まさかマサイが能力を開花させるなんて、思ってもいなかった。
言ってしまえば殺戮機となっていたマサイを、止めるため。
意識が遠のいていく、鎮静剤を打ち込んだ。
どうして、って顔をするマサイ。わかる、その気持ちは十分わかるんだ。
だって、目の前には、探し求めてたあいつがいるから。
翼が生えている。
天使のように美しく、血を体に纏う姿。
側から見たらただの怪物かもしれないが。俺らにはわかるから。
君と、君と一緒に隣に並んで。
お前が必要だ。俺らには。
お前がいないと、俺らは。…終いにはいつか壊れていくから。
シルクが、こちらを振り向いた、その表情。
一瞬だけみせた表情から感じるのは、「感謝」。
また進んでいこうとするその首元に、鎮静剤の入った武器を合わせる。
お願いだ、これだけで、済んでくれっ…
首元へ刺さるはずだったその弾は、急に現れた黒の霧に吸い込まれた。
シルクの手が、俺の方を指さすと、
首には、シルクに打ったはずの鎮静剤の弾が刺さっている。
薄れていく意識の中。
シルクは、俺に微笑んだ。優しく、俺の目を見て。
もう関わるな、という優しい拒絶。
俺らを守りたいと思ってんのか、そう言ってるだけだろ。
「モトキは俺が取り戻すから。」シルクがそう言った後、
俺の意識はブラックアウトした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!