その日は 、珍しく昼で仕事が終わり
次の曲を作曲するために
事務所のプロデュース室にこもっていた。
パソコン等の器具は2台並べてあって
俺だけが向き合う形だけど
今日は後ろのソファでヒョンソクヒョンと
よしくんが作曲風景を眺めている。
ヒョンソクヒョンはヒョンソクヒョンで、
自分だけのプロデュース室を
いただいているけれど今は
作る気分じゃないからと見に来たらしい。
よしくんはいつもの事だから
なんにも思わないけど。
メロディーを1個ずつ丁寧に設定する
1番いいハモリを見つけるために。
ずっと音に向き合うこの時間が
たまらなく好きだったりする。
なかなか次の楽譜に進めなくったって
完璧な音を見出すだけで
俺は満足してしまうくらいにこだわりが強い
いつものように隣の町のチキン店で
どっさり買い込んできたらしい。
俺は色々と片付けなくちゃだから
先にヨシくんを手洗いに行かせた
ヒョンと雑談しながら片付けていると
iPhoneが急に電話を知らせてきた
異常な声と 、混じる泣き声。
ただ事じゃないとすぐに判断して
そのまま、通話状態にしたまま部屋を
駆け出していた。
タクシー使って突っ走ってく
その間もずっと通話をし続け
「大丈夫やで」と声をかけ続けた
何故か空いていたあなたの部屋のドアを
荒っぽくあけ、リビングに向かうと
透明のコップと水が絨毯に投げ捨てられており
苦しむあなたがそばにいた。
ひんやりと 、体が凍ってくのがわかった
冷や汗が垂れ、ゴクッと息を飲む
解毒剤なんてあるわけないけど
とりあえず棚を漁った
そのとき、ガチャと音を立てて
ドアが開いた。
「焦った顔」というのがソヒョンには
浮かばせてあった。
というのもさすが俳優。
ただし焦りも心配もしていないのが分かる。
怪しい、と思った。
解毒剤を持ってきたソヒョンから
その瓶を受け取って飲ませた結果
あなたはギリギリで助かった。
ソヒョンは救急車を呼ぶために
廊下に出ていったけれど
そのとき、俺は気づいたものがある。
前、ソヒョンと出会ったときに
肩からかけていたショルダーバッグ。
中にはあなたの通帳と、
毒物と思われる瓶が入っていた。
あさひ 過去編 end ────────
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。