辺りを探し回っても姿形ない
まるで元から居なかったかのように
でも確かに座って喋っていた
少年はそう言っていた
何か裏がある
こういうときの勘は外れたことがない
きょーさんと初めて会った時も
みどりくんが行方不明になった時も
コンちゃんを助けた時も
レウさんが連れ去られた時も
その時と同じような感じがする
しかし手がかりが全くない
… そして今日初めてあった少年だ
そもそもここに来た用事は少年を助けることじゃない
しかしこのままでは目覚めが悪い
頑張れ自分
魔力切れを起こしてしまった
変な人に会った
知り合いでもないましてや初めて会ったのに
助けてくれた青髪のニット帽の人
本来はこの屋敷からは出られないが
能力を使って分身的なもので
買い物に出かけていた時の事だった
ヒーロス子爵、 というかまぁあの豚は
ろくに食事を出してくれない
1日1食は当たり前
なんなら出してもらえない日もあった
だからたまにひっそりと街に出て
いろいろなものを盗む
何時もは成功するのに今日は体力的にも精神的にも
限界が来ていた
あのおばさんの手を避けることは
何時もだったら苦でもない
しかし今日は何故か諦めてしまった
「 このまま、 殺してくれないかな 」
そう思った瞬間だった
何故かおばさんの手がゆっくりに見えた
「 あ、 これが走馬灯かぁ 」
そんな事を呑気に考えていたときだった
___ あの人が、 来た
彼はおばさんを説得させて俺の代わりに
買ってくれた
おばさんに知り合い ? みたいな事を聞かれて
あはは … と笑って誤魔化していた
違いますッていえば良かったのに
そして俺の手を引いて店を出て
少し歩いたところにあるニテス公園に着くと
俺が盗もうとしたのは林檎と缶詰を渡してきた
最初は見返りかなんかを望んでいるのかと思い
聞いたが正論で返された
理由を聞いても 「 わかんない 」 の一点張り
… 根っからの優男なんだろうな
名前も聞けなかった
お礼もできなかった
本当ならもう会えないだろう
しかし少しばかり高望みしてしまう
自分の部屋がわりに与えられた物置の中の
ベット代わりのうっすい布の上に寝転がる
俺はもともと捨て子
それを俺の能力を見越して拾ったヒーロス子爵
… そう、 俺は
俺の仕事は、 ヒーロス子爵の計画を考え、 遂行する
いわば頭脳代わり
そしてヒーロス子爵の計画とは
__ 国家転覆












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。