…僕は何故かその青く光る瞳に吸い込まれるように彼に着いて言った。
僕よりも背が低い彼の髪の毛がよく見える。
その髪の毛は僕と同じ…毛先が青かった。
この子も…「変な村」の生贄の存在を知って逃げ出したのかな…。
チラッとこちらに目線を向ける。
横から見るとまつ毛が長いな…
急に立ち止まった。
きんときは普段無口なのか?
僕が喋らない限り無言だ…。
そこは洞窟になっていた。
中は真っ暗で何も見えない。
きんときが中へ進む。
真っ暗な道を進んでいく。
1秒でも止まったらきんときを見失うくらいだ。
するとまた立ち止まった。
なんかちょっと怖いな…きんときって。
僕は言われた通りに暗闇の中を進む。
彼からの返答は無い。
姿も見えない。
…ん?
空中に2つの青い光が見えた。
僕はその光を頼りに進んで行った。
〜きんとき視点〜
その子は酷く震えていた。
どうして?
君も「生贄」として殺されかけたんじゃないの?
…本当に困ったやつだ。
いきなり震えてると思いきや今度は弱音を吐いているのか。
それを誰に言っている?
自分の子供を捨てた両親か?
親しみの良い親友か?
それとも…
この僕に言ってるんじゃないよね?
俺は泣きじゃくってる君を上から見下ろすことしかできなかった。
ハッ…
っと無邪気に笑う。
そんなに怖いか?
何がだ。
この暗闇か?
俺しかいない孤独感か?
……。
……俺か。
なぜ俺が怖い?
目が光るから?
こんな場所に連れてきたから?
「人間」は感情が上手く伝わらないな…。
なら…
目が光らなくて
こんな場所にも連れてこなくて
俺が「人間」みたいに生活すりゃ
怖くないのか?
そうなのか?
そうだ。
そうなんだ。
……
そうすりゃいいんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。