内くんが教室に戻ってきた。廊下は、ざわざわと騒がしい。無事にみんなを連れて来られたようだ。
その声を合図に、内くんが呼んだという宇宙人たちが一斉になだれ込んできた。
もちろん、みんな見た目は多種多様で、人間の姿はしていない。そんな生物たちがいきなり大勢現れたので、驚くのは至極当然のことだ。
テキストを買いまくって習った成果がまさかこんなところで発揮されるとは……。人生というのはわからないものだ。
宇宙人ご一行は、教室内に思い思いに散らばり始める。急いで来場人数の記録を済ませたところ……なんと……一気に30人も来てくれた。
宇宙人の皆さんと話に花を咲かせていると、廊下のほうからまた声が聞こえてきた。
一般生徒が来たか!? と期待をしたのもつかの間。一応野球部だということで模擬店要員として駆り出されていた部員たちが、シフトを一旦終えて教室にやってきたようだ。もちろん、宇宙人がわらわら教室の中でうごめいている様子を見て、言葉を失っている。
部員たちも、宇宙人たちとの輪に加わって話を始めたところで……私と彩々は一旦、教室から離れることにした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。