1988年9月6日(火)
戦争の初日が、悪夢のように過ぎ去った。
Sレイマリが断腸の思いで発令した第一次防衛線放棄の命令により、北部方面隊の各部隊は多大な犠牲を払いながらも、札幌市街地の手前に設定された第二次防衛線まで後退を完了した。ぐさお率いる士魂部隊の決死の殿(しんがり)によって稼いだ、血塗られた時間だった。
夜が明けた札幌の空には、季節外れの冷たい雨が降り注いでいた。それは、長く、泥沼化する戦いの始まりを告げる涙雨のようだった。焦げ付く硝煙の匂いを洗い流し、瓦礫の山と化した市街地を濡らし、兵士たちの体温と士気を容赦なく奪っていく。
北部方面総監部の空気は、初日の混乱が嘘のように静まり返っていたが、それは希望ではなく、誰もが消耗しきっている証だった。
「ぜんこぱす陸曹、メテヲ技官、入ります!」
司令部に、場違いなほど活気のある声が響いた。Sレイマリ総監の直属特務となった二人が、最初の任務報告のために現れたのだ。
ぜんこぱすの報告は、淡々としていた。だが、その内容は司令部の幕僚たちを驚愕させた。たった二人で、しかも半日も経たずに、一個中隊に匹敵する戦果を挙げてきたのだ。
「どうやったんだ?」
幕僚の一人が思わず尋ねると、メテヲがニヤニヤしながら答えた。
その常識外れの戦術に、誰もが言葉を失う。Sレイマリは、この異質な二つの刃の有効性を確信した。
敬礼もそこそこに、二人は再び雨の降る最前線へと姿を消した。彼らの神出鬼没のゲリラ戦は、消耗していく自衛隊にとって、数少ない希望の光となっていく。
9月〜10月
病気を患われ、容体が悪化されている天皇陛下は宮城にあらせられる中、テレビに向け放送を行った。
それは国家を守る自衛隊員達への応援であり、彼らも士気高揚の素となった。
しかし、戦いはSレイマリの予想通り泥沼の消耗戦へと突入した。
札幌市街の手前に急造された第二次防衛線は、戦争という現実を北海道の地に刻みつける巨大な傷跡だった。市民が避難した後の住宅街にはバリケードが築かれ、公園には対戦車壕が掘られ、全ての窓が銃眼と化した。ぐさお率いる士魂部隊の90式戦車は、ビルを盾にその巨体を隠し、侵攻してくるソ連軍を待ち構えていた。
初手の猛攻は、凄まじかった。ソ連軍は自衛隊の戦力が整わないうちに、力押しで防衛線を突破しようと試みたのだ。
ぐさおの号令一下、待ち伏せていた士魂部隊の主砲が一斉に火を噴く。市街地へと続く幹線道路上で、先頭を進んでいたT-80戦車が火達磨となり、後続の部隊は混乱に陥った。そこへ、ビルの屋上や地下鉄の入口に潜んでいた普通科部隊の84mm無反動砲や79式対舟艇対戦車誘導弾(重MAT)が突き刺さる。
初戦は、自衛隊の練度がソ連軍の物量を上回った。だが、それはこれから始まる地獄の序曲に過ぎなかった。
敵は、力押しが無理だと悟ると、より陰湿で、そして確実な戦法に切り替えた。後方に展開させた2S3アカーツィヤ 152mm自走榴弾砲による、24時間体制の絶え間ない砲撃。それは陣地を破壊するだけでなく、兵士たちの神経を少しずつ、しかし確実に削り取っていく悪魔の鼓動だった。
その悪魔の心臓を叩くのが、Sレイマリ総監直属の特務となった、ぜんこぱすとメテヲの役割だった。
メテヲの声が、特殊な暗号通信でぜんこぱすのイヤホンに届く。彼は敵の警戒網を単独で潜り抜け、目標からわずか数百メートルの地点に潜伏していた。その手には、メテヲがあり合わせの部品で組み上げた携行式の迫撃砲もどきが握られている。
ぜんこぱすの応答を受け、メテヲが遠隔操作で砲弾を発射する。放物線を描いた数発の小型榴弾は、正確に弾薬集積所に着弾し、凄まじい誘爆を引き起こした。夜空が真昼のように明るくなり、敵の砲撃が一時的に止む。その一瞬の静寂が、最前線の兵士たちにとってどれほどの安らぎとなったことか。
ぜんこぱすは、混乱に乗じて敵の砲兵指揮官を狙撃すると、再び闇へと溶けていった。彼らの戦果は、絶望的な戦況における局所的な「奇跡」だった。だが、大局という名の巨大な濁流は、その小さな奇跡を飲み込みながら、ゆっくりと南へと流れ続けていた。
9月下旬〜10月上旬。冷たい秋雨と、飢え。
季節は、容赦なく移ろいだ。夏の名残は消え去り、北海道には陰鬱な秋の長雨が居座った。塹壕はぬかるみ、兵士たちの戦闘服は乾く暇もない。体温と共に奪われていくのは、士気と、生きる意志だった。
雨と風が叩きつける中、ヒナ三尉のヒューイは、まるで傷ついた鳥のように必死で飛んでいた。敵のレーダーに捕捉されにくい超低空飛行。だが、それは同時に、敵歩兵の携行対空ミサイル(MANPADS)や、高層ビルに潜む狙撃兵の格好の的となることを意味した。
ガタガタガタガタとかなりの金属音がなった後、しばらく通信が途絶えた。
兄であるルカ二佐の悲痛な声が司令部に響く。数分間の通信途絶。それは、彼にとって永遠よりも長い時間だった。
再び繋がった無線の向こうで、妹は気丈に嘘をついた。機体に刻まれた新たな弾痕を、兄に見せるわけにはいかなかった。彼女が運ぶのは、負傷兵だけではない。日に日に心細くなっていく補給物資もそうだ。
電話口で、ルカは声を絞り出した。後方で戦う彼にとって、前線の兵士たちの命に値段をつけるような、この計算こそが地獄だった。燃料がないから、戦車は動けない。弾薬がないから、反撃もできない。医薬品がなければ、助かるはずの命が失われていく。その全てが、彼の双肩に重くのしかかっていた。
空の戦いもまた、泥沼の消耗戦と化していた。
千歳基地へ帰還したF-15Jのコックピットで、菓子二尉は燃え尽きたように呟いた。本土からの援軍は到着した。だが、ソ連軍もまた、大陸から次々と新手の航空部隊を送り込んできたのだ。敵は、2機や3機を失うことなど、何とも思っていない。だが、自衛隊にとって、1機のイーグルと1人のパイロットを失うことは、心臓を抉られるに等しい喪失だった。
姉の茶子一尉は、妹を励ましながら、自らの震える手を固く握りしめた。仲間が撃墜される瞬間を、この一ヶ月で何度も見てきた。その度に、心の一部が死んでいく。それでも、彼女たちは空へ上がった。北の空を守る、最後の翼としての誇りを胸に。
10月中旬。燃える札幌と、決断。
秋雨が、みぞれ混じりの冷たいものに変わった頃、ソ連軍は総攻撃を開始した。それは、自衛隊の消耗が限界点に達したのを、完全に見計らってのタイミングだった。
主力部隊が札幌の防衛線に牙を剥くと同時に、隠されていた別働隊が、大きく迂回して道央の要衝・旭川に襲いかかった。完全に意表を突かれた旭川駐屯地は、わずか半日で陥落した。
その報は、札幌で死闘を繰り広げる兵士たちに、絶望という名の追い討ちをかけた。
「ぐさお師団長! 敵、大通公園を突破! テレビ塔に赤旗が!」
見慣れた札幌の街並みは、今や無惨な戦場と化していた。デパートのショーウィンドウは砕け散り、路面電車の線路は瓦礫に埋もれ、市民の憩いの場であった公園は、おびただしい数の死体が転がる殺戮の庭と化した。
ぐさおの90式戦車は、狸小路のアーケードを盾に、市庁舎を狙う敵戦車と撃ち合っていた。だが、無線から聞こえてくるのは、断末魔の悲鳴と、後退を求める懇願ばかり。
最強を謳われた士魂部隊も、補給が途絶した市街戦では、その牙を十全に振るうことはできなかった。
その光景を、Sレイマリは、陥落寸前の札幌市庁舎の屋上から、双眼鏡で見つめていた。旭川が落ちた今、札幌で粘ったとしても、やがては南北から挟撃され、包囲殲滅されるだけだ。これ以上の戦闘は、犬死に以外の何物でもない。
彼女は、同行していた通信兵に、静かに告げた。
通信兵は、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、それでもその命令を正確に打ち始めた。
「全隊、道南へ転進。函館で、最後の防衛線を構築する」
それは、故郷を愛した指揮官の、血を吐くような決断だった。
燃え盛る札幌の街を背に、傷つき、疲れ果てた北の防人たちは、南へ、南へと、最後の望みを賭けた、悲壮な撤退行を開始した。
その報が、東京・市ヶ谷の統合幕僚監部にもたらされたのは、数時間後のことだった。スクリーンに映し出された燃える札幌の映像を前に、めめんともりは、国家として、より大きく、そしてより非情な決断を下すことになる。
士魂、北に燃え尽きようとする今、日本の命運は、断腸の思いで下される、一つの命令に委ねられようとしていた。
統合幕僚監部の巨大スクリーンには、道南へと追い詰められていく友軍部隊の赤いアイコンが、悲しいほど少なく表示されていた。札幌、そして旭川の陥落。それは、北海道の防衛が事実上、終焉を迎えたことを示していた。
陸上幕僚長・いえもんが、冷徹な事実を告げた。彼の冷静な分析は、これ以上の北海道での戦闘継続は、本土防衛に必要な戦力すら失う、国家的な自殺行為だと示していた。戦略家として、彼は非情な選択肢を提示せざるを得なかった。
航空幕僚長・Latteが、涙ながらに反論する。彼女の部下たちも、この二ヶ月近く、血を吐くような防空戦闘を続けてきたのだ。その犠牲の全てを、無にしろと言うのか。
海上幕僚長・ウパパロンは、沈黙したまま海図を睨んでいた。彼の「奇想」の作戦、第1護衛隊群による通商破壊戦は、ソ連軍の補給に確実な打撃を与えてはいた。
だが、大陸と地続きの敵の圧倒的な物量を覆すには至らなかったのだ。彼は、いえもんの冷徹な正しさと、Latteの激情に満ちた正義の両方を理解していた。だからこそ、何も言えなかった。
三人の幕僚長の視線が、統合幕僚長・めめんともりに集中する。
彼女は、自衛隊史上、最も過酷で、最も非情な決断を迫られていた。北海道を見捨て、本土防衛に戦力を集中させるか。それとも、玉砕を覚悟で、最後まで北海道で戦い抜くか。
彼女の脳裏に、北の大地で戦う部下たちの顔が、そして救いを求める道民の声が、こだまする。その優しさと情の深さ故に、彼女は誰よりも深く苦悩した。だが、彼女は国家の最高意思決定者だった。私情を殺し、大局を見なければならない。
長い、長い沈黙の後、彼女は顔を上げた。その瞳に、もはや迷いはなかった。溢れそうになる涙を、指導者としての強い意志で押し殺していた。
Latteが息を呑むのが、空気の振動で伝わった。
めめんともりは、一言一句、噛みしめるように、歴史に残る断腸の命令を下した。
同日 青森・大湊地方総監部
統合幕僚監部からの命令は、津軽海峡の防衛を担う大湊地方総監・みぞれ海将補の元へも届いた。彼女は、司令部の窓から、荒れ狂う津軽海峡の黒い波を見つめていた。その向こうには、今も同胞たちが死闘を繰り広げ、そして敗走を続けている故郷がある。
一見冷たい印象を与える彼女の横顔に、初めて熱い感情が浮かんだ。北の海と、そこに生きる人々への深い愛情。そして、故郷を蹂躙する者への静かな怒り。
みぞれは、振り向きざまに幕僚たちへ告げた。
彼女の声は、冬の海のように冷たく、そしてどこまでも澄んでいた。
北の海を知り尽くした守護者は、決死の撤退支援作戦を開始すべく、静かに命令を下した。
10月下旬 北海道・撤退路
転進命令は、最前線の兵士たちに、安堵よりも深い絶望をもたらした。故郷を、守りきれなかった。その無力感が、泥と雨にまみれた敗走の列に重くのしかかる。
殿軍(しんがり)を務める第7師団の通信回線に、Sレイマリ総監からの緊急通信が入ったのは、ぐさお陸将補が最後の突撃を決意した、まさにその時だった。
ぐさおは、操縦席で唇を噛み締めた。目の前では、仲間たちが死んでいった。この地で、彼らと同じ土になるのが武人の本懐ではないのか。だが、Sレイマリの言葉は、彼女の心の最も熱い部分を的確に揺さぶった。ここで玉砕するよりも、さらに大きな怒りの奔流となって、より多くの敵を屠る。その選択肢は、彼女にとって苦渋以外の何物でもなかったが、同時に抗いがたい魅力を持っていた。
Sレイマリの、僅かに震えた声が、最後の一押しとなった。
彼女は、ガントレットを嵌めた拳を、砲塔の冷たい鋼に力任せに叩きつけた。悔し涙が、泥に汚れた頬を伝う。それは、死よりも辛い、苦渋の決断だった。
その上空を、ヒナのヒューイが飛んでいた。燃え盛る戦場の中に、彼女は数両の戦車が必死に南へ向かって後退していくのを見た。その先頭に立つ90式戦車の砲塔には、仁王立ちするぐさおの姿があった。
ヒナは、涙で滲む計器盤を睨みつけ、操縦桿を握りしめた。
その頃、ぜんこぱすとメテヲは、本隊とは別のルートで南下していた。彼らの任務は、敵の追撃を妨害する破壊工作だった。
ぜんこぱすは、南の空を見つめた。故郷を失い、父を失い、彼の戦う理由は、もはや復讐だけではなかった。生きて本土へ渡り、この戦争を終わらせる。そして、いつか必ず、この地を取り戻す。その新たな決意が、彼の心を支配していた。
後ろで爆発音がして爆風が吹いてくる。
この風が我々の追い風となるのか向かい風となるのかは定かではないが、それでも我らはこの地に帰ってくる。
Sレイマリは、後退する部隊の最後尾を行く指揮車両の中で、一枚の地図を握り締めていた。それは、血と泥に汚れた北海道の地図だった。彼女は、車窓から見える、燃える森、破壊された村落、その全てを目に焼き付けていた。
(……今は、退く。だが、必ず、必ず還ってくる)
北の防人たちの心に、敗北の痛みと、再起を誓う不屈の闘志を刻みつけながら、部隊は国家の生命線、津軽海峡を目指した。
士魂、北に燃え尽きようとする今、日本の命運は、荒れ狂う冬の海峡に託されようとしていた。
めめんともりは、断腸の思いで下した【北海道放棄】の命令が、結果として部隊を死地に追い込むだけのものだったのかと、唇を噛み締めた。その時だった。司令部の最奥、米国防総省(ペンタゴン)へと繋がるホットラインのランプが、けたたましい音と共に点滅した。
受話器を取っためめんともりの顔に、驚愕と、そして微かな安堵の色が浮かんだ。短い会話の後、彼女は受話器を静かに置くと、司令部の全幕僚に向かって告げた。
その言葉は、暗闇の中に差し込んだ、あまりにも強烈な一筋の光だった。
同日 北海道・函館上空
Sレイマリは、函館山の臨時司令部から、港を狙うソ連軍のSu-24フェンサー戦闘爆撃機の編隊を、なすすべなく見上げていた。Latteの部下である茶子と菓子のF-15J部隊も、連日の戦闘で満身創痍。もはや、迎撃に上がれる機体は残っていなかった。輸送船への乗船を待つ、剥き出しの兵士たちの頭上に、無慈悲な鉄の雨が降り注ごうとしていた。
その、誰もが死を覚悟した瞬間。
空の状況は、一変した。
函館上空の雲を突き破り、見たことのない数の戦闘機群が出現した。機体に描かれた白い星と青いライン――US Air Force、アメリカ合衆国空軍だ。三沢基地から飛来したF-16ファイティングファルコンと、嘉手納基地から駆けつけたF-15Cイーグルの大編隊が、ソ連軍機に襲いかかった。練度も、電子装備の性能も、そして数も、全てが違った。米軍機が放つAIM-120 AMRAAMミサイルが、次々とソ連軍機を火球に変えていく。
最後の突撃を前に、敵の追撃を食い止めていたぐさおの目に、信じられない光景が飛び込んできた。低空から現れた、独特のフォルムを持つ攻撃ヘリ――AH-64アパッチの編隊が、自分たちが死闘を繰り広げたT-80戦車を、ヘルファイア対戦車ミサイルでいとも簡単にスクラップに変えていく。
そして、空の支配者が入れ替わった空から、無数のパラシュートが舞い降りた。叫ぶ鷲のエンブレムを肩につけた、米陸軍最強の空挺部隊――第101空挺師団だ。
その名は『スクリーミングイーグルス』。彼らはノルマンディーでも投入された部隊だ。
撤退する自衛隊と、追撃するソ連軍の間に敢然と降下し、機関銃と対戦車ミサイルによる完璧な防衛線を、わずか数分で構築してしまった。
米軍の圧倒的な航空支援と、スクリーミングイーグルスの地上での奮戦により、ソ連軍の追撃は完全に頓挫した。
同日 青森・大湊
みぞれ海将補は、米海軍第7艦隊との連携によって盤石となった津軽海峡を渡り、次々と函館からの輸送船が入港してくるのを見守っていた。
ボロボロの戦闘服に身を包み、仲間と肩を寄せ合い、あるいは担架で運ばれてくる北部方面隊の兵士たち。その誰もが、故郷を失った悔しさと、生き延びたことへの安堵が入り混じった、複雑な表情をしていた。
最後に上陸してきたSレイマリの隣には、泥と硝煙にまみれたぐさおの姿があった。
二人から少し離れた場所で、ぜんこぱすとメテヲも、青森の地を踏んでいた。
メテヲは、米軍の特殊部隊員たちに興味津々の様子だ。ぜんこぱすは何も言わず、ただ津軽海峡の向こう、見えなくなった故郷の方角を、静かに見つめ続けていた。
米軍の参戦という、あまりにも大きな代償と引き換えに、北の防人たちは本土への生還を果たした。
士魂、北に燃え尽きることはなかった。その残り火は、米軍という新たな燃料を得て、本土決戦という次なる戦場で、より激しく燃え盛るための熾火となったのだ。
日本の、そして世界の運命を賭けた戦いは、今、新たな局面を迎えようとしていた。
【NNNニュースネットワーク - 1988年10月下旬】
ヘッドライン:政府、北海道を放棄か―方面隊に本土への転進命令
「…衝撃的なニュースが日本全土を駆け巡りました。政府は本日、北海道で戦闘を続けていた北部方面隊に対し、本土への転進、すなわち撤退を命令しました。事実上の【北海道放棄】と受け止められており、国民の間には動揺が広がっています。私の後ろに見えるこの津軽海峡の向こうで、今も自衛隊員が決死の撤退作戦を行っています。故郷を失い、傷つきながら本土に帰還する彼らを、我々はどう迎え入れるべきなのでしょうか…」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。