言っている意味がわからない
わたしは、緑の生け垣を見回した
確かに、同じヒイラギの木を使っているようだ
清明は男の子の手からミオを抱き上げると、地面に置いた
ミオはトコトコと歩きだし、今度は生け垣から東側の細道へ出ようとする
待って、と大声で叫ぼうとしたわたしは、慌てて口を押さえた
生け垣に頭をつっこんだミオは、すぐに身を翻して戻ってきたからだ
わたしは、まばたきをして清明を見た
清明の表情は落ち着いていて、嘘をついているとは思えなかった
戻ってきたミオを、清明が抱き上げる
わたしがじっと見つめていると、清明は薄く笑った
わたしは腕を差しだして、ミオを受け取った
あの夢はきっと、清明神社の思い出や、もらったお札が効いてほしいという願望が
ごちゃごちゃになった結果なのだろう
それはそれで、残念な気もする
清明は「ああ」と応え、男の子は小さく手を振ってくれた
ミオを抱えて家に入り、玄関を閉める
お札を拾い上げた時、ようやく自分の着ているものに気づいた
ミオを見つけた驚きと安堵で、着替えるのをすっかり忘れていた
ボタンはきちんと留っているが、これは恥ずかしい
腕の中でミオが、餌を求めるように盛んに鳴く
起き出した両親が、「おおっ、ミオ!」「良かった!」と口々に言いながら
廊下を走ってきた
ミオがいつものキャットフードを元気に食べるのを確認すると
家族三人はようやく安心して朝食を摂った
ベーコンエッグとトーストと切ったトマトだけの、いつもに比べて簡単な朝食だ
トマトのみずみずしさとトーストの香ばしさが引っ越しの疲れを拭い去り
ベーコンエッグのあたたかさが力を与えてくれる
お父さんがそう言いながら、苦笑した
お母さんは軽く、お父さんを睨み返す
お母さんが楽しそうに宣言する
実のところ、お母さん自身も酒はいける口なのだった















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!