第17話

17日目
6
2025/01/05 22:46 更新
西園寺視点
淡々とした日常にたった一つ色が入った瞬間があった。
娘達が生まれた時だ。
長女の名前は麗花。
私が決めた名ではない。
妻の両親。
あのクソ親父が決めた名だ。
あいつと出会った日から俺の人生が全て狂った。
普通の幸せ。
普通の人生。
そんなもの送ることなんてできなくなった。
ただ俺は普通になりたかっただけだったのに、
愛する妻、愛する娘とただ普通の幸せを送りたかっただけなのに、
娘の名前は不覚にも好きだとおもっていた。
彼女は美しく咲く花のように私の世界に色を持たせてくれた。
義父
義父
チッ、お前のせいだ全てお前のせい。お前のせいで娘は、
2人目の娘であるあおいを出産した時妻は亡くなった。
そしてあおいと麗花は私の元から離されとうとう全て失った。
まだ麗花は6歳、あおいも生まれたばかりなのに、
その時だろう私は本当の意味で人間じゃなくなった。
仕事である噂を耳にした。
防衛省の人間
防衛省の人間
アメリカのある大学でアンドロイドの実験が行われてて、その生き残りの個体が1人だけ残っているらしい。

私はその時嫌なことを考えた。
感情がないアンドロイドに感情を与えることによってもしかしたら妻の複製を作れるのではないかと、
そして娘達も私の元へきっと戻って来てくれるのではないかと、
私は何も考えてなかった。
ただ体が勝手にその大学へ向かっていた。

アンドロイドを手に入れるのはそう難しいことではなかった。
国家権力を使い何人もの人間を殺した。


でもたった1人、

アンドロイドの目の前で殺した少女。

その子の名は西園寺 麗花と言ったらしい、
西園寺
西園寺
あぁぁぉぁぁ!!
私は絶望した。
自分の愚かさに無能さに、

結局私は何もできない愚か者なんだと何度も何度も自分を責めて、

私が取り返しのつかない場所まで来たことに気がつくのはそう遅くなかった。

今日私は防衛大臣直々にお呼び出しがかかった。
ついにバレたのだろう。
やっと、

やっと解放される、
西園寺
西園寺
お呼びでしょうか大臣。
??
西園寺、
お前には失望した。
ドンとくる低い声。
威圧感に押しつぶされそうになりながらも私はしっかりとした足取りで立ち大臣の瞳を見つめる。
西園寺
西園寺
アンドロイドの件でございましょうか、
??
それだけではない。娘が泣いていたぞ。
西園寺
西園寺
え、
どうして娘を、?
あおい、麗花、
美純父
美純父
西園寺お前を解職とする。以上だ。
大臣から言い渡されたのはそれだけで私の心はなぜか悲しみだけでなくほんの少しの安堵、そしてただただ広がる無、
それらの感情がじわじわと胸を支配していた。

私は気がつくと膝から崩れ落ちて泣いていた。

私が望んだのはただ普通の幸せだったのに、
私は一体どこで間違えたのだ、
帰り道、
帰る家などないが、
私の目に入ったのは大きな橋だった。
下には落ちたら間違いなく即死の川。

何も考えず私の体は橋の上に立っていた。
西園寺
西園寺
もう終わりにしよう、
大きく両手を広げる。
上を見上げると美しくひかる星空。
黒くだけどどこか青く光り輝くその姿にいつのまにか
あおいと麗花を重ねてしまっていた。
西園寺
西園寺
今更父親ぶるなんて、あおい元気かな、
西園寺
西園寺
麗花を、姉を殺しておいてそりゃねぇよな、
俺の目はもう涙でいっぱいで飛び降りようとした。
怖いな、
あんだけ殺しておいたのに、
自分が死ぬときに思うことじゃねぇよな、
??
ちょっと!あんた何やってんの
飛び降りた瞬間誰かに手を掴まれた。
華奢な少女だった。
その子は一生懸命に俺を引き上げて助けようとした。

俺はその姿にますます泣きたくなりつつ少女に言った。
西園寺
西園寺
俺、俺は沢山人を殺した殺人鬼だ。お嬢さん、俺を助ける価値なんてない。娘だって殺した、
??
馬鹿野郎!
??
死んで報われるなんて思うんじゃねぇ!お前の娘が死ぬ前に言った言葉忘れたのかよ!
少女は私の娘を知っているようなことを言った。
私はこの少女に興味が湧き死ぬ前に少しだけ話したいと思ってしまった。
そして橋の上まで上がると少女は消耗し切っていてその場に崩れ落ちて「ハァハァ」と荒い呼吸で話し出した。
??
覚えてるだろ?あなたの娘さんの最後の言葉、
もちろん忘れるはずのない言葉だった。
俺に言っているものじゃない。
アンドロイドに言って言ったものであったとしても、
西園寺
西園寺
生きて。あなたにこれ以上殺してほしくない。お願い。生きて。責めないで。愛してる。
西園寺
西園寺
でもこの言葉は俺じゃない。アンドロイドに当てた言葉だ、
??
私は違うと思う。きっと娘さんは父である貴方にもその言葉をあててるんじゃないかと思った、
え、どうして、
そんなこと言わないでくれ、
麗花、
西園寺
西園寺
麗花、あおい、ごめん!ごめんなさい、愛してる父さんはいつでも2人のことを愛してる、
身勝手だけど俺はずっとずっと愛してる、
斎川 麗花
斎川 麗花
お父さんもういいんだよ、
麗花の声が聞こえたと思って周りを見渡したがやっぱりいないよな、
俺の目からは溢れんばかりの涙が溢れ目の前の少女に慰められながらその腕の中で小一時間は泣いてしまった。

??
落ち着いた?
西園寺
西園寺
うんごめんありがとう、
そういうと少女はニコッと笑って立ち去ろうとした。
私は少女の手を掴んで彼女を引き止めた。
西園寺
西園寺
せめて名前だけでも教えてくれ、君は俺の命の恩人だ。君のおかげで生きようと思えた。生きる明日を見つけられた、
少女は少し考えて優しい笑顔を向けて、
??
わたしは、


























斎川 あおい
斎川 あおい
斎川あおい
そう言うと彼女は去ってしまった。
斎川 あおい か、
ありがとういつか遠くない未来でまた君と出会えることを願ってる、

続く

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