大方が朝食を食べ追えたテーブルで、意気込むエマに、あなたは頷いた。
エマが喜んで声をあげる。
そばで心配そうに見ていたエミリーがあなたに声をかけた。
あなたは頷いた。
呆れたようにウィラが返す。
わたわたとあなたが胸の前で手を振る。
ウィラがため息をついた。
何とか名前は覚えました、とあなたが頷く。
ナワーブがあなたに尋ねた。
ウィリアムのからかうような視線に、あなたは首を振った。
驚いて眉を上げるウィラを見て、マーサが笑う。
きょとんとするあなたに、マジシャンのセルヴェ・ル・ロイが寄りかかる。
彼ら、ということはどうやら一度も会っていないノートン・キャンベル氏のことも入っているらしかった。
あなたは首を振った。
セルヴェが言うと、重ねるように弁護士フレディ・ライリーが声をかける。
フレディの言葉は人を惑わせる。
諭すようなエミリーの声にフレディは薄く笑った。
僕は楽しく観戦でもしているよ、と言い残してフレディが立ち去る。
補足するようにエミリーが苦笑する。
感嘆するあなたの背後から、ナワーブが小さく囁いた。
困ったように笑ってあなたが振り返ると、そこには目に心配の色を浮かべるナワーブがいた。
あなたがふっと息を吐く。
言葉でいくら説明されたって、始まらないことには想像がつかない。
頭が真っ白になる危険性も十分感じている。
その時、同じくしてビー!と警報音のようなサイレンが響き渡った。
首を傾げるあなたにエマが答える。
立ち上がったウィラがドア口で向こうを指さした。
ウィラが颯爽とあなたを連れて廊下へ出て行く。
それを心配そうに見つめるエミリー達が、部屋に残された。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!