第7話

ほくちゃんの憧れ
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2024/06/04 10:00
松村side


京もっちゃんの第一印象は

やっぱり綺麗な顔をしている人だな、っていう印象




ドキドキだったオーディションを終えてご褒美のように京もっちゃんが現れた

(こんなに、綺麗な人が居るんだ…)


生憎、京もっちゃんは俺には気づいてなかったみたいだけど、また会った時には挨拶くらいはしてみたいなって思った












B.I.Shadowで活動をするようになった俺は、健人くんと風磨くんに着いていくのに精一杯で嫌味では無いけれど、他のJrの人を気にしてる余裕なんてなかった


そんな中、京本くんと再会を果たすことができたのは、Jrが活躍することが出来るとある番組の出番が同じで、一緒の練習室で練習することになった時だった

俺はグループ、京もっちゃんはソロで活動してたから事務所に入ってからどうしても会うことが出来なかったのだ

松村「…あ、」

中島「北斗?どうかした?」

俺の声に健人くんが気づいた

風磨くんと髙地も様子を伺うように視線を送る

松村「あの人って」

中島「あぁ、京本くん?」

松村「!、知ってるの!」

菊池「知ってるも何も…」

髙地「誰?」

菊池「お前はそろそろ有名なJrくらい覚えろよ」

呆れたような顔をする風磨くん

でも俺にはそんな会話は耳に入っていなかった

松村「健人くん、京本くんと仲いいの!?」

中島「…え、いや、うーん、まぁ、多少は?」

松村「風磨くんも!?」

菊池「特別って訳じゃねぇけど、喋ったりはする」

俺の勢いに2人とも引き気味だ

髙地はへー、ふーんくらいに聞き流している

中島「…北斗って京本くんのこと好きだったんだ」

松村「うん…だって、京本くんって芸能人みたいなんだもん」

菊池「それを言うなら俺たちも芸能人じゃん」

松村「なんと言うか、こう、オーラ?みたいな…かっこいいなって」

髙地「あー、なんか分かるかも」

松村「でしょ!!」

髙地「なんでお前が自慢げなんだよ」

ふっと髙地には鼻で笑われてしまった




中島「なら、今から京本くんに挨拶に行こう」

にこりと笑った健人くんが俺の手を引っ張る

松村「ま、まって!」

俺は慌てて健人くんを止めた

中島「うん?」

松村「緊張しちゃうから、!」

正直に今の気持ちを伝えると健人くんはふふふと楽しげに笑った

中島「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、京本くん俺と同い歳だし…」

菊池「学年で言ったら俺が同い年だけどな〜」

髙地「へぇ、じゃあ俺の方が上か」

中島「俺は早生まれだからね」

(そっか、俺以外の3人は早生まれだから)

松村 中学2年生
京本・菊池 中学3年生
髙地・中島 高校1年生




中島「まぁ、京本くんは怖くないから、」

健人くんが小さな声で基本的にはだけど、って言ったことは聞かなかったことにしよう

菊池「そうそう、凄い気さくだし」

風磨くんがこれまた小さい声でまぁ、めちゃくちゃ変な人だけど、って言ったことはもう聞き流すことにしよう…



中島「じゃあ、挨拶にいこうか」

もう一度俺の手を握り直した健人くんはスタスタと京本くんの元へ向かう

(待ってぇ、歩くの速いよぉ、、心の準備がっ、)

後ろの2人も俺たちに着いて歩いた

中島「京本くん!」

京本「…あ、健人。お疲れ様」

中島「お疲れ様〜」

京本「風磨も」

菊池「おつかれぃ」

さっきまでの端正な顔立ちが、健人くんたちに話しかけられたことによってふわりと崩れた

(ほんとに、王子様みたい…)

まだ十分に伸びきっていない背丈や声変わりが完全に終わっていない声が、より彼の雰囲気を醸し出していた

京本「その2人が噂の加入したメンバー?」

俺と髙地の話題になりびくりと身体が動いた

中島「そうだよ、ほら、2人とも挨拶」

髙地「髙地優吾です、よろしく」

京本「うん、よろしくね」







次は俺の番だけれど、身体が強ばって上手く喋れない

健人くんが握ってくれている手から冷や汗が吹き出る

(俺って、こんなに京本くんのこと好きだったんだ…)

横にいる髙地が肘で俺を突く

お前も挨拶しろ、の合図だ

意を決した俺は下を向いていた顔をバッと上げた

松村「ふぇ、っ!?」

驚いたことに俺の目の前にはあの綺麗な京本くんの顔が間近にあった

俺はその拍子に腰が抜けそうになったが、後ろの風磨くんがしっかりと支えてくれた

菊池「っぶね、」

京本「ごめんね、びっくりしちゃったね」

くすくすと笑いながら俺の頭の上に手を乗っける京本くん

(おれ、きょうがめいにちかも)

松村「ぁ、え、あの、」

京本「君の名前は?」

頭の上に乗せた手でそのまま俺の髪をサラッと撫で下ろす

松村「あ、…ほくと、まつむら、ほくとですっ!」

京本「…んふ、北斗ね。覚えた」

京本くんはじぃっと俺の顔を覗くようにして頬を撫でた

京本「それにしても、B.I.Shadowは仲良いね。手まで繋いじゃって」

中島「あぁ、北斗が中々京本くんの所に行きたがらないからさ」

京本「えぇ?ひど、俺嫌われてた?」

松村「あ、え!?ちがっ、ちがくて…その、」

菊池「北斗は京本くんに憧れてるから緊張するんだってさ」

松村「ちょ、風磨くん!!!」

菊池「んははは」

京本「へぇ、それは嬉しいなぁ」

風磨くんと同じ顔でニヤニヤしている京本くん

…意外と意地悪な人、?

京本「これからよろしくね、北斗」

松村「よ、よろしくおねがいしま、す!」












それからも俺は京本くんを見つけては観察する日々

3人からは少し呆れられている

日を重ねれば重なるほど俺は京本くんの事が大好きになっていった



最初は芸能人オーラ凄いなぁ、尊敬するなぁ、くらいだったけれど

京本くんの汗水垂らして努力する所

意外と見た目には無頓着な所

誰よりも楽しそうに歌を歌う所

やられたらやり返す精神な所

美人に見えて誰よりも男気がある所

それでもやっぱり透き通るほどの美人である所

会えば会うたび、見れば見るたび






俺は京本くんに憧れるようになった


京本くんのようになりたい、そう思って少し身だしなみには気を使うようになったし、大人っぽくなったつもりだったけど

俺は早々に気づいたのだ

(京本くんと俺って全く系統が違うんじゃない?)



それに気づいた時はしょぼくれた

それでもめげずに雑誌の取材やインタビューで憧れている先輩は、と聞かれた時は「京本くん」と答えるようにしている

(今日は話しかけられなかったけど、見れたからいっか!)








だけれども、そんな俺に転機が訪れた



松村「ドラマに出演!?」

中島「凄いじゃん、北斗」

菊池「しかも、割とメインの役だし、やるなぁ」

髙地「…なんで俺も?」

なんと、ドラマに出演することになった俺!

俺をたまたま監督さんが見つけてくださったみたいだ



…しかも

松村「京本くんもいる!!」

菊池「おぉ、良かったな」

中島「京本くんがいるなら俺たち居なくても平気か、」

菊池「慎ちゃんとか樹もいるし」

(あ、そっか…健人くんも風磨くんも居ないんだ)

しょぼんとした俺に気づいたのか2人が俺を抱きしめた

松村「うわぁ!?」

中島「大丈夫だよ、北斗。北斗はもう1人前のJrなんだから」

菊池「そうそう、なんかあれば俺らに言ってくれればすっ飛んでくから」

中島「髙地も居るしね、」

髙地「おー」

優しい3人を前に俺はちょびっとだけ泣いた



(まぁ、でも、元から知り合いの人の方が多いし)






松村「き、京本くんっ!」

京本「北斗」

ドラマ撮影初日

京本くんを見つけた俺は咄嗟に彼に話しかけた

名前を呼ぶと穏やかに微笑んでくれるその顔が好きだ

松村「あの、!っ、えと、きょ、きょうから、お願い、します!あと、うんと、一緒にお仕事、が、できて、うれしい!のと…んーと、」

思っていることを全部言おうとしたら文脈が大変なことになってしまった

何を言いたいか、それが分からなくなって言葉が出なくなる

(せっかく、久しぶりにお話出来たのに…)

京本「北斗、顔上げて」

優しい声がして恐る恐る顔を上げる

京本「ん、やっと目合ったね。すぐ下を向くの北斗の悪い癖だよ?」

松村「ごめんなさい…」

京本「俺の時はゆっくりでいいから、下も向かなくていい」

松村「きょ、もとくん、」

京本「うん?」

松村「…すきぃ、」

京本「んふ、ありがとう」

京本くんは俺の頭を撫でたあと、抱きしめてくれた





京本「そういえば、雑誌とかで俺の名前いっぱい出してくれてたよね」

松村「!、気づいてたの?…ですか?」

京本「無理に敬語使わなくていいよ、そりゃあ、気づくよね。あんなに熱烈なメッセージ貰ったら」

松村「んへへ、よかったぁ。京本くんに伝わって」

京本「…北斗って、感性変だよね」

そう言った京本くんの顔は真っ赤になっている

松村「京本くんもだけどねぇ」

京本「生意気言うようになったじゃん」

松村「ごめんなふぁい」

京本くんは口をとんがらせて、俺のほっぺを緩く引っ張った










スタッフ「京もち〜、ちょっと来てくれる?」

京本「はい!」

京本くんの腕にくっついて座っているとスタッフさんに京本くんが呼ばれた

ちょっと待っててね、と京本くんに言われたので俺は渋々彼の腕を離す

(京もちって、響きがなんか凄い好き…)





京本「ごめんね、北斗。お待たせ」

松村「きょう、…」

俺は京本くんの名前を呼ぼうと開いた口を閉じる

京本「北斗?どうかした?」

松村「あのね、俺も京もちって呼んでもいい?」

京本「全然いいよ、北斗の呼びたいように呼んでくれれば」

松村「本当に!?…じゃあ、京もちはもうスタッフさんが呼んじゃってるから、京もち、くん?あ、ちゃんの方が可愛いかも!」

俺のテンションが一気に上がったのを見て京本くんはくすっと笑った

京本「なんて呼ぶか決まった?」

松村「うん!今日から京もっちゃんって呼ぶ!」

京本「いいじゃん、かわいい」

松村「んへへ、でしょ?」

そうして俺は京本くん改めて京もっちゃんと仲を深めていったのであった





めでたしめでたし!!













───











独り言💬




沢山の方々に沢山見て頂くことが出来て凄く嬉しく思います!!🙇‍♀️🙇‍♀️

最近は行事ごとの準備で21時に家に着き、そこから課題やテストの勉強など…

朝も早く中々小説をゆっくりと書くことが出来ていないのですが、それでも皆さんの通知を見るだけでやる気が湧いてくるのです…❤️‍🔥

いつも🩷やお気に入り⭐️
フォローなど、本当に感謝しています!

これからもどうぞよろしくお願い致します🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️

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