真夜中の0時を過ぎる頃。
錆びた古い門を開く音が静寂な森に微かに響いた。
片手には淡く橙色に揺らめくカンテラを持っていた。
カンテラのお陰なのか、最低限足元と少しばかりの森の辺りは見えるが流石に遠くまでは見えない様だ。
もう何千年も前から続けている見回り。
怠った事は一度もない。
魔物の多くは夜行性だ。特にこの時間帯が一番魔物が出やすい時間になっているから、大半の魔物は森から出て来て人々がいる場所へと襲う。
だから、最低限でも人様に被害が起きない様こうやって見回ってる。
辺りを照らしても魔物らしき姿は無く、地面を照らしたとしても足跡の一つもない。
考えられるとしたら、この周辺には魔物が居ないのかそれとも既に都市や村を襲ってるのどちらか。なんとしてでも二つ目の考えはあって欲しくないな。
それにしてもさっきから薄々と勘づいているが何処からと視線が感じる。気配で言うと背後の方だ。
もしこれが魔物だったら………ま、別に死にはしないが重傷を負って面倒な事になるのが考えられる。
そんな事を考えながらゆっくりと後ろを振り返りカンテラで照らした。が…………、
後ろにいたのはフレムの肩ぐらいに位置する木の枝に乗っている梟だった。
魔物かと思い警戒してたが、何故警戒をしてたのだろうと安堵してしまった。
そう言いカンテラで梟の顔を照らそうとして瞬間。
小さく可愛らしかった梟が一気に大きく醜い魔物へと変わりフレムも目掛け襲いに来た。
先程前カンテラで照らそうとした左腕を目掛けてだ。
カンテラで照らされていた小さな明かりは前とは打って変わって暗闇へと変わっている。
フレムはギリギリのところで避けたようだが避ける瞬間にカンテラを落としてしまった。
辺りが暗いせいか、魔物が何処にいるかなんて全く分からない。
これじゃ完全に魔物の方が有利になってしまう。
魔物の中の一部は夜になると魔力や体力が普段の数百倍上がる個体もいる。
暗闇に覆われた森をぐるりと見渡した。
その時、フレムの背後から鷹の姿をした魔物が音立たずフレム目掛けて飛び込んで来ようとしてきた。
フレムが振り向いた瞬間、魔法で作り出したレイピアが現れた何も躊躇無く魔物に突き刺した。
レイピアの所為で完全に身体が貫通してしまい死んだ魔物に向かって嫌味を吐いた。
そして、レイピアから魔物と血液を振るい落とし、
レイピアは光となって消えた。
視線の差しには背伸びすれば届くぐらいの木の枝に引っかかっていた。
フレムはすぐにその木へと駆け寄りカンテラを手にしてまるで何もなかったように館へと帰った。
今回フレムメインだったな。
そう言えばフレムってフレねぇって言われてるけど姉か姐どっちが似合う?
めっちゃどうでもいい質問だが。
アンケート
٩( ᐛ )وピヤァバァァァァバァァァァ
姉
29%
姐
43%
どっちでもいい
29%
投票数: 7票
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!