第6話

第二話 気づき
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2020/08/27 08:57 更新
もう、消灯時間がきてから時計の針が5回もまわった。


俺は寝付きがいい方で、ベッドに入ってからこんなに起きていたことはない。
だが、今日だけは、ふとすると彼女のことを考え始めてしまい、結果、こんな時間まで起きてしまっているのだ。



昨日、父の意向で米国の大学を卒業し、その後は適当にバイトをしながら自由に一人暮らしをしていた俺は、父から10回目ぐらいの会いに来いという連絡を受け、この病院に足を運んだ。
 
そう、父はこの病院の院長なのだ。病気でもなんでもない俺が空いていた彼女の隣のベッドを使えているのも、そのおかげ。


そして、約束の時間より少し早くにここに着いた俺はしばらく病院内をうろうろしていた。




だが、そんな時。俺は見つけてしまったのだ。


 
すごく思い詰めた表情をしながら、階段を必死に登っていく彼女の姿を。



その時見た彼女は、とても見苦しい表情ではあったが、それと同時に、すごく魅力的に見えた。

多分、その時俺が彼女の後をつけていったのは、彼女の様子に不信感を抱いたから、というより、自然と彼女に引き寄せられていったから、と言った方が納得がいく。




そうして、ついて行った先の屋上で彼女が飛び降りを図ったところを、走って行ってギリギリのところで阻止したのだ。

だが、彼女は気を失ってしまったらしく、俺が彼女をバックハグしているかのような状態のまま看護師を呼んだので、少し笑われてしまった。
加えて、それが父にも伝わったおかげで、後で久しぶりに会った時にも、思いっきりいじられてしまった。


まあ、後悔する気はないけれど。





だって、俺はあの後、彼女と初めて話した時に確信したんだ。

彼女のことは他の誰でもなく、俺が、守ってあげたいんだって。


こんな感情を抱くのは、今までは半強制的に勉強一筋でやって来させられた俺にとって、初めてだった。

でも、この感情の正体はなんとなく分かった。




__きっとこれを世間では"恋"というんだろう。


俺はそう気づくと、ふと、彼女の方を見た。
可愛い寝顔をしているんだろうと、少しの期待も込めて。




でも。




こちら側を向いて横たわって寝ている彼女の表情は、今にも泣きそうな顔だった。

そして、唐突に、こんなことを言ったのだ。

「また、私のせいで。」



その時の俺は、この意味がさっぱり分からなかった。
ただ、彼女が苦しんでいることだけは分かった。
だから、ひたすら彼女の役に立ちたい、という思いだけが加速していった。













だけど。俺のこの思いのせいで、彼女が嘘をつき続けることになるなんて、夢にも思わなかった。
筆者
筆者
読んでいただき、本当にありがとうございます!!やっと、次回から本格的に"嘘"の作品っぽくなりそうです、、よかったら、読んでくださると嬉しいですm(*_ _)m

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