第2話

39
2026/01/04 09:13 更新
次の日








新人が来る日



私はどんな人が来るのか気になって仕方がなかった



私みたいな舐められタイプだったらどうしよう、とか色々。だって同じ思いされたくないからね





あなた
おはようございま…






なに…これ。








私のロッカーの前はゴミで溢れかえっていた



誰の仕業?そんなこと思うまでもなくすぐにわかる







おばさん
あらごめんなさい、あなたのロッカーだったの?わからなかったわ







どうやらロッカーにある名前がみえてなかったらしい


まあこんな悪戯、慣れるしかないと思ってるので適当に流すくらいしかない。






あなた
あはは、大丈夫です。そんな日もありますよ
おばさん
あなたのそーいうとこ、ホントにムカつくのよ。私たちがどの立場かわかってるの?




 
周りのおばさん達も私のことを見ている



どの顔をみても、みんなこのおばさんと同じような思いをしているような顔だった。



普通に私なにか悪いことしましたか?って感じ



通勤早々これはキツイ。







あなた
先輩ですかね?私はアドバイスをしただけです。次からは気をつけてもらえるとありがたいです

おばさん
次そんな受け答えしたらどうなるかわかってるわよね?


わかりません。
あなた
はい、わかりましたすみません







上下関係とかなくなってしまえ。





私は働きに来てるだけで、ネチネチおばさんにこんなことを言われに来てるんじゃない





今日は慣れない指導をしなきゃいけないのに今の時点で疲れそうだよ。







と思うやいなや、店長が入ってきた


店長
みんなおはよう
今日から新人さんが来られる。





おばさん達はざわついていた。



私くらいの人がもう一人増えると思って、頼る人が増えることにワクワクしてるんだろうなー






店長
入ってきて














ドアが開いた。


全員の目がそこに行く。



店長
今日から新しく入る、清川さんだ。
清川
よろしくお願いします。






年齢はたぶん同じくらい。


背はとても高く細く、それに顔立ちも良い。


声や話し方はこれといった特徴はなく普通だった



「よろしくお願いします」という言葉と共に頭を下げる彼。真面目そうな人だ。












おばさん
清川さんっていうのね、よろしくね(^^)





うーわ、態度急変しやがった。


顔立ちがいいから惹かれたんだろうなー


ってことはこの人は私みたいな扱いされなくて済むってことじゃん、羨ましい


私も顔立ちの良い男に産まれてみたかったよ





あ、そうだ。この人のこと指導するんだった


話しかけなきゃ



あなた
清川さんよろしくね
清川
よろしくお願いします






近くに寄るともっと身長が高かった


この距離感だと見上げなきゃいけないくらい






あなた
私が今日から清川くんのこと指導するからね、難しいこともあるかもしれないけど頑張ってね


清川さんはこくりと頷き、私の方を見つめていた。


少し不安そうな顔をしている。緊張しているのかな


私もこの人を育てなきゃいけないと思うと不安になってくる。






あなた
じゃあ、まずは品出しからやろっか


品出しは一番最初に教える仕事だった。


あなた
重いものが下、軽いのが上。向きも正面も揃えてね

そういうと清川さんは黙ってうなずき

一つ一つ商品を並べていった




動きは丁寧で、一つ一つ確認するように棚に置く

遅いけど、それは決して雑ではなかった



あなた
もう少しスピード出しても大丈夫だよ

その時、清川さんの手が止まった。


ん?もしかして聞こえなかったかな、


おばさんとストレスの溜まる会話をする以外で声を出してなかったからちゃんと聞こえる声出せてなかったかな…

清川
…はい




あ、聞こえてた…よかったー


清川さんは数秒経ってから返事をした。
真面目そうなその横顔は、少し自信のなさそうな気持ちも混ざっている感じがした。


それから清川さんは、さっきより少しだけ早くなった

けれど、さっきと変わったところが出てきた

商品を置いたあとすぐに必ず、一度私のことを見る。



「顔になんかついてますよ」??


いや、私を見つめるその顔はそれを伝えている顔をしているようにはみえない
というよりも、

「合ってますか」と聞いているような顔をしていた。

口には出さずに、視線だけで聞いてくる

あなた
うん、それでいいよ


そう答えると清川さんは安心したのか、

次の商品を取り、並べ続けた。その繰り返し


品出しはそれから完璧にこなすことができた。早すぎて私は少しびっくりしたけど
教えたことが為になっているならよかった

次はレジ打ち。これは覚えることが多くて少し大変なところがある
あなた
最初は横で見てて。
操作は簡単だからね

そう言って清川さんの隣に立ち、レジ打ちのお手本を見せる。


レジ台は狭くて自然と距離が近くなる

あなた
バーコード、ここに通して。
音が鳴るよね
ピッ
あなた
それで画面を確認して、
袋はいるかどうか聞くよ



できてる、ちゃんと説明できてるよ自分


後でコンビニに寄って自分にご褒美しよう。


私が説明をするたびに、清川さんは頷きながら聞いていた。

あなた
じゃあ、やってみようか



そう言って私は一歩だけ下がった


清川さんの指は少し震えていた。


バーコードを通し、音が鳴る


画面を見る


震えながらもしっかりと作業をこなしていたが、全て合っていた。

あなた
いいね、完璧だよ

そう言うと、清川さんは小さく息を吐き
清川
…ありがとうございます



声が思ってたより小さかった。

にしても、良い声してるなー


あなた
清川さん、作業がこなせててホントにすごいよ
清川
…それならよかったです、、
あまり自信がなくて…
あなた
いやいや、最初はみんなこんなものだよ
私もそうだったし。これからもっと上達するよ!


清川さんの表情が少し和らいだような気がした


自信がないのなんか当たり前。だからこそこれからのために今のうちに、自信がつくまで頑張ってほしい。


私みたいな舐められる人にはなってほしくないよ


あなた
お釣りはここを押すと自動で出るからね



私は画面を指さそうとした

そのとき、清川さんの手とぶつかりそうになった



ぎりぎりで止めて、向こうも止まった



一瞬時間が止まったような感覚になった

清川さんの視線が、私の手を追って離れなかった



なんか…気まずい、
あなた
…今のは、実際お客さんがきたら早くできるからね

微妙な空気をかき消すために話し出す


けれど少し距離を取って話してしまった


あーもう悪化させてどうするんだよ自分…ばかばか

清川
すみません。

…?何に対してかな

わからないけど。

あなた
謝ることじゃないから、大丈夫だよ


そう言った

けど、そのあと清川さんはさっきよりも

すごく慎重になったような気がした。しかもさっきと同じような感じ 


ボタンを押す前に、一度私のことを見る

お釣りを渡す前に、一度私のことを見る


やっぱり不安にさせてしまった。こっちが謝るべきだよホントに…

けどごめんねなんか言えない、この人の感じだと、なぜ謝らせてしまうようなことをしたのだろうと思い
また今よりも悪化しそうな気がしたからだ。


その工程を何度も続けて、できそうなところまできた。

あなた
もう大丈夫そうだね、覚えれたかな?
清川
はい、ありがとうございます





清川
あの…

びっくり。向こうから珍しく声が出た

清川
さっきの。距離……

やっぱり気にしてた。でも自信のないことに対してじゃなくて距離のことだった
あなた
気にしなくて大丈夫だよ!
清川
ほんとですか…?
俺、結構そう言うの気にしちゃうんで迷惑だったら申し訳…ないです
あなた
迷惑なのは一緒に働くあの人たちの方だよ。清川さんと接しててもなんとも思わないよ!だから安心してね



清川さんはさっきよりも話してくれるようになった


少し心を開けてくれたのか、それとも話す自信がついたのか


何にせよ私からしたら接しやすくなったからうれしかった


清川
…そうですか、、


清川
あの、初めてで申し訳ないんですけど
俺のことは「キヨ」って呼んでほしいです
あなた
「清川」って名字を短くして「キヨ」?

キヨ
まあ、そんな感じです。
あなたの名字さん俺と同い年くらいでしょ?
あなた
私は高3だよ!
キヨ
へぇ、じゃあ俺の方が一つ上ですね


やっぱ年上っぽいと思った



身長のせいかな?けど顔立ち的にも高校生というよりも大学生っぽいし



この顔だったら絶対モテモテじゃん

あなた
やっぱり年上か、あ、タメ口じゃなくて敬語で話さないとだよね。ごめんね
キヨ
いや、タメ口で全然大丈夫です
あなた
そう…?それならお言葉に甘えて、









そんなかんだで私たちは色んな会話をした




キヨくんはどうやら近くの大学に通っているらしい




そこで、これから自立をしていくためにもまずはアルバイトからということでココを選んだらしい




話している間に時間は進み、退勤時間が近づいてきた





こんな良い気分で終われるの初めてだ。キヨくんに感謝しないといけないな。




そう思った時



おばさん
清川さーん!この後時間あるかしら?

清川
…ありますけど
おばさん
ほんとに!?あのね、この後ここで働いてる人たちでご飯食べようって話をしてるんだけど来ない?(^^)



おばさんは私の存在などありませんかのように、キヨくんだけを見て話をしている




ご飯?ここに働く人たちと??


いや、私誘われてないんですけど…


まぁ誘われてもこんなおばさん達の中に入るつもりないけど




キヨ
あなたの名字さんは行きますか?


キヨくんは存在が消えかけてた私に問いかけてきた



おばさんもこちらを見つめていたが、「来るな」と訴えるような目をしていた



では、その目(言葉)に応えます

あなた
私は行かないし、行くつもりないよ
キヨ
そうですか…あ、俺も大丈夫です。楽しんでください
あなた
え?
おばさん
あらそう、それは残念ね。



おばさんはそう言って私を睨むなり、ガチャンと大きな音でドアを閉め、部屋から出ていった



あなた
キヨくん、なんで?
キヨ
あの方みんなのこと誘ったような発言してましたけど、あなたの名字さんの顔見る限り誘ってなさそうだったんで…聞いたんです、
キヨ
案の定そうだったみたいなので、俺も行くのやめようかなと…





優しい、この人優しすぎるよ…


うわぁ、性格まで神だなんて素晴らしいよホントに




あなた
あはは、ムカつくようなことは通勤する度にあることだしなんとも思ってないよ。
キヨ
…そうですか、
 










なんか、ちょっと悲しそうな目をしてる⁇


気のせいかな。











プリ小説オーディオドラマ