第92話

91話   恐怖
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2026/06/27 07:00 更新
あなた
あなたの所へ行く気はないわ
あなた
どいてくれる?
あなた
雑渡さんの看病で忙しいの
五条 勝右衛門
綺麗な着物も着させてやると言っておろうに
あなた
そんなもの要らないわ
あなた
ご飯なんて私が作るし、着物はこれで十分よ



  自分が来ている着物を掴んで、


  見下ろしている勝右衛門さんを睨め付ける


高坂 陣内左衛門
……
あなた
陣内左衛門ちゃん、手ぬぐいと水桶
高坂 陣内左衛門
はっ



  いつの間にか居なくなった

  陣内左衛門ちゃんがいた床を見て、



  さっさとこの白髪野郎をどうにかしなければと悩む


五条 勝右衛門
お主…
あなた
何? 私の態度に腹でも立ったのかしら
あなた
あなたのその “ 色 ” なら、気に入らない人間を殺そうと何とも思わないでしょうね
五条 勝右衛門
……
あなた
私を殺したいなら勝手にすればいいわ
あなた
全力で抗うし、雑渡さんが元気になるまでは死ねないし
あなた
ただ今は、とっとと失せてくれる?
あなた
あなたに構う暇はないの



  肩を掴んでいる手を振り払って、

  後ろから来ている陣内左衛門ちゃんの方に

  振り返ろうとした




  その瞬間、後頭部に微かな空気の揺れを感じた


高坂 陣内左衛門
あなた様!!
あなた
怪我人の前で…



  軽く頭を下げて太い腕を避ける



  五条悟さんの方もそうだけれど、

  どうして強い術式を持っているのに鍛えるんだろう


あなた
することじゃないでしょう!!



  着物を少しはだけさせて足を出す



  勝右衛門さんの首の後ろに足をかけて、

  彼の肩の上に乗った


高坂 陣内左衛門
!?
あなた
( 無限がない…!? )



  無限で防げばいいものを、

  勝右衛門さんは一切私の体を防がなかった


あなた
陣内左衛門ちゃん! 尊奈門ちゃんがそろそろ来るから…っ!



  後ろに体重をかけ、

  足で勝右衛門さんの首を締めようとする



  しかし、相手は特級呪術師

  いとも簡単に足を掴まれ、放り投げられてしまった


あなた
ぐっ…!



  お庭に植えられている木に後頭部を打った


あなた
尊奈門ちゃんと一緒に雑渡さんを…!



  目の前に来た拳を何とか流し、

  無駄に大きい図体の下に身を屈める


高坂 陣内左衛門
…はっ
諸泉 尊奈門
あれ? 高坂さん?
高坂 陣内左衛門
遅いぞ尊奈門! 早くやれ!!
諸泉 尊奈門
えぇ〜? ちょっとあなた様は…
あなた
ふぅ…



  陣内左衛門ちゃんが襖を閉めてくれたおかげで、

  ようやく戦いに集中できる


五条 勝右衛門
洗脳に強い術式でもあればよかったのだがなぁ
五条 勝右衛門
それか呪言か…
あなた
どちらにせよ、私はあなたの元へは行かないわ
五条 勝右衛門
ほう…
五条 勝右衛門
ならば死ね



  瞬きする間だった



  目の前にこの男が迫ってきて、

  私の頭を握り潰そうとしている


あなた
ひっ…!



  ここまで強い恐怖を抱いたのは初めてだ



  ケンタとソウスケに嬲(なぶ)られていた時以来の…


あなた
( 死ぬ )



  幾年ぶりの恐怖を感じた瞬間、

  全身が強ばるのがわかった


五条 勝右衛門
ほう、避けられるとは思わなんだ
あなた
っは…!



  喉に手を当てて息ができることを確かめる



  まずい

  この男が本気を出したら圧倒的に不利だ


あなた
( 左! )



  側頭部に来た足をスレスレで避けて

  とりあえず3メートル程離れた



  長距離戦は確実に負ける

  武器もないし、そんな術式というわけでない


あなた
はっ…はぁっ…!
五条 勝右衛門
鬼ごっこは好かん



  せっかく距離をとったのに縮められてしまった



  この攻撃を避けられるほどの体力も余裕もない

  この拳に頭を潰される



  覚悟を決めた瞬間、遠くから渋い色の人影が見えた


五条 勝右衛門
これはお主の戦略か?
あなた
!?



  想定していたものが来ないことにも、




  勝右衛門さんにクナイを向けている山本さんにも

  息を飲むほど驚いた



  
山本 陣内
くっ…!
あなた
山本さん!!!



  何故ここに山本さんがいるのかが理解できない



  でもお陰で助かった

  呼吸ができる間が欲しかった


山本 陣内
( 何故クナイが当たらない! )
あなた
山本さん逃げて! あなたじゃ敵わない!!
山本 陣内
そんなもの分かっている!!
あなた
!?
五条 勝右衛門
ほう、感動的だのぉ



  私たちが会話していようと、

  勝右衛門さんは攻撃してくる



  私たちはそれぞれ別方向に飛んで躱した


山本 陣内
失ってたまるか…
あなた
…え?
山本 陣内
もう二度と!!

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