今日は委員会があった。
小豆沢も用事があったようで
練習は休みだった。
家に帰ってきても、少し物足りない気分だ。
俺にとって歌は大切な物で
1日練習しなかっただけで心がざわつく。
彰人。俺の大事な相棒。
歌を辞めようとしていた俺を
説得して留めてくれた恩人。
彰人のおかげで本当にしたい事を見つけられ
優しい仲間達にも出会えた。
だからこそ。
最近の彰人は暗い顔をしている。
何か困っていることがあれば
一緒に解決策を探し出したい、のだが。
いつもこんな感じで
はぐらかされてしまうのだ。
絶対に何かあるはずなのに。
だが、彰人が事を大きくしたくない
と思っているなら⋯⋯。
そもそもの話、
1人で解決したがっているとしたら。
そんなことを俺も悶々と考え
結局何も出来ずにいるのだ。
アクションを起こした方がいい、
という事は分かっているのだが。
スマートフォンを握りしめる。
手遅れになるのは嫌だ。
ふと、スマホがぼんやりと光った。
液晶に表示されている『東雲絵名』の文字。
青く光る受話器マークをタップすると
彼女の声が耳元で問いかけた。
先程から頭に浮かんでいた名前。
無意識の内に声が固くなってしまう。
やはり絵名さんも気がついていたか。
そう前置きして、口を開いた。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。