カタカタとキーボードを叩く音が薄暗い部屋の中に響く。
ヘッドホンからは壮絶なbgmが流れてくる。
やがてパソコン画面に映るドラゴンが悲鳴をあげて倒れた。
そうくそうるせぇ奇声をあげたのはこの部屋の主、あなたの名字あなたの下の名前だ。
もう高校2年生になるのだが、不登校児だ。
勿論勉強なんて面倒なことをしているわけでもなく今みたいにゲーム三昧。
と言ってもプロゲーマーのように特別強いわけでもなく
その実力はせいぜい中級者程度である。
ピンポーン
と、自己紹介はここら辺にして
訪問者が来たようなのでモニター越しに返事をする。
このときは宅急便か何かだろうと思っていた。
ブチッという音と共にモニター画面が真っ暗になる。
その行為をしたのは紛れもなくあなたの下の名前である。
本能がやれと言ってきたからだ。
が、直後
ピンポーンピンポンピンポンピンポンピンピンピンピピピピーンポーン
と怒濤のピンポンラッシュに襲われ出るしかなくなった。
改めてモニターの小さな画面を見てみると、
それはそれは美しい顔面をしていて女子から黄色い声援を日々浴びせられている
あの生徒会長様がいた。
夢じゃなかったことにあなたの下の名前は遠い目をした。
そして生徒会長様は誰もが惚れるような眩しい微笑みを浮かべる。
生徒会長様が哀れみの目をモニター越しにあなたの下の名前に向ける。
そしてまた生徒会長は満面の笑みを浮かべた。
その爆弾発言を残して、生徒会長様は去っていった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。