Episode∥ ❀白鷺 小雨❀
── 学校 7:00 ──台本を持ちながら、空き教室に飛び込んで次の演劇の
練習をする。声を出して、悩んで、また声を出す。
それの繰り返し。正直飽きるけど夢のためなら頑張れた。
でも、夢を否定されるのが、一番苦しいことを
知ると、途端に両の足を踏ん張れなくなる。頭から
その言葉が離れず、縛り付ける鎖になる。
どうしても考えるこの現状に、打開策はあるのかな。
そう考えながらも、
台本を読む手を止められることはなかった。
────すると、いきなり頬に冷たい感覚が走る。
呆れた顔で見てきたなーん先生を見てすぐさま
飛びつくと、驚きながらも笑ってくれた。
そう言ってなーん先生はペットボトルのキャップを
開けて差し出してくれた。やっぱり、優しい。
なーん先生は少し言葉を詰まらせたけど、すぐに優しく
微笑んで頭を撫でてくれた。優しい手つきが心地いい。
なーん先生は本当に優しいんだ。自分よりも、誰かの
為に、一生懸命になれる優しい先生。
その優しさに触れるだけで、もうさっきの言葉を忘れ
られるくらい幸せだ。
今日も明日も、この幸せだけで生きていけるから、
きっとどんな問題が起きても、立ち向かえると思う。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!