すっかり怯え顔のあなたを落ち着かせ
ナースステーションに向かった
手にはかつてあなたから送られてきた
「お付き合い報告」のキムソヒョンが
移された画面を握りしめてある
「濱田ですけど」とつげると
奥の方からいつものパク看護師が現れた
連れの年配のおばちゃん看護師が
パク看護師を取り巻くあたり
ここのナースステーションを仕切っているのは
パク看護師に間違いなさそうだ
どこぞのホテルドラマで聞いたことのある
ドラマチックめいた言葉を言えば
その写真を見たパク看護師は可笑しそうに
クスクス笑い出した
このとおり軽そうな口だから
念には念を押しているのだが。
だがパク看護師は、秘密のあなたの世話を
専属で任されているほどなのだから
腕前口前、まぁよいものかと信じたい。
病室に戻ると 、白い顔がさらに白くなった
あなたがちょこんとベッドにいた
あなたが白いせいで心做しか
ペチュニアが血のように真っ赤に見える
衰弱しきったあなたを見て、
「抱きしめたい」と思った。
けれどギリギリの理性を保って
俺の彷徨う手をあなたの背中にまわす。
入院服のシルクの肌触り。
温もりがうっすら伝わってくる。
だけど俺は 、その温もりを感じれば
感じるほどにあなたを求めてしまう。
そっと浮かべたぎこちない笑顔。
まだあなたは本調子ではない。
体調不良で、世の中を知らない女の子。
不安と心配、そして安心が
混ざったこの笑顔は真のものだから。
だから 、俺は胸が苦しくなった。
この無邪気で何も知らないあなたに
傷をつけたくない。
この笑顔を守りたいのだ。
だから 、俺は「友達」で
居続けるしかないのだと。
そう 、思わされた。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!