第3話

拾われた敦
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2022/01/30 06:24 更新
雨が降っている。僕の心の中のように。孤児院を追い出され死にそうになっていた僕の前に何かが現れる。
太宰治
....じょう.....ど..てこん……
ねぇ?
中島敦
え…?
太宰治
大丈夫?如何してこんな所に、こんなに小さな子供が?
中島敦
貴方…は?
太宰治
私の名は太宰、太宰治だ。
君の名前は?
中島敦
中島、敦です…。
太宰治
敦、敦くんか。素敵な名だね。ねぇ敦くん、少しは此方を見てくれた前。
此方を見た少年は朝焼け色の宝石のような目をしており、そんな彼には珍しい白髪も似合っていた。
太宰治
面白い……ボソッ
中島敦
えっ?
太宰治
敦くん、君には此から私の部下になってもらうよ。勿論、タダでとは言わないよ。衣食住が確保されているとても裕福な暮らしができる仕事さ。
中島敦
……もし、断ったら…?
太宰治
その時は…ニコッ
分かるよね?
身震いがした。断ったら殺す、とでも言いたげな不気味な笑顔に12歳の少年は頷くしか出来なかった。
中島敦
貴方の…貴方の部下になります。
太宰治
良い返事だ。それじゃあ先ずは森さんに挨拶に行かないと。…ほら早く行くよ。
中島敦
……?
太宰治
もー、何してるの?早く手繋がないと置いて行っちゃうよ?
中島敦
あ…はい……。ありがとうございます。
初めて握られたその手の感触に頬が緩んだ事はバレていなかった。

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