みんなが夏服を着るようになってきた朝。
わたしは一番廊下側、一番前の席でひとりふてくされていた。
前の席に戻して欲しかった。
なんだってこんな罰ゲームみたいな席に。
伸びた前髪を留めているハートのヘアピンをこねくり回しながら、黄ばんだ壁を見つめる。
消しカスだらけの色褪せた机にはプリントが5枚置いてあった。
後ろに回さなくちゃいけないやつ。
やばい、いつの間に。
あわててプリントを1枚めくり、残りをその子に渡した。
ちょっと気まずい間が空く。
ちょっとそっけない返事になってしまった。
日頃のコミュニケーション不足がバレてしまう…。
上手く言葉が出ない。
予想外の褒め言葉に気恥ずかしさが限界を超えていた。
なにかわたしも「こちらこそ近くの席で嬉しい!」的な反応をしなければ…。
あれ?
なんかこれは自分でも
何かがズレてしまったような、、
ちょっと嬉しくなった。
少し鈍感そうな子だが、気が合いそうだ。
クラスでどういう立ち位置にいる子なのか、興味がなかったのか全然分からないのが申し訳ない。
友達、なれるかな。
朝のHR
この時間苦手なんだよな。
早く帰りたい、! ってなっちゃう。
つまり、転校生と。
先生の隣には、カッチリうちの制服を身にまとった女の子がいる。
しかし近眼のせいで顔は良く見えない。
ってか、そんなの聞いてたっけ?
ダメだな。最近ボーッとしてるみたいだ。
Bさんはおもむろにこちらにやってきて、にっこりと微笑んだ。
こわ。
簡単に手の内を見せるわけにはいかないか。
ごもっともだが、それだけか?
前の席を担任に知らされていたのかと思ったが、そうじゃないのか?
朝の連れショングループに声をかけに行くのだろう。
人脈作りには最適そうな感じがする。
スイッチ入ったな。
確かに今は一軍の視線がこちらに向いている。
いや、それをそんなに気にするか?
Bさんは少しキョロキョロしながらトイレに行った。
トイレの場所は知らなかったのかな。
なおさら分からない。
なぜ、知っていたのか。
なぜ、わたしにわざわざ言ったのか。
…とりあえず、「いっぱい話しかけるね!」と言われてしまったのは確かだ。
さて、これからの生活、どうなることやら。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。