なろさん、が…naroさん?
たしかに、あのとき顔は見えなかったけど
声も、雰囲気もなんとなく似てる
…というより、瓜二つだ
しばらく顔を見つめていたので、
なろさんが困惑したように首を傾げた
ずっと見つめられたら、そりゃあ困るよな
何やってんだ俺…
で、でも、naroさんかどうかだけ、聞かなきゃ…!
つくづく、自分のコミュ力を妬む…
はぁぁ、今チャンスだっただろ…!
不甲斐なさに耐えられず、俺は机に突っ伏した
結局、話しかけることも出来ず、放課後になった
先生が指さしたのは、大量のプリントの山
まじかよ…、一人で運ぶ量じゃないだろ、どう考えても
でも、俺には「手伝って」なんて言える相手は…
ちらっと周りを見わたす
まぁ、いないよな…
仕方なく、一人で持っていくことにした
結局、断れないんだけど。
もう生徒は校舎から出て人がいないのをいいことに
愚痴をいいながら職員室へ向かった
くそ、想像してたよりも重いな…
やっぱり誰かに助けてもらった方がよかったか───
思わず、息を呑んだ
歌声が、微かに聞こえた
あの日…俺が惹かれたあの歌が。
いても立ってもいられなくなって
俺は走りだした
〜…♫
まだ歌声は続いてる
消える前に、見つけなきゃ
廊下を走って
階段を滑るように、走って走って
学校を出て、道路に駆け込んだとき
歌声が近くなった
きっと、…きっともうすぐ……!
( …♫
校舎の裏にある公園の茂みに隠れた後ろ姿
こっちに気づき振り向いた彼は、
灰谷なろ、本人だった──────












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。