回想シーン
まだ調査兵団に入って間もない頃。
私は自分の作る「毒」が怖かった。巨人を殺すための道具を作っている自分は、聖女なんて呼ばれる資格のない、冷酷な人間なんじゃないかと。
夜の研究室。試験管を握りしめて俯く私に、ハンジさんが声をかけてくれた。
いつものハイテンションじゃない、静かで優しい声。
すると、ハンジさんは私の横に座り、私の汚れた手を自分の大きな手で包み込んだ。
ハンジさんは私の眼鏡を少しずらして、真っ直ぐに私の目を見た。
その時、ハンジさんが私の頭をくしゃりと撫でて、いたずらっぽく笑った。
その笑顔が、あまりに眩しくて、温かくて――。
(ああ、この人になら、私の全部を見せてもいいかもしれない……)
そう思えるくらい、私はハンジさんのことが大好きになったんだ。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!