突然、少し怒気を孕んだ水無瀬くんの声が聞こえた。
それが余計に悲しくって、さっきよりも涙が出た。
なんで、なんで貴方はそうやって私の味方をしてくれるの?
いつも不思議でならない。
助けてくれるのはいつも水無瀬くん。
でも、私は水無瀬くんになんにもできていない。
口から、意識していいないというのに謝罪の言葉がでる。
この謝罪は誰にしているんだろう。
なにか言い訳っぽく聞こえて、気味が悪い。
ぽん、と心地よい音がして、頭に重みを感じる。
私よりもすこししっかりとした水無瀬くんの手は、ごつごつしているのに優しくって。
やっぱり男の子なんだなぁってしみじみと思う。
何言ってるの......?
まさか、自分についてきてくれてた子まで裏切る気?
人として、それは最低な行為なんじゃないだろうか。
篁さんはただ騙されてただけって周囲に思わせようとしている。
混沌とした人間関係に虫唾が走る。
先程までの涙はどこへやら。
私はその場の雰囲気に圧倒されると同時に呆れていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。