前の話
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何故こんな事になってしまったのかは、今の僕にはもう分からない。
村の人たちは皆、僕を囲んで、優しく、けれどどこか急かすように笑っていた。
「あなた様、神様のお嫁入りは、この上ない名誉なことなのですよ」
「これで村も、そして貴方も救われる。さあ、泣かないで」
純白の衣に袖を通し、手首には「儀式」だと言われて、きつく、冷たい縄を手にかけられた。
その時の僕は、差し伸べられた手の温かさだけを信じて、ただ溢れる涙を拭うことしかできなかった。
でも__……。
本当は、誰も僕のことなんて見ていなかったんだ。
霧の深い山奥、打ち捨てられた古い神社の前に一人残された時、背後で聞こえたのは祝福の歌などではなく、重い閂を下ろす、無慈悲な音だった。
これは嫁入りなんかじゃない。
僕は、ただの__。
そして__…
コンナコト二ナルナンテ、オモッテモイナカッタ
この愛が激重なヨウコのアイからは逃げられない__…












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。