「ただいま……」
「おかえり那美!疲れたろ!」
「うん、疲れたよー!」
「おお!じゃあ1杯飲もうぜ!」
「飲みたぁい…!!」
帰って来ると、彼氏のアキくんが出迎えてくれる。
「何飲む??」
「うーん、何でも良いよ!」
こうして帰って来たらアキくんの顔を拝める事は本当に幸せだ。
でも、彼がここにいる生活が当たり前になってしまっていてはダメだ。
「あぁ!ダメじゃんスーツ脱ぎ散らかしちゃ!シワになるぜ!?」
「後でハンガーかけるからいいもーん!」
彼が居なくても生きていける人間にならなきゃいけないのに。
彼が私に再度会いに来てくれたのは嬉しい。
このままずっと一緒にいたい。
でも、これじゃいつまで経っても私は前に進めない。
それに、これじゃいつまで経ってもアキくんは……
「じゃあ、乾杯!」
「うぃ!お疲れ!」
あぁ、ダメだ。アキくんとこうしていつものように会話をするのは楽しい。本当に幸せだ。
「アキくん、大好き!」
「うん、俺もめちゃくちゃ好きだよ」
でも、ちゃんと聞かないと。
“もう居ないという現実”を受け止めないと。
「……ねぇ、アキくん?アキくんはずっとここに居ていいの?」
「え…?」
アキくんの次なる人生のためにも、私はアキくんに伝えた。
「ねぇ、アキくんはどうやったら成仏出来るの……?」
end
………ん!?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。