午後、探偵社にて。
数名の職員が外回りや依頼の解決へ行っており、探偵社室内はとても静かだった。
鏡花はソファに座り乍国木田から渡された依頼の資料を読んでいたが、背後から近づいてきた足音に気づき、資料を机に置く。
敦は何処か緊張した面持ちで、鏡花の前に座った。
心なしか顔が赤い。手元には温かいお茶の入ったマグカップをふたつ、机に置く。
一つは鏡花の、もう一つは敦のだろう。
鏡花は敦の目を真っ直ぐ見て質問した。
敦の態度や様子が、何時もと違う事、然してぎこちない事に気付いていた。
敦は深呼吸をし、彼も真っ直ぐに鏡花の目を見て云った。
鏡花の目が、ぱちくりと瞬いた。
少し戸惑った様な声で、敦に質問した鏡花。
敦は少し緊張しながらも、淡々と言葉を続ける。
敦は緊張しながらも、出来るだけ冷静に鏡花に話した。
自分の身体に起こっている事、…ポートマフィア幹部、中原中也との間に"生命"が宿っている事、…
然して此から一緒に育てて行く事も。
鏡花は暫く無言だった。
然して――、…不意に、ぽつりと漏らす。
鏡花の言葉に驚き、敦は彼女を見た。
驚いている敦を置き去りにし、鏡花は話し始める。
鏡花は敦に小さく微笑む。
少しだけ、口元が照れている様にも見えた。
鏡花の言葉を聞いた敦の目に、涙が浮かぶ。
彼女はそっと、敦のお腹に視線を落とした。
鏡花の言葉に少し微笑み乍、小さく頷いた。
其の日、敦が寝落ちした後、そっとマフラーを彼の膝に掛けてくれた。
其れは彼女なりの、照れ隠しと優しさの証だった。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。