金子軒と藍忘機が向かい合って座っている。
お互い何を話すでもなく、ただ黙ってお茶を飲んでいる。
何故こんな事になっているのか?その理由は昨夜の出来事が原因だ。
夕食後、皆が思い思いに談笑したり寛いでいる時にそれは起こった。
蔵色散人が満面の笑みで夫に突進していく。
夫の魏長沢は苦笑しながら妻を抱き止める。
その直後、金子軒は呑んでいた酒を吹き出し、一緒に呑んでいた魏無羨はむせて咳き込む。夫と義弟につまみを出していた江厭離はポカンとした表情で目を瞬かせ、藍忘機は魏無羨の背中を擦りながらじっと魏無羨の顔から目を離さない。温情は阿星と莫玄羽に阿苑を別室に連れ出すよう目配せし、温寧は明らかに動揺して動きがぎこちない。因みに温氏の皆は温情に促され、早々に退散していた。
突撃を受けた魏長沢も内心動揺するも、そこは嘗て江楓眠の腹心であった意地を見せ、努めて冷静に妻に問いかける。
蔵色散人は拗ねた表情をしつつも甘えた口調で魏長沢にもたれ掛かる。
と言い出した。
度々興奮気味になる妻を宥めつつ辛抱強く魏長沢が聞き出した所、綿綿との時間が凄く楽しかったらしい。
曰く彼女とのガールズトークが新鮮で楽しく、とても気に入ったとのこと。
一応指摘してみたが…
と返ってきた。
一同首を傾げる。温情と江厭離が“お姉さん”?
えっへん!と腰に手を当て胸を張る蔵色散人。
子ども世代の絶叫が響き渡り、それに苦笑する魏長沢。
すったもんだの混乱がどうにか収まった時、藍忘機が爆弾を放り投げてきた。
その瞬間、この場の時間が止まった。
金子軒は目を白黒させる。何故自分を指名した?
繰り返し問う藍忘機に金子軒は額を押さえる。いやいや、質問の意味は分かっている。
ここには温情だっているのに…何で俺なんだよ?
意外としっかりした根拠に金子軒は頭を抱える。いや、確かにそうだけど!
金子軒は混乱の坩堝に叩き落とされながらも、必死に考えを巡らす。
“こいつ、本当に意味が分からないのか?”
そう思いながら藍忘機を観察する。至って真面目な、いつもの無表情だ。
“本心で聞いてるみたいだな…”
金子軒は溜め息を吐く。
覚悟を決めて金子軒は答える。ここまでド直球に言えば、藍忘機にも理解出来るだろうと思ったのだが…
更に首を傾げる藍忘機。
“おいーーーーーー!!”
ちょっと待て!まさかと思うが、藍忘機は、ひょっとして、どうやって子どもが出来るのか知らないのか?
恐る恐る金子軒が尋ねる。
藍忘機以外の全員がどう反応したものか決めあぐね、呆然と立ちつくすのみだった。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。