第10話

理由なんてない
212
2025/01/23 06:47 更新
# ____
 出ていっておくれ !! 
# pkt
 っ … 



 惹き込まれるように彼について行ってしまった
 暫く彼が入っていった店の前でボーっとしていると
 店の中から怒号が聞こえてくる

# rd
 ? 



 なんだろうと思い店の中を覗く
 すると女将さんらしき人が少年に向かって
 手を上げようとしていた
# rd
 ちょ、 待ってください !! 



 慌てて店の中に入り女将さんと少年の間に割り込む

# ____
 なんだいアンタは ? 



 怪しがるようにジロリと此方を睨む

# rd
 急にどうしたんですか ? 
# ____
 どうしたも何も … ソイツがウチの物 
 盗もうとしてたんだよ !! 
# rd
 … ほんとに ? 
# pkt
 … 



 少年は黙ったままでジッと下を見ている

# rd
 … わかりました 
 じゃあ僕がそれを買うので 
# rd
 それで許してくれませんか ? 
# pkt
 は … 



 意外にもここで反応したのは少年
 女将さんは渋々ながら承諾してくれた

# ____
 もしかしてアンタの連れかい ? 
 全く … しっかりしてほしいね 
# rd
 あはは … 



 女将さんからお釣りを受け取りながら思わず苦笑
 してはしまう

 全然関係ないんですけどね




 そして少年の手を引いて店を出る

# pkt
 なん、 で 



 少年が口を開いたのは店を出て少し歩いた所にある
 公園のベンチに座らせたとき

 かつては賑わってたであろうその公園は今は
 人っ子一人おらず廃れている

# pkt
 なんで助けたんですか 



 ギリギリ聞き取れるくらいの小さな声でぼそっと呟く
 それは素朴な疑問だった

 そりゃあそうだ
 はじめましての子供をそう庇う人間なんて
 ほとんど居ないであろう

 しかしらっだぁは違う
 意外と面倒見のいい性格なのだ

# rd
 え、 わかんない 
# pkt
 … は ? 
# rd
 別に良くない ? 理由とか 
 俺もわかんないもん
# pkt
 … 




 何を言っているんだとでも言いたげな目
 しかしらっだぁは本気なのだ

 それが伝わったのか少年はさらに不審な顔をする

# pkt
 見返りとかじゃ、 無いんですか 
# rd
 見返りぃ ? … あの値段の物も
 買えないような子が何ができるって 
 言うのさ
# pkt
 … 



 ごもっともである

 少年が盗もうとしたのは一個50ベルの林檎と
 一個60ベルの缶詰

 金を払うときに驚いたのは言うまでもない

# pkt
 それは、 そうですけど 
# pkt
 ッでも、 どうして … 
# rd
 理由がほしいの ? 
# rd
 ん − 、 じゃあね ~ … 
# rd
 気になったの、 君が 
# pkt
 … ? 
# rd
 正確に言うと ~ 
 … その傷、 どうしたのそれ 
# pkt
 ?! 



 そう言うと少年はバッと顔を上げる

# rd
 やっぱり 
# pkt
 … カマかけたんですか 
# rd
 そ、 足を引きずっているように 
 見えたからね
 腕を押さえたあたり腕も
 怪我してるんじゃないの ?  
# pkt
 … 



 少年は俯いてしまう
 そして暫く無言の時間がすぎる

# pkt
 俺のこと、 助けてくれませんか 
# rd
 !? 



 そう聞こえた

 しかし隣に座っていたはずの少年は

# rd
 は、 え … ? 



 跡形もなく消え去ってしまっていた

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