夜10時ついにその時がやってきた。
先生は裏庭がいいと言った。
花が見えるし、月の光が綺麗な夜だからと。
先生は月夜の下で花を愛でながらそう言った。
皆んな覚悟はできているようだがやはりどこか悲しそうな表情をしている。
いつもおちゃらけてる悠介が涙を瞳に溜めて泣くことを我慢しているかのような声でそう言った。
皆んなそれに釣られて今にも泣きそうだった。
先生は優しく微笑みながら1人1人の顔を見渡す。
悠介は泣きながら何度も「はい」っと返事をした。
真斗は礼儀正しく先生に向かって一礼して先生からの言葉を一言一言噛み締めていた。
桜は涙を流しながらもぎこちなく笑いながらそう答えた。
華はニコッと笑って「よかった」と呟いた。
大希が苦い笑みを浮かべて言うと先生は返答に困ってしまったようだが同じようにぎこちなく笑って見せた。
私の大好きな笑顔、
もう見られなくなる、
真衣は必死に抑えようとしてる涙を拭い強くあろうとしていた。
少し離れた場所に居る蓮は何も言わなかったが誰かは分からない鼻を啜る音が聞こえた。
千秋は何も言わずにただ何回も何回も頷いた。
春太は思い切り空を見上げて目から溢れる涙を見せまいとした。
私は小さく頷き先生に向かって今までで1番と言っていいほどに優しい顔で微笑んだ
あおいの表情が少し曇るだけど自信を持ち、明日からの生活への少しの希望を胸に抱いているようなそんな堂々とした表情をしていた。
そう言うとあおいは勢いよく先生に抱きつき顔を胸にうずめる。
そして声をあげて泣いた。
先生は優しい腕でそっとあおいを抱きしめた。
お別れの時間が来た。
先生はあおいに自分の心臓を刺すように言う。
あおいが横になった先生の上にまたがって座る思い切り包丁を振り上げた。
目を塞いでしまった。
見たくなかった、現実から目を背けたくて、
私の頬におそらく血痕であろうものが飛んだと同時に目を開けた。
そして目の前に広がる景色に絶望した。
先生の胸に突き刺さった包丁を握っていたのはあおいではない。
春太だった。
2人とも溢れんばかりの涙を流していて春太もあおいもその場に崩れ落ちた。
私は先生の元に駆け寄る。胸の傷は貫通していて、もう長くは持たないようだった。
私は先生の体を思い切り抱きしめた。
涙が溢れて上手く喋れない。
お願い、伝わって、
こんなにも愛してることを、
あなたのことを大切だと思っていることを、
先生はそういうと私のことを抱き寄せた。
先生の方を見るともう息をしていなかった。
私は声をあげて泣いた。
先生の体をぎゅっと抱きしめてずっとずっと、
みんなも声をあげてずっとずっと泣いていた。
先生視点
体の感覚がない
私は死んだのか、
やっと解放されたのか、
ずっと真っ直ぐ続く道を進む。
遠くに人影が見えた。
近づくと私の目に涙が溜まった。
麗花はあの優しい笑みを浮かべて
と言った。
その言葉を聞いた瞬間まるで糸が途切れたかのように目から涙が溢れた。
そして彼女の体を力いっぱい抱きしめた。
言葉を飲む
違う!そうじゃない、伝えたかったことはそんなことじゃない。
それは彼らが教えてくれたはずだ、
深く深呼吸して麗花の額に自分の額をくっつけた。
目から溢れた涙が止まってくれない、
麗花はその言葉を聞くと瞳から涙を流しながら
っと言ってくれた。
そして私たちは再会を果たせたのだった。
美純視点
何時間経ったかすら分からない。
皆んな段々と落ち着いて来た。
皆んなそのくらい分かっていた。
春太はバレるとは思っていなかったらしく動揺していた。
するとあおいが春太を思い切り抱きしめた。
そして私たちの先生との日常が終わった。
ありがとう、先生、
ずっとずっと愛してる、
続く

























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。