第2話

一話
42
2024/04/19 07:52
最初は、本当に愛されてるって思ってた
「愛してる」って言葉が、嘘だなんて疑わなかった
…ううん、疑えなかったの
私には、居場所がなかったから
だから、あそこで我慢したんだよ?
私、偉いでしょ?
でも、もう無理だ
わたしがこわれちゃう
ごめんね?
だから、これからは、僕がでるの
"私"は出来損ないだけど
"私"は馬鹿だったけど
"私"は笑顔しかなかったけど
"私"は我慢できなかったから

だから"僕"になったんだ
"私"とは違って"僕"は
"僕"は優秀で
"僕"は天才で
"僕"は笑顔もあって
"僕"は我慢もできて

周りが離れていっちゃう"私"と
周りからひっついてくる"僕"は
比べるまでもないくらいに優秀な方がわかる
小さな女の子
小さな女の子
僕ね!将来はお母さんみたいに医者になるんだ!
お母サマ
お母サマ
そうね!あなたの下の名前(カタカナ)は将来、お医者様がいいわね!
そんなの嘘に決まってる
お母サマ
お母サマ
これからの将来が楽しみね!
小さな女の子
小さな女の子
うん!すっごく楽しみ!
小さな女の子
小さな女の子
だから僕、勉強してくるね!
お母サマ
お母サマ
えぇ、後でお菓子とお茶を持っていくわね
小さな女の子
小さな女の子
はーい!
小さな女の子
小さな女の子
ねぇ、"私"、これでよかったの?
………………………………………
小さな女の子
小さな女の子
"僕"にはわかんないや
………………………………………
小さな女の子
小さな女の子
"私"は逃げたかったのかな
………………………………………
小さな女の子
小さな女の子
ねぇ、教えてよ
誰も答えない、静まり返る薄暗い部屋
小さな女の子
小さな女の子
…逃げちゃおうかな…?
小さな女の子
小さな女の子
ね、いい案だと思うんだ、僕
小さな女の子
小さな女の子
……うん、そうしよう
小さな女の子
小さな女の子
………これが、いいんだよね?
小さな女の子
小さな女の子
僕にはまだ、わかんないや…(笑)
乾いた笑いが、部屋の闇に消え去った
小さな女の子
小さな女の子
…そうときまれば、今すぐにでも…
コンコン
お母サマ
お母サマ
あなたの下の名前(カタカナ)ー?お菓子とお茶、持ってきたわよ?
小さな女の子
小さな女の子
…!ありがとう、お母様
お母サマ
お母サマ
いいえ、勉強頑張ってね
小さな女の子
小さな女の子
うん
それが一ヶ月半くらい前、今日は7歳の誕生日
小さな女の子
小さな女の子
…お母さん、さようなら
小さな女の子
小さな女の子
あははっ♡
小さな女の子
小さな女の子
じゃあね、お母様眠り姫様
小さな女の子
小さな女の子
王子様お父様が迎えに来てくれるといいね♡
小さな女の子
小さな女の子
…そんなこと、あるわけないけど
小さな女の子
小さな女の子
さようなら、私の…僕の家族



































































(なまえ)
あなた
僕はこれから__って名前じゃなくてあなたの下の名前(カタカナ)って名乗るよ
(なまえ)
あなた
…さよなら、お母様クソ野郎
(なまえ)
あなた
もう二度と、会うことはないだろうね

プリ小説オーディオドラマ