第48話

桐山照史
513
2021/09/18 03:05

歌が終わると、みんな大興奮で。 



拍手がなりやまない。



とても感動して、胸がいっぱいになった。

桐山照史
桐山照史
きぃ君のお友達は天才やな。
きぃ君
自慢の友人です。
あっ、照史くん!
よかったら1曲どうですか?
桐山照史
桐山照史
この後に?無理や。
きぃ君
いいから、いいから。

そう言って、



照史お兄ちゃんをステージへ連れて行った。

きぃ君
あの!ちょっと順番前後しちゃうんですけど、俺入ってもいいですか?
美香
いいよー!!
きぃ君
じゃ、お言葉に甘えて…
今日は俺が尊敬している照史くんが来てくれていて。
桐山照史
桐山照史
なんか、恥ずかしいな笑
きぃ君
この人がいたから、今の俺がいます。
この人がいたから、夢を持つ事ができました。
あなた

………

きぃ君
千葉にあるカフェで会って。夜はここみたいにバーになるんですけど、そこで照史くんが歌を歌ってて。その歌声にやられて話しかけて。
その時に、かるく話した俺なんかの夢を、真剣に聞いてくれて。背中押してくれて。そこで、俺の人生が変わりました。
その時ね、約束したんです。夢が叶ったら俺のギターで歌を歌ってくれるって。
桐山照史
桐山照史
そやなぁ。
きぃ君
だから、今日その約束を果たしてもらいます。

すると、みんな拍手をする。


桐山照史
桐山照史
わかった!ここまできたら、歌わせてもらうで。でも、ちょっと待ってな。
えっへん…ゴホゴホ…
きぃ君
大丈夫ですか?
桐山照史
桐山照史
おん…喉におっさんおるんかな笑
美香
おもしろい!!笑
桐山照史
桐山照史
ありがとう!!

完全にアーティスト気取りだ…

桐山照史
桐山照史
よっしゃ!行こか。
きぃ君
では聞いてください。
ひまわりの約束。


最後の演奏が終わる。



お店の中が、シーンと静まり返る。



すごいよ…照史お兄ちゃん…

美香
やばい…涙出てくる…


そう言って美香さんが手を叩くと、



次々にお客さんの拍手と歓声が…



照史お兄ちゃんは照れた顔して。

桐山照史
桐山照史
こんなに沢山の拍手…
ありがとうございます。

とても嬉しそうで。



きぃ君が言っていたように、



照史お兄ちゃんの歌は最高だった。

桐山照史
桐山照史
あぁ…緊張したわぁ…


席に戻ってくると、



置いてあったお酒を一気に飲み干す。

あなた

お疲れ様。

桐山照史
桐山照史
うわっ!これお酒やん!!
水かと思ったわ。
あなた

えぇっ!?
あっ、すいませーん!お水くださーい!


すると、神山さんが持ってきてくれた。

神山智洋
神山智洋
お水です。
桐山照史
桐山照史
ありがとう。ゴクゴクゴク…
うまー!!!
神山智洋
神山智洋
あの、ちょっとお話よろしいでしょうか。
桐山照史
桐山照史
どうぞ、どうぞ。
よかったらここに…
神山智洋
神山智洋
失礼します。
あの、さっきの歌、ほんま最高でした!
桐山照史
桐山照史
あっ、やっぱり関西の方ですか?
神山智洋
神山智洋
はい。出身は兵庫です。
中学からこっちに…
桐山照史
桐山照史
そうやったん!
きぃ君のお友達ですよね?
神山智洋
神山智洋
はい。神山智洋と言います。
桐山照史
桐山照史
俺は桐山照史です。
で、こっちは嫁さんの…
あなた

まだ結婚してませんけど!

桐山照史
桐山照史
ええやん!嫁のあなたです。
神山智洋
神山智洋
まだって事は予定が?
桐山照史
桐山照史
昨日プロポーズしたばっか笑
神山智洋
神山智洋
えっ!?すごいですね!
おめでとうございます!
桐山照史
桐山照史
ありがとう!今日もな、
嫁はんの家に挨拶に行ってきたんよ。
神山智洋
神山智洋
娘さんをください!ですか?
桐山照史
桐山照史
そや!緊張したわぁ〜。
神山智洋
神山智洋
羨ましいなぁ。
あなた

彼女いないんですか?
こんなにカッコいいのに…

桐山照史
桐山照史
こら!あなたちゃん!
あなた

あはっ…

神山智洋
神山智洋
いや、実は明日付き合ってた子の誕生日で。
桐山照史
桐山照史
付き合ってた?
神山智洋
神山智洋
ちょうど10年前に別れた…
っていうか、自然消滅というか…
あなた

どうしてはっきりしなかったんですか?

桐山照史
桐山照史
あなた!そんな事聞くんやないの!
でもなんで?笑
神山智洋
神山智洋
あはは笑
彼女、受験中やったんですけど、恋愛と勉強の両立が難しいからって、受験終わるまで離れようってなって。
彼女のお母さんがしっかりした人で。女の子でも、ちゃんと大学入って、就職して、一人暮らしして、自立しないとあかんでって。それ聞いてたから、俺もちゃんとせなあかんて。
あなた

それで何も言わず…

神山智洋
神山智洋
俺、芸能事務所に入ってたんですけど、海外へ行かないかって話があって。それがちょうど試験日らへんで。邪魔したくないのもあったし、会っても、待っててほしいなんて言えないなって…あん時の俺は何もなかったんで。
あなた

で、そのまま10年…

桐山照史
桐山照史
切ない話やなぁ。
神山智洋
神山智洋
でも、照史さんの歌聴いたら、なんか勇気もらえたっていうか。明日の誕生日、約束の場所に行ってみようって。
桐山照史
桐山照史
約束の場所?
神山智洋
神山智洋
付き合ってた時に約束してて。彼女の誕生日に、いつも行ってた公園があるんですけど、そこで会おうって。もう覚えてへんかもしれんけど。
桐山照史
桐山照史
ドラマみたいやなぁ。
まだ好きなん?その子の事。
神山智洋
神山智洋
はい。
桐山照史
桐山照史
そりゃ絶対行かなあかんな!
10年も思い続けたんやろ?
会えたらええなぁ。
あなた

うん…会えますよ!きっと。

神山智洋
神山智洋
ありがとうございます!
桐山照史
桐山照史
もし会えたら教えてな。
てかな、俺ら千葉で民宿やるんよ。
よかったらその子と一緒に遊び来て。
あなた

うん!

神山智洋
神山智洋
その時は是非、行かせて頂きます!
ひとりで行く事になるかもやけど…
桐山照史
桐山照史
そしたら、そん時は、
一晩飲み明かそうな!
神山智洋
神山智洋
はい!
うわっ、なんかドキドキしてきた!
あなた

かわいいですね。

桐山照史
桐山照史
おん…かわええなぁ。
モンチって呼んでもえ?
神山智洋
神山智洋
えっ!?
桐山照史
桐山照史
モンチッチに似てて、
ほんまかわえぇ。
あなた

ちょっと!!!
すみません…酔っ払ってるのかな…あはは…

神山智洋
神山智洋
あっ!是非!!
これからはモンチでお願いします!笑
拓巳
あの…お話中すみません…
よかったら…

お酒を持って、拓巳さんがやってきた。

美香
よかったらこちらも…
桐山照史
桐山照史
こんなに沢山飲めるかな?笑
ありがとう!
拓巳
あっ、僕きぃ君の友達で拓巳って言います。
桐山照史
桐山照史
桐山照史です。
ギターうまかったなぁ。
2人の息ぴったりやったで。
ほんま感動したわ。
拓巳
いや、照史さんの歌も最高でした!
きぃ君から聞いてて。
すっげぇ人がいるって。
会えて嬉しいです。
桐山照史
桐山照史
きぃ君、言い過ぎやて笑
でも嬉しいですぅ。ありがとう。
美香
あの、2人はどんな関係なんですか?
桐山照史
桐山照史
俺ら?
美香
はい!
桐山照史
桐山照史
夫婦やで。
あなた

ちょっと!まだ結婚してないってば笑

美香
まだ?って事はいつか…
神山智洋
神山智洋
プロポーズは済んでるんですもんね!
美香
えっ!?
あなた

昨日…

美香
うわっ!そうだったんですか!?
それ、きぃ君て…知ってます?
桐山照史
桐山照史
あっ!!!
あなた

あっ!!!

桐山照史
桐山照史
きぃ君!どこおるーーー!!!


それからきぃ君に報告をして。



お祝いさせてください!って言ってくれたけど、



照史お兄ちゃんが酔ってしまって、



今度改めてって事になった。



タクシーを呼んでもらって、ホテルへ。



なんだか今日は慌ただしかったけど、



忘れられない最高の日になった。



照史お兄ちゃんのおかげだよ。



私の膝枕で、すやすや寝ている照史お兄ちゃんのほっぺに、



チュッと口づけをした。



すると、起きてたみたいで…



運転手さんに聞こえないように、

桐山照史
桐山照史
こっちも。

と唇に指す。



軽くチュッてしようと思ったのに、



そのまま頭をロックされて…



離れる事が出来なくて。



でも今日は、



私もこうしてたいから、



いっか。

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