第8話

曲者
184
2021/05/12 03:54
エマ・ウッズ
じゃあ、気をつけるポイントを繰り返してみてなの!
大方が朝食を食べ追えたテーブルで、意気込むエマに、あなたは頷いた。
あなた
わかりました、繰り返しますね。
まず開始直後は、ハンターに見つからないように行動すること。
見つかったらあらゆるものを駆使して、吊られないように逃げる。
2回攻撃を受けると動けなくなるから、大抵はそのまま椅子に座らされる。
時間が経てば強制的に脱落。
解読をしつつ、みんなが行動不能になる前にゲートを開ける。
2人以上脱出できれば、私たちの勝ち
エマ・ウッズ
ばっちりなの!
エマが喜んで声をあげる。

そばで心配そうに見ていたエミリーがあなたに声をかけた。
エミリー・ダイアー
あなたの名字さん、誰かがもし捕まってしまっても、くれぐれも救助に行こうとなんてしないでね。
あの場所は広くて、きっとすぐに自分の居るところがわからなくなるわ
あなたは頷いた。
あなた
きっと、そうなるんでしょうね。
申し訳ありません、ナイエルさん
ウィラ・ナイエル
私が捕まる前提なわけ?
そんな柔じゃないわよ
呆れたようにウィラが返す。
あなた
いえ、違います、あの、
ご迷惑をおかけすると思って

わたわたとあなたが胸の前で手を振る。
あなた
それに、この場でこれから一緒に
初試合に臨んでくださる方は、
貴女しかいないので
ウィラ・ナイエル
...。
ほんっとついてないわ。
なんでよりによってあの二人なの?
ウィラがため息をついた。
あなた
あとはカールさんと、
ノートン・キャンベルさん、でしたよね
何とか名前は覚えました、とあなたが頷く。
あなた
カールさんは昨日夜中会いましたし
ナワーブ・サベダー
ん...あなた、イソップに会ったのか?
ナワーブがあなたに尋ねた。
あなた
ええ、厠で
ウィリアム・エリス
トイレか。
なあ、かなり無愛想だっただろ?
あなた
無愛想...うーん
ウィリアムのからかうような視線に、あなたは首を振った。
あなた
いえ、友好的な方でした
ウィラ・ナイエル
友好的ぃ?
驚いて眉を上げるウィラを見て、マーサが笑う。
マーサ・ベハムフィール
ははっ、あなたの名字さんって誰を見てもそう言いそうね
あなた
そんなことないと思いますけど...。
違うんですか?
きょとんとするあなたに、マジシャンのセルヴェ・ル・ロイが寄りかかる。
セルヴェ・ル・ロイ
見れば分かるだろう?
昨日の晩といい、今朝といい、
一度でも彼らが顔を見せたか?
彼ら、ということはどうやら一度も会っていないノートン・キャンベル氏のことも入っているらしかった。



あなたは首を振った。

セルヴェ・ル・ロイ
そういうことだ
フレディ・ライリー
初手から厄介な人達と当たったものだな、あなたの名字くん
セルヴェが言うと、重ねるように弁護士フレディ・ライリーが声をかける。
エミリー・ダイアー
あまり悪口を言ってはだめよライリーさん。
見方によってはあなたも厄介だと思われるわ
フレディの言葉は人を惑わせる。
諭すようなエミリーの声にフレディは薄く笑った。
フレディ・ライリー
はいはい、そうだな。
まあ、君は人当たりも良いし、頭も良さそうだ。
力を貸してやれることがあれば相談にくるといい
あなた
あ、はい...
僕は楽しく観戦でもしているよ、と言い残してフレディが立ち去る。
エミリー・ダイアー
彼、論理派だからたまにああいう冷たいことも言ってしまうけど、悪い人ではないのよ?
補足するようにエミリーが苦笑する。
エミリー・ダイアー
荘園には本当に初期からいるし、絶望する皆を鼓舞してきたのも彼だし。
頼れるところもあるわ
あなた
それは素晴らしい方ですね
感嘆するあなたの背後から、ナワーブが小さく囁いた。
ナワーブ・サベダー
奴に必要以上に絡むな、あなた。
あんたみたいなのはすぐ獲物になる
あなた
え、獲物って
困ったように笑ってあなたが振り返ると、そこには目に心配の色を浮かべるナワーブがいた。
ナワーブ・サベダー
俺が一緒なら確実に逃がせた...。
あなた、とにかく隠れていろ
あなた
ええ、きっと私は格好の餌食なんでしょうね。
皆さんの足を引っ張らないためにも、初動は気をつけたいです
あなたがふっと息を吐く。

言葉でいくら説明されたって、始まらないことには想像がつかない。
頭が真っ白になる危険性も十分感じている。




その時、同じくしてビー!と警報音のようなサイレンが響き渡った。
あなた
...えっと、これは?
首を傾げるあなたにエマが答える。
エマ・ウッズ
指定されたサバイバー、ハンターがそれぞれの準備室に向かう合図なの
ウィラ・ナイエル
あなたの名字さん、こっちよ
立ち上がったウィラがドア口で向こうを指さした。
あなた
あ...はい
ウィラが颯爽とあなたを連れて廊下へ出て行く。



それを心配そうに見つめるエミリー達が、部屋に残された。

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