第63話

幕間③-2
293
2026/05/07 09:00 更新
sr
っねえ、どういうことなんです!?ぺ、ペナル……ティ?終了?え、ホントに出られないんですか?
 画面に刻まれた文字をなぞる。それから、一拍遅れて改めてモニターの文字の意味を呑み込んだらしいレイマリさんが、バタバタと足音を立てながらこちらに向かって来る。
 レイマリさんは自分たちを避けるようにしながら、モニターをのぞきこんでいる。モニターに問いかける声は震え、動揺が隠せていない。……とりあえず、今はメテヲさんのことが見えているらしい。自分が触れていることがトリガーなのだろうか。
 いや、それよりも今はモニターの言葉だ。レイマリさんの言葉の通り、自分たちは謎のペナルティとやらで調査ができなくなり―――ここから出ることもできなくなると言われているのだ。意味が分からない。……いや、わかる人間が一人だけいる。……こういう時こそ、落ち着かないと。震えそうになる声をおさえて、メテヲさんに問いかけた。
rk
……メテヲさんはペナルティってなんのことかわかります?
mt
……わか、んない。いや、ペナルティのことは知ってるけどそれは手帳のこととか教えたらって話だった、それに、教えたからって調査自体は終わんない、っそう、そうだろ!?
 メテヲさんの焦ったような声。その声に反応してなのか、モニターはまた文字を映し出した。
???
『あなたの持っている手帳には調査対象となる幽霊の情報が予め書かれています』
???
『その代わり、誰にもそのことを知られてはいけないと伝えました』
???
『確かに、手帳について教えてはいません』
???
『ですがあなたは、そこに書いてある情報を仲間に伝えました』
???
『それは手帳の秘密を露呈したと同義ではないでしょうか』
mt
は……そんなの屁理屈だろ!それに、だとしても何で調査が終わるんだよ!ペナルティ食らうとしても、俺だけだろ!?
 メテヲさんは再び叫ぶ。悲痛な声が車内に反響した。……それがメテヲさんの秘密?じゃあ、メテヲさんは最初から幽霊の正体がわかっていて、自分たちと一緒に調査をしていた?上手くまだ呑み込めない中で、モニターが更に続ける。
???
『ペナルティが足りないと判断しました。ですので、調査の終了という形で新たなペナルティが追加になります』
mt
足りないって……いや、意味わかんねぇよ……
 ずるずるとメテヲさんが崩れ落ちる。もはや反論の気力も失われてしまったらしく、そのまま膝をついてしまいそうなところを慌てて支える。
rk
ちょ、メテヲさん大丈夫ですか!?
sr
そ、そんな、脱出できないってどうすればいいんですか?ほら、他にクリア条件があるとかないんです!?
 ずっと横で聞いていたレイマリさんが焦ったように叫ぶ。そんな声にモニターは無情にも返事を返してきた。
???
『クリアするには幽霊調査を行う他ありません』
???
『ですので、ペナルティとして調査を終了としました』
 クリアには調査が必要で、でももう調査はできないのでクリアができない……頭の中で小泉進〇郎構文だな、なんて現実逃避をするようなアホらしいことが思い浮かぶ。でも、それくらいしないと正気を保てそうになかった。ざわざわと話す声も遠く感じる。こんな、こんな簡単にゲームオーバーになってしまうのか?
mt
俺が、俺がバラしたのが悪いんだろ……だったら、追加のペナルティでもなんでも受けるから、皆だけでも許してよ……
rk
っ……!おれ、俺だって!なん、なんだって受けてもええから!だから、どうにかできないん!?
 メテヲさんは消えそうな声で呟く。その声に呼応するように叫んだ。だけど、モニターは無情にも反応しない。絶望に落とされそうになったその時、一人の声が車内に響き渡った。
up
あのさー、盛り上がってるとこ悪いんだけど、オレも混ざっていい?
 それは、相変わらず鈴のように高く良く通る声だ。決して張り上げたわけではないのだけれど、はっきりとした音は自分たちのパニックを止めるには十分すぎる声量だった。少しだけ周囲を確認する余裕が生まれ、声の持ち主―――ウパさんは自分たちを後ろから冷静な目で見つめていたことにも気が付いた。
up
ゴメン、やっぱりメテヲさんの声が聞こえなくてさ、ちょっと色々わかってないんだけど、一旦教えてもらってもいい?
 言いながら一歩前に歩みを進める。自分たちを見回した後、ウパさんはモニターの方へちらりと視線を向ける。そしてすっと目を細め、一言。
up
それに、調査の終了?だっけ。そんな急に言われてはいそうですか、なんて言えないし―――オレもちゃんとこいつとも話したいんだよね

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