第18話

第十四話 しうねの過去
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2022/07/14 10:55
しうねside
私は物心ついたときには父と母に嫌われていた。


出来損ない。役立たず。


よくそう呼ばれた。


使用人には避けられた。


ひとりぼっちで家の中に閉じ込められる。


まるで大きな監獄だった。


なにが役立たずだったのか、出来損ないだったのかはわからない。


毎日、毎日殴られた。蹴られた。ご飯は残りものしかもらえない。


こんな生活が嫌で、なにがダメなのか教えてほしくて、どう頑張ったら役立たずじゃなくなるのか知りたくて。


でも教えてもらえなくて。


毎日が辛かった。


だんだん大きくなっていくにつれて疑問と不満も出てきた。


何故、どうして、殴られなければいけないのだろう。


なにがダメなのか教えてもらえないのに。


ある日、母からこう言われた。



「あんたなんか産まれてこなければよかったのに!!」



つい、言い返してしまった。



「じゃあ、産まなきゃよかったのに」



すぐに後悔した。こんな言葉言わなきゃよかった。


母はその言葉を聞いて逆上した。


そのあとのことは覚えてない。


ただ、喋ることをやめたのは覚えてる。



自分の声を誰かに届けることが怖くて。



考えを、意見を、意思を伝えるのが怖かった。


怯えながら生きていたある日、たまたま自分の部屋の鍵が空いていた。


いつもは鍵を閉められていた。


空いているのを確認した瞬間、無我夢中で部屋を出た。


しかし、からくりだらけでなかなか出口に辿りつかない。


そんな時、この通路を見つけた。


何にも考えずに飛び出した。



逃げたくて。




逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて逃げたくて。



この監獄から。



必死に逃げた。



なにも考えずに走り続けた。



そしてみんなに会った。



今はもう心配しないで。



みんなに会えて幸せだから。



最後にそう言って私はみんなに笑顔を見せた。





上手く笑えてるかな。 





今も怖いよ。今が壊れてしまうのではないかって思ってしまう。




でも、やっぱり。




ずっとこのままではいけない気がするの。





ねろちゃんside
からくり仕掛けが屋敷に施されていると気づいたときには時すでに遅し。

全員バラバラになってしまった。
ねろちゃん
あんまり無闇に動くと良くないよなぁ……
からくり仕掛けだ。壊したりすると全てが狂う可能性がある。下手したら出れなくなるかもしれない。ただ、
ねろちゃん
そんなこと考えねぇよな、あいつらは…
ハッチャンとかポン酢とか詩人さんあたりなにも考えずに上に穴開けていきそ…

とりあえず待機してる人達に連絡した方がいいよな、と思ったがテレパシーが使えない。妨害魔法が入っている。



しゃーねぇ、気をつけながら進むしかないか。
ガチャン

ダァン!!
ねろちゃん
………………ッw
と思った瞬間見事に仕掛けに引っかかって落ちたことは絶対に言わない。恥ずかし過ぎる。

ここどれくらい下なんだろ…たぶんこの中の狂科学者には外部の人間が入ってきたのは伝わってるだろうな…
そう思っていると急に目眩がした。

後から感じる『血』の匂い。

そんなはずは…だってこないだ番長からもらったばっかだぞ…!?

こんなに早く『症状』が出るのはおかし過ぎる。

これは…おそらく……大量に人が殺されている。
ねろちゃん
うわぁ………俺1人でか……
でも誰か仲間が周りにいるよりも動きやすさはある。『暴走』しても迷惑をかけないから。

ちょっとダルさを感じる体を起こしながら俺は血の匂いのする方に近づいた。




俺の正体。



番長にしか話してない俺の過去。



俺は____________。
主。
主。
フォロワーさん100人越えありがとうございます!
主。
主。
これからものんびり書いていきます!
主。
主。
ここまで読んでくださりありがとうございました!

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