第18話

第十話
305
2024/04/08 22:39
芥川龍之介
貴様は
芥川龍之介
生きているだけで周囲の人間を損なうのだ
……!
芥川はそういうと僕に羅生門を向けてきた。
僕は必死で逃げるが、もうすぐそこまで来ていた。
わああああああああ
僕が次に目を覚ましたのは探偵社の医務室だった。
ここは……
国木田君
気づいたか
国木田君
全くこの忙しい時に……
僕マフィアに襲われて……
それから……
……
そうだ!
谷崎さん達にあなたの下の名前さんは!?
国木田君
無事だ
国木田君
ナオミは傷1つ無く、無事に目を覚ましたので業務に戻った
国木田君
谷崎とあなたの名字は隣で与謝野先生が治療中
谷崎君
ギャアアアアアアアアアア
……治療中?
あなた
与謝野先生!
あなた
もう治ったから!
あなた
もう大丈夫だから!
与謝野先生
まだ痕が残ってるじゃないか
与謝野先生
安心しな
与謝野先生
妾が治してやっから
あなた
安心出来ないっす……
与謝野先生
何か言ったかい?
谷崎君
……
谷崎くんは治療されるのがトラウマすぎて、意識をとばしている。
与謝野先生
じゃあ始めるよ!
あなた
いやああああああああああああああ
探偵社の医務室のベットで目が覚めた。
何かやけに体が重く、動けなかった。
あなた
……
何故なら……
太宰が僕のベットに入っており、そのうえ抱きついているので動けなかった。
……いやどういう状況?
動けないんだけど……
あなた
……太宰?
太宰君
……あなたの下の名前さん?
太宰君
……生きてますか?
そう聞いた太宰は泣きそうな顔をしながら僕をさらに強く抱きしめてきた。
あなた
……生きてるよ
あなた
あと、離してくれない?
太宰君
もう少しこのままで……
どう言っても話してくれなさそうなので諦めた。
太宰君
あなたの下の名前さんが起きずに五時間ぐらいたってたんですよ?
まじか……
あなた
……何か奥で音しない?
奥で銃声のような音が聞こえてきたのだ。
太宰君
マフィアが奇襲しに来たんですよ
あなた
……マジで!?
あなた
まァ……大丈夫か……
そう言うと同時に医務室のドアが勢いよく開いた。
乱歩さん
あなたの下の名前!
乱歩さん
事件の時間だよ!
乱歩さん
今日は一緒に行くと約束しただろう!
あなた
そうだった
あなた
……てことで太宰離して?
太宰君
……分かりました……
太宰は渋々離してくれた。
太宰君
ではまた後で
あなた
あなた
またね
乱歩さん
国木田くーん
乱歩さん
僕そろそろ”名探偵”の仕事に行かないと
国木田君
名探偵?
国木田君
ああ、例の殺人事件の応援ですか
乱歩さん
そう、あなたの下の名前も連れてくんだ〜
乱歩さん
警察がね
そう言いながら乱歩さんはデスクの上に乗った。
乱歩さん
世界最高の能力を持つこの名探偵
乱歩さん
乱歩さんの助言が欲しいって
乱歩さん
泣きついてきてさ
国木田君
こいつに手伝わせます
と敦くんを指さした。
国木田君
とりあえずおりてください
敦くんはポカンとしている。
どうしたんだろう……?
乱歩さん
また殺人事件の解決依頼だよ!
乱歩さん
この街の市警は全く無能だねぇ
乱歩さん
僕なしじゃ犯人ひとり捕まえられない
そういうと乱歩さんはニヤリと笑い、
乱歩さん
でもまあ僕の『超推理』は探偵社……
乱歩さん
いやこの国でも最高の異能力だ!
乱歩さん
皆が頼っちゃうのも仕方ないよねぇ!
乱歩さんはとても上機嫌だ。
しかし上機嫌のあまり下をよく見ずに落ちていた本を踏んでしまった。
敦くんは苦い顔をした。
敦君
乱歩さん
敦君
その足元の本
敦君
横の棚に戻さないと
乱歩さん
これは失礼
乱歩さん
はいどうぞ
そう言って乱歩は本から足をよけ、本棚を指さした。
敦くんが呆れた顔をしていると、国木田くんがその本を拾い棚に戻した。
国木田君
頼りにしています
国木田君
乱歩さん
乱歩さん
そうだよ!国木田!
乱歩さん
きみらは探偵社を名乗っておいて
乱歩さん
その実猿ほどの推理力もありゃしない
乱歩さん
皆僕の能力『超推理』のお零れに与っているようなものだよ?
賢治君
凄いですよね『超推理』
賢治君
使うと事件の真相が判っちゃう能力なんて
国木田君
探偵社……いえ全異能者の理想です
敦くんは皆の乱歩に対する態度に困惑している。
あなた
敦くん……
あなた
なれないだろうけど、大丈夫だよ
あなた
この後分かるから
敦君
はぁ……?
国木田君
小僧
国木田君
ここはいいから乱歩さんにお供しろ
国木田君
現場は鉄道列車で直ぐだ
敦君
ぼ、僕が探偵助手ですか!?
敦君
そんな責任重大な……
敦君
あなたの下の名前さんだっているのに……
乱歩さん
真逆
乱歩さん
二流探偵じゃあるまいし
乱歩さん
助手なんていらないよ
乱歩さんはサボテンをツンツン触りながら言った。
敦君
え?
敦君
じゃあ何故?
そう敦くんが言うと、乱歩さんは敦くんの方に顔を向き直しこう言った。
乱歩さん
僕もあなたの下の名前も列車の乗り方判んないから
列車の中で乱歩さんは綺麗なビー玉を眺めていた。
あなた
いいな〜
あなた
乱歩〜僕にも一個ちょうだいよ!
乱歩さん
ダメ〜これは僕のだもん!
あなた
一個ぐらいちょうだい!
乱歩さん
ダ〜メッ!!!
あなた
酷い!
あなた
もう乱歩なんか知らない!
敦君
(何か兄妹喧嘩を見ているみたいだ……)
敦君
あなたの下の名前さん、乱歩さん、列車内なので静かに……
乱歩さん
仕方ないな〜
乱歩さん
ちょっとだけ貸してあげるよ
あなた
やった!
あなた
綺麗!
ビー玉が日光を反射してすごくキラキラしていた。
敦君
(僕の話を聞いてくれない……)
敦君
(お母さんって大変なんだな……)
乱歩さん
そろそろ返してよね!
あなた
はぁーい……
綺麗だったからもっと見たかったが、渋々返した。

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