時間は戻り、1時間前。
雪之が吹っ飛び、沖田が宙を舞った頃。
銀時「敵襲かーーー!!!!!」
神楽「敵襲アルゥゥゥー!!」
突然屋根が破壊された万事屋、
土埃があがり、銀時はわけわからないがとりあえず叫ぶ。神楽も真似して叫ぶ。
メガネ「僕らに敵なんていませんから!!いったい何が起こって」
新八が何が起こったのか、土埃で汚れた眼鏡を拭き取ると見覚えのある隊服が瓦礫の中から見えた。
新八「えっ!!!!沖田さん!!?」
銀時「なに!!!?真選組が俺らに何のようだ」
神楽「こんな事して許されると思ってるアルか!?」
沖田「いってぇ...」
銀時「ギャァァァァ!!!!」
突如として銀時の悲鳴が上がる。
そこにいた全員が銀時のいる方を見た。
新八「えぇぇぇぇ???豹!?」
神楽「な、なんでこんな所にいるアル!?動物園から逃げ出してきたアルか!!」
雪之は銀時の足に噛み付いていた。
沖田「いってぇ、、、おいこら...ん??旦那ァなんで旦那がここに?ん?」
沖田は吹っ飛ばされたのが万事屋だと気付いてなかったのか、神楽や新八の顔を見た後、ゆっくり穴の空いた天井を見る。
沖田「あ〜、そういうこと。」
神楽「何のようアルカ!オマエ!」
新八「沖田さん!!何なんですか!あの豹は!銀さんに噛み付いて離さないですよ!!」
沖田「まぁ落ち着いてくだせぇ。この鎖がある限り逃げられねぇんで」
新八「逃げる心配してるんじゃないんですけど!!?銀さんが血だらけなんですけど!?」
沖田「大丈夫でさぁ、あれはあれ。俺も噛まれたけど大丈夫なやつでさぁ」
銀時「ギャァァァァ!!!」
新八「大丈夫じゃなさそうだけど!!!」
神楽「オイ、勝手に上がっておいて、定治が危ないアル。早くどうにかするアルよ」
新八「神楽ちゃんも銀さんの心配してあげてよ!!!!???」
確かに、定春は銀時のすぐそばにいる。
銀時からターゲットが変わるとしたら、
定春も危ない。
沖田「おい、いい加減にしろ」
沖田はグッと手綱を引く。
鎖が首に食い込むがさっきからまるで意味を成してない。
定治「ワン!」
定春が声を出す。
ワンワンワン!!っとまるで雪之に話しかけるように吠えはじめた。
神楽「定春!?止めるヨロシ」
新八「何か言ってるのか?」
しばらくすると黒豹がチラチラと定春を見て、
やがて銀時の足を離し、定春に向き直った。
新八「定春!危ない」
神楽「危ないアル!」
噛まれた銀時だが、同じ目に遭わないよう
定春を守ろうと黒豹を捕まえようと手を伸ばす。
その時、
ポンッと音がして雪之は人間に戻った。
神楽「なっ!?」
新八「え!?」
銀時「なに!?」
銀時は手が止まった。
3人とも驚いていた。
雪之は驚く万事屋を他所に、
定春と楽しそうに話し始める。
銀時「ったく!いったい何なんだよ!」
銀時は向きを変え、
混乱のまま沖田に説明を求める事にした。
沖田「旦那ァ、すいやせん。初めての散歩なんでぇ許したくだせぇ。」
銀時「散歩!?どこが!?屋根から落ちてくる散歩がどこにあんだよ」
沖田「まぁーまぁーほら、初めてのトモダチもできたみてぇで良かったじゃねぇですかい。飼い主としても嬉しいじゃねぇの」
「お前なんか飼い主のわけあるか!!早くこの首輪外せ、クソ人間が」
新八「めちゃめちゃ嫌われてますけど...沖田さん」
ーーーーーー。
沖田「とりあえず、修繕費は全部土方さんに請求して下ダセェ」
銀時「ぁぁ、そうするよ。それで、その人間?ペット?何なの?その子」
包帯ぐるぐる巻きにした銀時は、
定春の隣に座る謎の女の子を指差して言う。
沖田「こいつぁ、真選組の新しいペットでさぁ」
「ちがう!!!断じて違う!!」
雪之は全力で否定した。
そりゃそうだ。
沖田「まぁ、あれでさぁ。迷い天人でさぁ」
新八「天人!?」
銀時「そんな気はしてたが、まだ子供じゃないか。飼い主を探してるのか?」
「ワシは捨てられたんじゃ。お前ら人間に捨てられたんじゃ!!」
ここでも雪之は人間への嫌悪を露わにする。
神楽「...定春と同じネ」
神楽はそっと立ち上がると
雪之を慰めようと近づいた。
「近づくな!!!」
ポンっとまた黒豹の姿に戻り、
近づいてくる神楽に牙を向け、威嚇する。
神楽「心配しないで良いアルヨ。」
新八「神楽ちゃん危ないよ!」
新八が止める、銀時も沖田も様子を伺った。
「それ以上近づけば、その銀髪と同じ目に合わせるぞ!!!ガゥゥ」
と、神楽に噛みつこうとした雪之。
神楽「オンドリャぁぁぁ!!!」
「ギャァァァァ」
神楽はその怪力で噛まれる前に、雪之の
牙を掴みそのまま吹っ飛ばしたのだった。
銀時「いや、、、それはやり過ぎ...」
雪之はそのまま気絶した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!