第4話

episode1-4
74
2026/01/05 13:07 更新


私の聞き間違いじゃなかったら、今、「数学赤点で追試になって来られなかった子?」って言ったよね?この先輩。

あなた
ど、うしてそれを知っているんですか…

なぜか面識のないイケメンがその事実を知っていたこと、

そして現実を突きつけるようにわざわざ言わなくても文脈が伝わるであろう "数学赤点で" という言葉を使ってきたことで、私の精神は大幅に削られていた。

さとみ
ああ、別にたいしたことではないんだけどね
さとみ
この前の委員会、出欠とる時に欠席理由までしっかり確認されてさ
さとみ
数学の追試って子何人かいたから、追試ってもしかしたらその追試かなって

どうやらこの前の委員会の集まりの様子と、先程の私と先生の会話から推測したらしい。


にしても言い方!!!無意識なのかな、というか私が気にしすぎなだけ???

わざわざ "赤点"とまで言わなくても……
あなた
そうだったんですね……

数人いたというのがせめてもの救いだろうか。

いやでも、こうして個人で特定されてるなら意味無いか。


ていうか普通に恥ずかしい……

前にも言ったように私は追試常習犯で赤点なんかとっても痛くも痒くもないタイプだったけれど、

全く知らない人に言われると結構恥ずかしい。今更気がついた。

さとみ
おれ、3年4組のさとみっていいます。よろしくね
あなた
あ、えっと、2年2組のあなたの名字あなたです、よろしくお願いします

さとみさんが自己紹介をしてくれたので慌てて自分も挨拶をする。
いくら向こうから赤点の話を持ち出されたことが不服であるとはいえ、3年生が受験で委員会を引退する10月頃までは毎週会う付き合いになるんだから、
ある程度良好な関係は築いておかないと。だよね。
それにしても、私がこんなにイケメンな面識ない先輩と一緒に当番だなんて、神様は一体どういうつもりなんだ???

さとみ
じゃあ早速だけど仕事しようか
あなた
はい!
なんか仕事を教わる新人バイトの気分だ。
さとみ
先に返却ボックスを片付けちゃって、その後適当にカウンターで時間潰すのが楽だよ
あなた
なるほど。経験者は語る的な?
さとみ
笑、そうそう

なんかウケてて草。
まったく知らないイケメンと2人きりで図書館に放り込まれて半分絶望仕掛けていたけれど、

先輩は1年のときに経験済みというアドバンテージがあるから案外心強いかも。
さとみ
よいしょ、っと、
さとみ先輩は重たそうな返却ボックスを手前に引っ張り出して蓋を開ける。
さとみ
なんとなくわかる?本返す場所とか番号の見方とか
あなた
はい!たまに来るので
さとみ
よかった、じゃあそんなにないから片付けちゃおう
あなた
はい!

各々本を持って本棚まで戻しに回る。

こういう地道な作業は好きな方なので案外楽しいかも。


さとみ
…で、追試はどうだったの?

先に沈黙を破ったのはさとみ先輩だった。

ていうかまだその話する?まあさっきも話題になってたしこういう時の話題には持ってこいなんだろうけど。
ちなみに追試はどうだったのかというと、

あなた
全然ダメでした…
さとみ
ええwダメだったの?

すこし笑いを含んだ驚いた返事が返ってくる。
あなた
これはワンチャン追々試までありますね
さとみ
2年生追々試までやってんの?厳しー
あなた
え、やっぱ厳しいですよね
さとみ
厳しいよ、3年生そこまでしないもん
さとみ
2年だけじゃね?

受験生もしない追々試まで開催するってどういうつもり??
あなた
もうほんとにひどいんですよ、数学のリーダー?みたいな先生が去年と変わっちゃって
進級しても先生の面子はあんまり変わらなくて、数学の先生もみんなで進級、みたいな感じだったんだけど、

そこに今年転任してきた先生が入ってきて、その人主導で物事が進むようになった。

さとみ
あ、あのなんか前任校が進学校で〜みたいなめっちゃ言ってくる先生じゃない?俺も授業受けてる
あなた
そうです!その先生!
まさかの合致!これは気が合うかもしれない。

進学校から転任してきた先生でめちゃくちゃマウント取ってくる先生。

他の先生達も、その先生が進学校から来たことを知っているから、張り切って数学の主任に就任させた。

数学の先生つながりで共通点が見つかるだなんて。
さとみ
ふふw、あなたの名字さん、図書室だから一応静かにね
あなた
あ、すみません

数学の話でついつい感情が高ぶって場所を弁えることを忘れていた。

まったく情けない。

話しながらやっていたから私の方はほとんど本の返却が進んでいない。
対してさとみ先輩の方は話していたのに本はしっかり減っていてもう終わりそう。
器用な方なんだな…と思いつつ私も焦って片付ける。

さとみ
ごめん俺が話しかけたからだよね、手伝うよ

自分の分を片付け終えたさとみ先輩がこちらにやって来る。
あなた
すみません、手際が悪くて
さとみ
そんなことないでしょ

優しい方なんだな。追試のことを掘り起こされて心の中で文句言ってたことが申し訳なくなる。

さとみ
ねえ、数学苦手ならさ

ふたたびさとみ先輩が口を開いた。
さとみ
俺が教えようか?

あなた
…え?

突然のことで頭が回らない。


わたしが???さとみ先輩に????


数学を教わる…?
さとみ
ほら、委員会してる間暇だし。10月までの付き合いでしょ俺たち
さとみ
こうみえて数学の成績良いからね?

わたしがフリーズしているのを汲み取って次々と追加情報を並べる先輩。
あなた
いや、別に疑っている訳ではなくて、
あなた
すこしびっくりしてしまって
あなた
それに先輩受験生じゃないですか、、!
あなた
私なんかの勉強に付き合わせる訳にはいきません

3年生が任期10月まであるこんな面倒臭い委員会にはいるだなんて、空いた時間の勉強時間確保くらいしか理由は見当たらないんじゃないか。

わざわざ私の勉強に時間を割いてもらうなんてそんな愚かなことはできない。

さとみ
いやいや、教えることで俺も勉強になるんだよ
あなた
…?
ちょっと何を言っているのかわからない
さとみ
知らない?人に教えることで定着率が上がるみたいな
あなた
そういうのがあるんですか?
さとみ
そういうのがあるんです

先輩は私と同じ口調で返した。

こういう会話の中で遊びを混じえてくるあたり、モテそう。

流行りのメロ男ってやつでは??

さとみ
てことでどう?受験勉強を助けるって意味で

そんな向こう側にも利益がありますみたいな言い方されたら断れない。

数学の成績をあげないとまずい状況の私にとってこんなにも好都合な条件が他にあるだろうか?

さとみ
ごめんね、初対面でこんなこと言われても困るよね

返答に困って黙ってしまった私を見て断りずらそうにしていると判断したのか、先輩はそういって引き下がろうとした。


まずい、本当にこれでいいのか??

さとみ
10月まではあるからさ、もしなんかあったらその都度いつでも聞いてくれれば…
あなた
やります、お願いします、私に数学を教えてください

ここで断ったら後悔しそうな気がして、慌てて先輩の言葉を遮って稚拙な日本語でお願いをした。

さとみ
お、まじ?
あなた
まじです

先程先輩がやったように、今度はわたしが同じ口調で返す。
さとみ
わかった、じゃあよろしくね、あなたの名字さん
あなた
よろしくお願いします、!






ほんとはもっと1話を短くしてポンポン出していきたいんですけどどうしても長くなっちゃう😭切れ目がわからなすぎて😭😭😭

話によって文字数バラバラかもですごめんなさい😭

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