フョードルside
そう言うあなたの下の名前さんが指差しているのは、ヨコハマデートスポット特集だった
顔を赤らめながら云う彼女はとてもいじらしくて可愛らしかった
これは..
告白なのでしょうか?
それとも
…違ったみたいです
いつになったら彼女は僕に想いを伝えてくれるのでしょう
無邪気に喜ぶ姿はやはり可愛らしい
それからはトントン拍子で予定が決まった。
彼女の輝くような笑顔を見ると自然と僕も頬が緩んだ
僕は自分が彼女の影響を大きく受けていることに気づいていたが、それは不安や不快どころが、
僕に多幸感を与えた。
純粋な彼女といると、僕の罪や穢れを消してくれているように感じていた。
そんなはずはないのに
あなたの下の名前side
私はフョードルさんとのデートを思い浮かべて鼻歌を歌いながら服を選んでいた
…1週間も先だけど
フョードルさんはどんな服が好きなんだろ?
やっぱり清楚系?意外とカジュアルな方が好き?
それか、あざと可愛いのが好きなのかな?
散々悩んで、ラベンダーのワンピースを着る事にした
ワンピースは私の骨格に合ったものを選んだ
ホワイトのカーディガンに、ホワイトのパンプスを選んだ。
首にはお兄ちゃんがくれたペンダント。
あまり外出しないので、改まった服を着るとなんだか落ち着かない
それから1週間、メイクの練習や、フョードルさんと話すことを考えながら過ごした
そしてついに前日!
スキンケアはバッチリきめていつもはやらないストレッチまでしてしまった
少しでもフョードルさんに可愛いって思って欲しいから!
今日は早く寝ないと!
明日が待ちきれない!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。