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第1話

ダメ人間の引きこもり生活の危機
42
2023/01/22 09:49
カタカタとキーボードを叩く音が薄暗い部屋の中に響く。


ヘッドホンからは壮絶なbgmが流れてくる。
あなた
(あと少し...あと少し...!)
やがてパソコン画面に映るドラゴンが悲鳴をあげて倒れた。
あなた
やったぁぁぁぁああああああうわぁぁぁああああ!!
そうくそうるせぇ奇声をあげたのはこの部屋の主、あなたの名字あなたの下の名前だ。

もう高校2年生になるのだが、不登校児だ。

勿論勉強なんて面倒なことをしているわけでもなく今みたいにゲーム三昧。

と言ってもプロゲーマーのように特別強いわけでもなく

その実力はせいぜい中級者程度である。



ピンポーン



と、自己紹介はここら辺にして

訪問者が来たようなのでモニター越しに返事をする。

このときは宅急便か何かだろうと思っていた。
あなた
はー...い......誰ですか?
桜井 黎
やぁ。君の通っている桜蘭高校の生徒会長、桜井だよ。
あなた
......。
ブチッという音と共にモニター画面が真っ暗になる。

その行為をしたのは紛れもなくあなたの下の名前である。

本能がやれと言ってきたからだ。

が、直後


ピンポーンピンポンピンポンピンポンピンピンピンピピピピーンポーン


と怒濤のピンポンラッシュに襲われ出るしかなくなった。

改めてモニターの小さな画面を見てみると、

それはそれは美しい顔面をしていて女子から黄色い声援を日々浴びせられている

あの生徒会長様がいた。

夢じゃなかったことにあなたの下の名前は遠い目をした。
あなた
(もしかしてあの教師共、私が学校サボりすぎて最終兵器でも持ってきた...?)
あなた
...何しに来たんですか?
桜井 黎
ああ、君に課題を届けに来たんだ。
そして生徒会長様は誰もが惚れるような眩しい微笑みを浮かべる。
あなた
あっそれならポストへ...
桜井 黎
いや僕の用はまだあるんだ。
あなた
......。
あなた
(...ま、あれの件でしょうね
うん、知ってたよ、うん)
あなた
学校に来い、と?
桜井 黎
おや、分かっているじゃないか。
あなた
いやホント学校めんどくさいし嫌なんすよ。
桜井 黎
君にも友達くらいいるだろう?会いたいとは思わないのかい?
あなた
学校に友達、いません。あ、一人だけいました。
生徒会長様が哀れみの目をモニター越しにあなたの下の名前に向ける。
あなた
(やめろその目をネッ友は沢山いるんだよ!!)
あなた
私は、学校に行く気はありません。お帰りください。
桜井 黎
いや、そう言うわけにもいかないんだ。
あなた
な ん で だ よ !
桜井 黎
もしこの最後のチャンスで君が来ないようなら退学処分にすることを君に伝えなければいけなかったからさ。
あなた
...oh?
桜井 黎
まあいいや、君は来ないということを学園長に伝えてくるよ。
あなた
ちょちょちょちょちょお待ちください生徒会長様!!
あなた
(退学だなんてさせられたら今の幸せな独り暮らしが終わる!!)
桜井 黎
ん?何か問題でも?
あなた
問題しかないわ!退学は困ります!
桜井 黎
そうかい?でも登校する気が無いらしいし、
あなた
分かりました学校!行きます!!行きますから!!...あっ
桜井 黎
...君ならそう言ってくれると思っていたよ。その言葉、忘れないでおくれ。
そしてまた生徒会長は満面の笑みを浮かべた。
あなた
(殴りたい、その笑顔)
桜井 黎
じゃあ明日から学校へ行こうか。そうだ、僕が迎えにいくよ。待っててくれ。
あなた
は?
その爆弾発言を残して、生徒会長様は去っていった。

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