前の話
一覧へ
次の話

第49話

桐山照史☆最終話
701
2021/09/18 14:14
あなた

あぁー疲れたぁぁ!


2人で、ホテルのベッドに倒れ込む。



そのまま寝ちゃいそうだ…
あなた

シャワー浴びなきゃ…

桐山照史
桐山照史
あかん…このまま寝よ。

そう言って私に覆い被さる。
あなた

おもっ!

桐山照史
桐山照史
ふふ笑
ほんま、大好きすぎてやばいわぁ…
あなた

お酒くさっ!!

桐山照史
桐山照史
ウヒャヒャヒャヒャ笑笑
あなた

おもい…よぉ…


すると照史お兄ちゃんは、



そのままコロンと横に仰向けになって。

桐山照史
桐山照史
飲み過ぎたぁ…

と言って目を閉じた。



その顔が可愛くて、しばらく見ていると、



スースースー…



寝息を立てて、眠ってしまった。



ほんとかわいい…
あなた

さっ、私はシャワーでも浴びようかな!


浴室へ行こうとした時、



お母さんからもらった紙袋が目に入る。



重たかったけど、何だろ…



中身を見ると、手作りのケーキと、



おめでとうのメッセージカード。



それと…

あなた

何これ…アルバム…?


開いてみると、最初のページには、



私が産まれた日、体重、身長、手形と足形。



それに、〝元気で明るい子に育ってね〟



というメッセージと、



お父さん、お母さん、私で写っている写真が。



次のページをめくると、



私の写真が沢山貼ってあって。



おじいちゃん、おばあちゃんと遊んでいる写真。



公園の砂場で遊んでいる写真。



口を大きく開けて泣いてる写真。



次のページには、



幼稚園の入園式、お遊戯会や、運動会の写真。



ページをめくるたび、私が成長していって。



小学校の入学式の写真は、



ピカピカのランドセルを背負った私とお父さん。



お母さんは入院してて来れなかったんだっけ…



ページをめくる。



お父さんとお母さんが再婚した時に撮った写真。



私はすごい笑顔で、2人の間に立っていた。



再婚した後も、アルバム続けてくれてたんだ…

誕生日にケーキを口いっぱい頬張ってる写真や、



サンタさんからのプレゼントを、



嬉しそうに開けてる写真。



妹の莉子が産まれて、家族4人で撮った写真。



初めて行った家族旅行の写真。



学校の遠足で動物園へ行った時の写真。



学芸会で魔女になりきっている怖い顔の写真。



運動会のリレーで思いっきり走っている時の写真。



制服を着て恥ずかしそうな中学校入学式の写真。



部活の試合、真剣な表情で頑張ってる顔の写真。



体育祭や文化祭で友達と楽しそうな写真。



そして、中学校卒業式の写真…



私の15年間の記録。



そこには沢山の愛があった。



学芸会の魔女の衣装は、お母さんの手作りだった。



裁縫が苦手だって言いながら、



一生懸命作ってくれてた。



私が遠足の時に食べていたお弁当は、



かわいいキャラ弁だった。



中学の頃、毎日作ってくれてたお弁当には、



必ず私の大好きな卵焼きが入っていた。



咳がひどかった時は、お弁当と一緒に、



薬が入っていた事もあった。



思い出すと色々でてきて…



お母さん、ありがとう…

あの頃の私は、



してもらう事が当たり前だと思ってて、



愛されたとか、愛されてないとか、



言葉や態度で勝手に判断して、



苦しんで、悲しんで、嫌いになって…



自分は不幸なんだって、そう思ってた。



でも、このアルバムを見て、



私はちゃんと愛されてたんだなって。



愛って特別なものじゃなくて、



日常の中にあって。



私はこの人に会えたから、



それに気付く事ができた。



愛し愛される感情を知って、



自分を好きになり、自信を持てた。



周りの人も大切に思える事ができた。



照史お兄ちゃんが側にいてくれたから。



照史お兄ちゃんの愛のおかげだ。


桐山照史
桐山照史
グガー…グガー…ンッ…
あなた

!?

桐山照史
桐山照史
うぅ…ん…おれの…うどん…が…


どんな夢見てるんだろ…笑



明日、うどんでも食べに行こうね。



照史お兄ちゃんの顔が涙で滲む。



さっ、シャワー浴びよ!



もう、涙が止まらなくて、



この際、枯れるまで出してやれって。



憎しみとか、悲しみとかも一緒に、



全部全部、流してやれって。



そのあとは、



生まれ変わった自分で。



泊まりに来てくれるお客様を、



いっぱいの愛でおもてなしするんだ。






そして…



2021年7月21日



民宿をオープンした。



1年前のこの日、



私の夢に蓮くんがきて、



照史お兄ちゃんと出会った。



ひとつの出会いと、そのタイミングで、



人生って大きく変わる。



入れ替わったりして、



不思議な体験もしたけど笑



この1年は私にとって宝物のような1年で。



きっと一生忘れないだろう。



そんなわけで、



1年後の私を想像してみる…



うふふ…楽しみだなぁ〜



ねっ、照史お兄ちゃん!


桐山照史
桐山照史
ん?どした?笑
あなた

ううん!なんでもない!
てか、早く来ないかなぁ〜


すると、記念すべき初めてのお客様が…

照史 父(社長)
来たでー!!
照史母
いいところねぇ。
照史 兄
照史!久しぶり!
妹 莉子
おねぇちゃーん!
私 父
久しぶりだなぁ。
継母 理恵子
本当、いい所ねぇ。
蓮 父
照史、再オープンおめでと。
蓮 母
また、忙しくなるわね。

大切な私たちの家族。



赤いシーグラスを青空にかざした。



蓮くん、見てますか?



願い事、叶ったよ!

 
桐山照史
桐山照史
ようこそ!
あなた

民宿 絆〜KIZUNA〜へ




【終わり】















いつも、いいね❤️ボタン、
ありがとうございましたー😭
すごく長くなっちゃいましたが、
最後までお付き合いくださり嬉しいです。

あっ、神山智洋君のお話と、
ちょっとだけ繋がりがありますので、
そちらもお読み頂けたら嬉しいです😆

ではでは、またお会いできるのを、
楽しみにしておりまーす🐒💕

プリ小説オーディオドラマ