第4話

Chapter3 ハンジさんと私
178
2026/02/23 10:56 更新






回想シーン







まだ調査兵団に入って間もない頃。
私は自分の作る「毒」が怖かった。巨人を殺すための道具を作っている自分は、聖女なんて呼ばれる資格のない、冷酷な人間なんじゃないかと。





ハンジ
……また、一人で泣いてるのかい?



夜の研究室。試験管を握りしめて俯く私に、ハンジさんが声をかけてくれた。
いつものハイテンションじゃない、静かで優しい声。



あなた
ん…ハンジさん……私、自分の力が怖いです。
人を救うふりをして、命を奪う毒ばかり作って……




すると、ハンジさんは私の横に座り、私の汚れた手を自分の大きな手で包み込んだ。



ハンジ
いいかい。毒と薬は紙一重なんだよ。
使い道次第で、それは人を苦しめる呪いにも、絶望から救う魔法にもなる
ハンジ
君のその小さな手が生み出す毒は、何人もの兵士を死の淵から連れ戻しているんだ。それは立派な『救済』だよ

ハンジさんは私の眼鏡を少しずらして、真っ直ぐに私の目を見た。
ハンジ
君が自分の力を『怖い』と思えるのは、君が優しいからだ。……
私はね、そんな君の繊細な魂が、たまらなく愛おしいよ。

ハンジ
もし君が自分を『化け物』だなんて思う日が来たら、私が全力で否定してあげる。君は、私の誇り高き弟子なんだから





その時、ハンジさんが私の頭をくしゃりと撫でて、いたずらっぽく笑った。
その笑顔が、あまりに眩しくて、温かくて――。



(ああ、この人になら、私の全部を見せてもいいかもしれない……)



そう思えるくらい、私はハンジさんのことが大好きになったんだ。




プリ小説オーディオドラマ