第3話

助け。
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2018/08/20 13:34
水無瀬 誠
水無瀬 誠
何やってんの?
突然、少し怒気を孕んだ水無瀬くんの声が聞こえた。
それが余計に悲しくって、さっきよりも涙が出た。
なんで、なんで貴方はそうやって私の味方をしてくれるの?
いつも不思議でならない。
助けてくれるのはいつも水無瀬くん。
でも、私は水無瀬くんになんにもできていない。
冷泉 碧
冷泉 碧
ごめんなさい、ごめんなさい......!
口から、意識していいないというのに謝罪の言葉がでる。
この謝罪は誰にしているんだろう。
なにか言い訳っぽく聞こえて、気味が悪い。
水無瀬 誠
水無瀬 誠
謝んなくていーの、冷泉さんは。
ぽん、と心地よい音がして、頭に重みを感じる。
私よりもすこししっかりとした水無瀬くんの手は、ごつごつしているのに優しくって。
やっぱり男の子なんだなぁってしみじみと思う。
水無瀬 誠
水無瀬 誠
おい小花衣。
お前が冷泉さん泣かせたの?
小花衣 胡桃
小花衣 胡桃
ふぇ?
私、なんにもやってないよ?
あの子が、ののかちゃんが勝手にやっただけなのぉ!
何言ってるの......?
まさか、自分についてきてくれてた子まで裏切る気?
人として、それは最低な行為なんじゃないだろうか。
篁 ののか
篁 ののか
え、胡桃さん私のせいにするのですか?
足引っ掛けろって言ったの胡桃さんじゃないですか。
篁さんはただ騙されてただけって周囲に思わせようとしている。
混沌とした人間関係に虫唾が走る。
先程までの涙はどこへやら。
私はその場の雰囲気に圧倒されると同時に呆れていた。

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