第16話

貴方のために
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2025/01/05 09:37 更新
翌朝。

私は勇気を出して教室の扉の取手に手をかけた。
教室に入るなり、すぐさま花菜ちゃんのところへ向かう。
(なまえ)
あなた
お、おはよう…
三井花菜
おはよー…って、やっぱり似合う…!
きらきらとした目で言うと、抱きついた。
三井花菜
可愛すぎるよ〜!早く加賀美くん来ないかな〜
(なまえ)
あなた
へ、変じゃないよね…?
三井花菜
何言ってんの!うちの目に狂いはないから、安心して!
ニッコニコの笑顔で言われると何も言い返せない。

それにしても、眼鏡がないのはなかなか慣れないものだ。

今まで「眼鏡が本体です」という程だったから、不思議な感じがする。
そんな事を考えていると…
加賀美隼人
加賀美隼人
おはようございます
背中から声がかかった。

……加賀美さんだ。
どきりとして、スカートをぎゅっと掴む。

緊張して振り返れない。
三井花菜
加賀美くん、おはよー
加賀美隼人
加賀美隼人
おはようございます
…あなたの名字さん、どうかされたんですか?
ギクッとなる。

花菜ちゃんは、躊躇することなく
三井花菜
それがね、あなたの下の名前がめちゃくちゃ変わったんだよ〜!ねっ、あなたの下の名前?
と、笑顔で問う。

私は仕方なく頷いた。
加賀美隼人
加賀美隼人
変わった…?
不思議そうにする加賀美さんを見て、花菜ちゃんはもう、と言いながら私を振り向かせた。
振り返った瞬間、加賀美さんとバチッと目が合う。
(なまえ)
あなた
え、えっと…お、おはようございます…。
加賀美さんは驚いた顔を一瞬浮かべ、すぐさま笑顔になった。
加賀美隼人
加賀美隼人
おはようございます!
眼鏡外したんですね、……お似合いですよ
少し照れ笑いしている加賀美さんを見て、こちらも恥ずかしくなってしまう。

思わず顔を覆ってしまった。
(なまえ)
あなた
あ、ありがとうございます…。
私…コンタクトとか初めてだったので…少し目が赤いんですけど…。
加賀美隼人
加賀美隼人
えっ、大丈夫ですか…!?
いきなり真っ暗な視界が明るくなった。

と、同時に加賀美さんの顔が入り込む。
(なまえ)
あなた
わぁ…っ!?
思わず仰け反ってしまった。

それにしても、加賀美さんの顔が近い。
私は、顔がのぼせたのではないかと錯覚する程熱くなっていた。
加賀美隼人
加賀美隼人
本当だ…。少し赤いですね、コンタクトする時は目薬するのがオススメですよ…って、あなたの名字さん?
加賀美隼人
加賀美隼人
顔が赤く…
(なまえ)
あなた
ちょ、加賀美さん…!?
加賀美さんの少しひんやりした細い手が頬を触った。

か、顔が近い───。
塩野くん
おいこら加賀美、あなたの名字のこと困らせんなよ?
後ろから塩野くんがグイッと加賀美さんを引っ張って離した。

加賀美さんは初め何も分かっていない顔をしていたが…段々自分のした事を理解したのか、手で顔を覆った。
加賀美隼人
加賀美隼人
…っすみません…!
ちょっとあの…私何をして…。
耳が真っ赤だ。

それを見て、私も再び顔を覆った。
(なまえ)
あなた
い、いえ…。だ、大丈夫です…。
三井花菜
あぁぁもう朝から何見せられてるんだか…!
うちだってああいうシチュエーションしてみたいよー!
お昼を食べながら花菜は悲痛な声を上げる。

隣に座る塩野がまぁまぁ、と言いながらチョコ菓子を花菜に差し出した。
塩野くん
まぁ確かに俺も何してんだとは思ったけどさー…。お前が言い始めた事だろ?
三井花菜
そうだよねぇ〜…。うちが勧めたんだからこんな事言っちゃダメだよね…。
花菜はチョコ菓子を口に放り投げ、ベンチの上に体育座りで丸くなった。
塩野くん
お前さぁ…スカートなんだからそういう座り方やめろよな
三井花菜
この変態め
塩野くん
へー、もうお菓子要らないのな?
三井花菜
えっ、ちょっと待ってよ嘘だってば!
花菜は慌てて足を下ろした。
三井花菜
(…にしても、塩野と2人でお昼出来るなんてなー…。)
実は先程、恋に進展がないと相談した時に、あなたの下の名前が2人でお昼を食べてみたらどうかと勧めてくれたのだ。
(なまえ)
あなた
塩野くんは私が加賀美さんの事、…好き…なの知ってるし…。…どうかな?
三井花菜
あなたの下の名前…。うん、うち頑張ってみる!
あなたの下の名前は加賀美くんとの恋を内気な性格ながら一生懸命頑張っているのだ。

それなら、自分が頑張らなくてどうする。
塩野くん
…あの2人、そろそろ付き合うかもなー。
塩野の声が聞こえ、ハッと我に返る。
三井花菜
あの2人って…加賀美くんとあなたの下の名前?
塩野くん
それ以外に誰がいるかよ。三井はどう思う?
三井花菜
ん〜…うちも、そんな気がしてる。
正直さ、あの2人ここ最近めっちゃ距離近づいたっていうか…ほぼ付き合ってるっしょ、みたいな感じしない?
塩野くん
あーわかる。加賀美もさ、良くあなたの名字の話をしてて
三井花菜
何それ!絶対好きじゃん!
花菜がキラキラと目を輝かせながら話すと、塩野はハハハッと笑った。
塩野くん
なんか、羨ましいな。
俺もそろそろ青春してぇよ
塩野が空を見上げる。

花菜は食べ終わったお昼のサンドイッチの袋を握りしめ、
三井花菜
……いるの?塩野は…。
塩野くん
え?
三井花菜
…好きな人
塩野くん
なっ…!?
塩野をちらりと見る。

少し照れているのだろうか、耳が赤い。
塩野くん
…いるよ
三井花菜
それって、誰?
そう言うと、塩野は花菜の顔を覗き込み、
塩野くん
さぁ、誰だろうな
と笑った。  

顔を離すと、ベンチから立ち上がり歩き始めた。
三井花菜
は、はぁ…!?何それずるい!
花菜は慌てて追いかけた。

──でも…塩野、これって期待していいやつ?

それならちょっとだけ、期待してるから。
月詠セナ
月詠セナ
お気に入り登録200人以上…!皆様いつもありがとうございます🙇‍♀️
月詠セナ
月詠セナ
今回はしおみつコンビのお話も入れてみました…!
しおみつコンビは少女漫画みたいなノリで楽しんで貰えたらなーという感じです!
月詠セナ
月詠セナ
次回は加賀美さんとあなたの下の名前ちゃんのお話ですので、お楽しみに〜

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