自分が来ている着物を掴んで、
見下ろしている勝右衛門さんを睨め付ける
いつの間にか居なくなった
陣内左衛門ちゃんがいた床を見て、
さっさとこの白髪野郎をどうにかしなければと悩む
肩を掴んでいる手を振り払って、
後ろから来ている陣内左衛門ちゃんの方に
振り返ろうとした
その瞬間、後頭部に微かな空気の揺れを感じた
軽く頭を下げて太い腕を避ける
五条悟さんの方もそうだけれど、
どうして強い術式を持っているのに鍛えるんだろう
着物を少しはだけさせて足を出す
勝右衛門さんの首の後ろに足をかけて、
彼の肩の上に乗った
無限で防げばいいものを、
勝右衛門さんは一切私の体を防がなかった
後ろに体重をかけ、
足で勝右衛門さんの首を締めようとする
しかし、相手は特級呪術師
いとも簡単に足を掴まれ、放り投げられてしまった
お庭に植えられている木に後頭部を打った
目の前に来た拳を何とか流し、
無駄に大きい図体の下に身を屈める
陣内左衛門ちゃんが襖を閉めてくれたおかげで、
ようやく戦いに集中できる
瞬きする間だった
目の前にこの男が迫ってきて、
私の頭を握り潰そうとしている
ここまで強い恐怖を抱いたのは初めてだ
ケンタとソウスケに嬲られていた時以来の…
幾年ぶりの恐怖を感じた瞬間、
全身が強ばるのがわかった
喉に手を当てて息ができることを確かめる
まずい
この男が本気を出したら圧倒的に不利だ
側頭部に来た足をスレスレで避けて
とりあえず3メートル程離れた
長距離戦は確実に負ける
武器もないし、そんな術式というわけでない
せっかく距離をとったのに縮められてしまった
この攻撃を避けられるほどの体力も余裕もない
この拳に頭を潰される
覚悟を決めた瞬間、遠くから渋い色の人影が見えた
想定していたものが来ないことにも、
勝右衛門さんにクナイを向けている山本さんにも
息を飲むほど驚いた
何故ここに山本さんがいるのかが理解できない
でもお陰で助かった
呼吸ができる間が欲しかった
私たちが会話していようと、
勝右衛門さんは攻撃してくる
私たちはそれぞれ別方向に飛んで躱した













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。