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第8話

じゅり
244
2026/01/20 06:29 更新
その日、空がやけに高かった。
ニュースは淡々としていた。


続報はなく、解説も短い。

「田中樹は姿を消した」

それだけが、事実として残った。
誰も、理由を断定しなかった。
できなかった。

最後に彼を見た人は、口を揃えて言う。
静かだった、
と。

叫びもなく、
怒りもなく、
迷いすらない顔だった。


まるで、
ずっと先に決めていた場所へ向かうみたいに。

「どこへ行くんですか」

そう聞かれた時、
樹は少しだけ空を見上げたという。
答えは、なかった。

ただ、視線が、上にあった。

雲が流れて、

風が強くて、

地上は騒がしかった。
でも、その騒がしさは、

もう彼の世界じゃなかった。

後から、人は意味を探す。
罪とか、罰とか、後悔とか。

救いがあったのか、なかったのか。
でも、どれも憶測だ。

確かなのは、
彼が最後まで、振り返らなかったこと。

壊れた世界を、
正しいと信じきったまま、

それ以上の説明を拒んだこと。




「飛んだんだと思う」





誰かが、そう言った。

比喩なのか、
現実なのか、

もう、どうでもよかった。
ただ、

地上から見上げた空が、

異様なほど、きれいだった。
泣きたかったのかもしれない。
叫びたかったのかもしれない。

でも、彼は選ばなかった。

重力のある世界から、

意味を求められる場所から、
ゆっくり、切り離されていった。

田中樹は、

空に行った。


それ以上でも、
それ以下でもない。

残されたのは、
説明できない静けさと、


見上げるしかない青だけだった。








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ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。

切ないお話を作ってみました。

髙地も樹も似てるところがあるなと思った2人だったので2人をペアにしました。

MILE SixTONESきましたね!

YouTubeとかテレビも協力体制がすごくて
最高のデビュー日になりそうです。

プリ小説オーディオドラマ