🐥side
階段を上がってそれぞれスタンバイをする。
僕もイヤモニをはめて大きく息を吸う。
目の前にはあなたの姿。
どうしても今日は心配なんだ。
病院から帰ってきたヒョンとあなた。
マネヒョンも、ナムジュニヒョンもあなたについて何一つ教えてくれなくて。
僕達がどうだったって聞かなかったからなのか…。
FAKELOVEのカウントが始まってパフォーマンスが始まった。
今日もパフォーマンスは生歌で、
みんな調子も良くて上手くいっていた時だった。
曲の終盤、あなたのパートになって
最初は歌っていたのに。
段々と声が小さくなって。
なんと言ったらいいんだろうか。
カラオケ状態になったんだ。
あなたは下を向いて踊っている。
何が何だか誰も追いついていなくて。
🦋side
声が出なかった。
自分でも分からなくて。
歌えない。
下をただ向くことしか出来なかった。
すぐに来る高音パート。
出ない。
できない。
私には、、
ごめん。
無理だよ。
またすぐにくる自分のパート。
できない
そう思えば思うほどどんどん今までどう歌っていたか分からなくなる。
普段の私ってなんだっけ。
早く帰りたい……
早く終わればいいのに……
そう思いながらも来てしまった自分のパート。
ARMY、ごめんね。
気づいたスタッフさんが被せの音源が流すのと同時に
咄嗟に隣にいたジミニオッパが歌ってくれていた
🐰side
パプニングがあったものの、何とかパフォーマンスを終えて楽屋へ戻る。
楽屋に戻ってすぐに、
あなたが下を向いたまま出て行ったんだ。
それから廊下で聞こえてきたんだ。
「もうできないです…」
「ヤー、あなたは良くやったと思ってるよ」
「あー、、何でだろ。」
「泣かないで、、あーほんとに頑張ったよ、」
「あーほんとあなた自分を責めちゃダメだよ、、」
「もう耐えられない、、辛いです」
「ARMYにも、やっと揃って期待されてるのは有り難いはずなのに…」
「今迄の私が分からない」
「ヤー、、あなたは良くやったよ、……大丈夫だよ〜あ〜泣かないで〜涙拭いておいで、」
女のトレーナーさんの声が聞こえてくる。
僕たちは、
メンバーとしてどうするべきなんだろう。
テヒョンイヒョンは黙ってから少し考て
僕に返事をした。
誰も正解なんて分からないからこそ、
先が見えないんだって。
🐻side
明日に出国を控えて宿舎に帰ってからスーツケースに荷物を詰める。
基本ラフな格好で過ごすつもりだし、基本現地へ行ってもライブとやれそうなら配信だからほぼジャージかパジャマか。
LA 公演は全部で3日。
今まで以上に収容人数も多ければパフォーマンスできる回数も多い。
その分、
より多くのARMYのみんなに会える。
だけどきっとあなたはそれがより苦しいんだろうな…
真っ暗な部屋の中に床にはスーツケースが広げてあって。
ベッドにはあなたの姿。
廊下の電気からかドアを開けているせいで体を起こして僕の方を見るあなたの目は赤く腫れていて。
実際にはメンバーだけど、僕の感覚的には妹で。
家族と同じ。
何から話そうかなんて、
部屋に来たくせに結局何を言うか迷っていれば
思い出した数年前。
あの時は本当に冷めきった感情と、
穴の空いた熱意と気持ちがどんどん僕が僕じゃ無くなって。
聞いたところで何と声をかければいいんだろう。
どんどん目に涙が溜まってぽたぽたと落ちる大粒。
それに比例して感情も爆発する。
そして息が荒くなる
あなたの事も考えて、
いつもよりも少し早めの便を予約して、
出待ちにならないように5時前の便で出発をすることになった。
不安もある中で車に乗り込んで空港へ向かう
まだ太陽が昇ったばっかりで、
少し肌寒い朝を迎えて。
空港の駐車場に着いたと思えば
「キャ〜〜〜!!」
「テヒョナ〜!」
「ユンギ〜〜!!」
既にARMYのみんながスマホをバッチリ構えていて。
いつもより早い時間だからなのか若干少ない気もしたけれどそれでも大勢待っていて。
隣に座っていたあなたは大きく深呼吸をして
そしてドアが開いたと同時に聞こえる声も大きくなる。

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。