第8話

 #5 嘘
48
2026/02/21 12:01 更新
 Episode∥ ❀錨月 陽菜❀
 ── 陽菜の家 7:00 ──

 ──ピピピッ ピピピッ
錨月 陽菜
錨月 陽菜
ん〜…
 ──ピッ
錨月 陽菜
錨月 陽菜
ん~~…もう朝かぁ……
錨月 陽菜
錨月 陽菜
学校行かなきゃ…。
 私は重い体をよじりながら何とか身支度をして
 部屋を出る。すると思いっきり抱きつかれた。
#
おねぇ~ちゃんっ!!
錨月 陽菜
錨月 陽菜
っわぁっ!?!?ちょっと"愛華"…
いきなり飛びつくのやめてよ…!?
 "愛華"、私の妹でいつも明るい。
 リーダーシップもあるから、常に人気者。
 自慢の妹だけど、お母さん達は愛華ばかり見て、
 私の事を見てくれない。だから、少しそれが苦しい。
錨月 陽菜
錨月 陽菜
ほら、朝ごはん食べてきな。
私は学校行くからさ。
#
お姉ちゃんは朝ごはん食べないの?
錨月 陽菜
錨月 陽菜
ごめんね、今日は朝から部活があるから。
 けれど、その事を私は愛華には絶対に言わない。
 だって、私も愛華が大切だし、お姉ちゃんだから。
錨月 陽菜
錨月 陽菜
じゃ、行ってくるね。
#
うん!いってらっしゃい!
 この秘密は、絶対に墓場まで持っていくんだ。
 ── 学校 科学室  ──
錨月 陽菜
錨月 陽菜
おはよーございま────
 ────ドォォォォンッッ
錨月 陽菜
錨月 陽菜
って………、また変な実験してるんですか?
 さっき聞こえた爆発音。きっとまた失敗したんだ。
 そう思いながら煙の先に見える人に目をやる。
神代 類
神代 類
変な実験じゃないさ!
ちゃんと安全を考慮した実験の………
神代 類
神代 類
…はずだったんだがね ()
 この人は神代せんせー。私の部活の顧問で、
 さっきの爆発音の犯人。明らかに学校で取り扱ってない
 実験をして、生徒から変人と言われてる先生だ。
錨月 陽菜
錨月 陽菜
ダメじゃないですか ()
錨月 陽菜
錨月 陽菜
で、どうするんです?
教頭先生とか来ちゃいますよ。
神代 類
神代 類
大丈夫だよ、その時は逃げればいいのさ。
神代 類
神代 類
逃げるが勝ちって言葉があるからね ()
錨月 陽菜
錨月 陽菜
本当に教師ですか神代せんせー。
神代 類
神代 類
なかなか君も失礼だね、陽菜。
 そういながら神代せんせーは薬品を片付け始めた。
 なんの実験をしていたんだろう。神代せんせーの失敗する
 実験なんて相当だ。噂によるとこの人タイムマシンを
 一度作ったとかなんとか……。
錨月 陽菜
錨月 陽菜
手伝いますよ〜?
神代 類
神代 類
いや、危ない薬品が多いからね。
ありがたく遠慮しておくよ。
 そう言って神代せんせーはさっさと薬品を片付けて
 箱にしまい込んでしまった。
神代 類
神代 類
でも、陽菜はやっぱり優しいね。
優しい子にはご褒美をあげるよ、ほら。
錨月 陽菜
錨月 陽菜
えっ、神代せんせーこれ…
神代 類
神代 類
しーっ。
 神代せんせーは私にお菓子を手渡した。うちの学校は、
 お菓子禁止だ。思わず声を出そうになると神代せんせーは
 口元に手を当てて『内緒だよ』と言わんばかりに
 ウインクした。
錨月 陽菜
錨月 陽菜
……ありがとーございます。
神代 類
神代 類
…ふふっ。
 静かにそう言うと神代せんせーは頭を撫でてくれた。
 あったかい。家での苦しみも、嘘のように苦しく
 なくなった気がする。
 神代せんせーのおかげで、私は今日も愛華に嘘ついても
 引きずることなく、私の気持ちをぶつけずに済む。
 すると今日もきっと大丈夫だと、安心できた気がした。

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