような行動
最初会った時棗の寂しそうな目が忘れられないんだ。
今は全然そんな目はしないけど
棗をほっとく家族が嫌いだ
棗はいい奴なのに
--------キリトリ線--------
医者として涙を流すことはダメだ
頭を撫でる
嬉しそうに笑うんだ
あともう数時間の命だろう
茜くん早くしろよ。
--------キリトリ線--------
自分でもわかる、今日で死ぬ...
もう、十分楽しめた......
余命宣告を過ぎたのは楽しめって神様が言ったのかも...
ガラガラッ!
お兄ちゃんが驚いた顔をする
ゆっくり近寄ってくる
あぁ、瞼が重い...
目から1滴、涙が出てきた
そして眠った
電子音が鳴き声をかき消すようになった
--------キリトリ線--------
こんなに早く死ぬなんて思ってなかった
なんでッ...会いに来なかったんだよっ
横の棚に棗が小一の時の写真が飾ってある
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!